三人でおててつなぎ
墓石の間を通り抜けた三人は、鬱蒼とした森に入っていった。
「どこに向かっているのよ」
ルルーシカがレーラに訊く。
「・・・・・・」
「何よ、教えてくれてもいいじゃない。むかつくわね。あ~この森、なんでこんなに歩きにくいのかしら、でこぼこしているし、そこかしこに苔も生えているし」
タクは足元に気をつけて歩いた。
森と聞いて、ヘッドリッジ魔法学園のそばに広がる森を思い出した。
ルルーシカが召喚したりゅー君の背に乗り、ヘッドリッジ魔法学園に飛んできたのが、
一昨日のことなのに、懐かしく思えた。
数分ほど歩き、レーラは巨大な石の前で立ち止まった。
木々の樹冠が完全に空を覆ていれば、崖と言われても不思議に思わなかっただろう。
「ここなの?」
「違うわ」
レーラは石の、あるでっぱりに手を当てた。
すると、
ガガガガガ、と音をたて、人が通り抜けれるほどの穴が開いた。
その光景は、寮へと帰る途中に通る巨木が、
パックリと裂けた光景に似ていた。
「ついてきて」
「大丈夫でしょうね。入ったら、実は底がありませんでいたというオチで、ピュ~と落ちて、グシャリっていうのはなしにしてよね」
「大丈夫よ」
「信用できないわね。ほら、まずはあんたが入りなさいよ。こんな時のためのチーズ奴隷でしょうが」
タクはルルーシカに背中を押された。
「おい、待てよ」
穴の中に足を一歩踏み入れると、
明かりがないのに、
視界が明瞭になった。
薄明かりが灯った部屋にいるような感覚、
太陽のわずかに射し込む部屋にいるような感覚に近いだろうか。
タクは、鏡が張り巡らされた部屋に立っていた。
そこはミラーハウスに似ていた。
ただ、天井も床も、ありとあらゆる面が鏡で、
タク自身、自分がどこに立っているのかもよくわからなくなる。
正直、くらくらし、気持ち悪くなった。
「迷ってしまうといけないから、私の手につかまって」
レーラがタクに手を差し出した。
「ちょっと、ちょっと、ちょっと、なにうちの奴隷を誘惑しているのよ」
「誘惑なんてしていないわ」
「人形、あんたね、手をつなぐってことは、私にとっては誘惑も同然なのよ」
どんな、理屈だよ。
「なら、あなたも、手を差し出せばいい」
「私もタクと手をつなげってこと?」
「そう」
ルルーシカは少しためらった後、
タクに手を差し出した。
「私の手を握って欲情するんじゃないわよ」
どうやったら欲情できるのか、教えてくれよ。
無理だろ。
タクは仕方なしにルルーシカの手を握った。
「あっ!!」
ルルーシカは甘い声を漏らした。
対して、レーラは手を握っても無表情だった。




