ニセモノのルルーシカ
「こうして四方八方鏡ばかりだと気味が悪いわね。私は美人だから見飽きないけど、あんたたち二人がこう無数にいると、ちょっとオエッとなっちゃいそうよ」
どんだけ、お前は自分に自信があるんだよ・・・。
レーラは通る道を知っているらしく
鏡にぶつかることなく、タクとルルーシカを導いてゆく。
そして、
ある鏡の前で立ち止まった。
「なによ、急に立ち止まって・・・」
「静かに・・・」
レーラが立ち止まった鏡は他の鏡とは違った。
綺麗ではないのだ。
鏡のふちのほうは汚れ、
よく見ると、ひびさえ入っていた。
「わ、わ、なによ、急に・・・え?あれ?な、なんで、この私が、不細工なタクになっているのよ」
何を急に言いだしたんだ?
ルルが俺になった?
とうとう頭でもおかしくなったか?
タクはそう思いながら鏡を見ると、
本来、自分がうつっているはずの位置に、
ルルーシカが立っていた。
あん?なんで、俺の立っている位置にルルが立っているんだ?
バグっているんじゃないのか、この鏡。
タクは自分の顔を触る。
すると、鏡の中のルル―シカも顔を触った。
おかしいなあ。
タクは自分の鼻の穴に指を突っ込んだ。
すると、
鏡の中のルルーシカも鼻に指を突っ込むかと思いきや、
舌を出して、あっかんべ~をしてきた。
な、何じゃこりゃ~!!
「うるさいんじゃ、ボケ~!!」
ルル―シカが突然、絶叫した。
急に、叫び出して、こいつ。
こえ~よ。
「ふふふ、なんて情けない顔してるの。それに、なんて情けない髪型なの。ついでに、なんて情けない格好しているの」
鏡の中のルル―シカはいやらしい顔をして、
くくくと笑っていた。
なにを言ってるんだ?こいつ。
「あ~、そんなんで、生きていて嫌にならないかしら。辛いでしょ。あ~恥ずかしい、恥ずかしい」
「まあ、確かにな。言いたいことはわからないでもないけどな」
タクは髪をかく。
「え?どうして酷いことを言われているのに・・・動揺しないの?」
鏡の中のルル―シカは驚いているようだった。
「ああ、そのことか。だってさ、本物のルルは、もっと、こう心をえぐってくるような辛辣なことを言ってくるし、それに、そんな言葉使い良くないんだよな。そんでもって、そんなに胸が大きくないんだよ。裸を見ているからわかるけど、まな板というか、なんというか」
鏡の中のルル―シカは両腕で豊満な胸を隠した。
本物のルルーシカよりも恥ずかしそうに頬を赤らめ、
しばらくすると、
スゥ~と消え去った。
と、同時、
目の前にあった鏡も消え、鏡があったはずの場所には、
赤い扉が存在していた。
「あぁ~うざってぇ~!!」
ルル―シカは扉に飛び蹴りを入れた。
赤い扉は蹴りによって開いた。
「はあ、はあ、はあ・・・あれ?鏡はどこに消えたの?」
「どうやら、二人とも大丈夫だったようね」
「大丈夫だった?まさか、人形・・・あんた、私を試したのね」
レーラはスッと目を細めた。
それは、あまりにもささやかな微笑みだった。
「あ~ウザったい。ウザったい、ウザったい、ウザったい!!」




