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巨大な門

 洞窟の中は、緑色の炎で薄らと照らしだされていた。


「はあ、はあ、はあ、いつまで歩くのよ、もう私・・・はあ、はあ、限界よ」

 

 ルル―シカは太ももをさすっている。


「もうすぐよ」

「やけに疲れているようだけど、何かあったのか?」

「そりゃ~、山あり谷ありの大冒険があったわよ。ルル様だってね人間なのだから、谷に遭遇すりゃあ、ちょっとは動揺するのよ」


 動揺したから、疲れたのか?

 うむむ、よくわからん


 レーラがクスリと笑う。


「こら、こら、こら、人形!!笑ってんじゃないわよ。確かにあんたには借りができたけど、それは、ルル様を笑ってもいいと言えるほど大きな借りではないのよ。勘違いするんじゃないわよ」

「借り?」

「え~い、うるさ~い!!そこに食いつくな!!ていうか、半分以上、いえ、ほぼ100パーセント、あんたのせいなんだからね」


 ルル―シカは、顔を真っ赤にしてタクに向かって怒鳴った。


 触れぬ神にたたりなしだ。

 なので、タクはこれ以上、そのことに触れないようにした。


「ついたわ」


 巨大な門が三人を見下ろしていた。

 門の両扉には、二匹の向かい合うドラゴンが描かれていた。

 りゅー君を子供のドラゴンだとするならば、そこに描かれているドラゴンは、

 大人のドラゴンだと、タクはなんとなく思った。

 それくらいに、門に描かれたドラゴンは圧倒的だった。


 レーラは門に近づき、手の平でそっと撫でた。

 ゴゴゴゴゴ、という地響きが起こり、門がゆっくりと開いてゆく。

 風のためなのかはわからないが、

 ベルベットの体から這い出た幻影の奇声のような声が、

 開いた門の闇の奥から聞こえて来た。


 

「カカシみたいに突っ立ってないで、早く来なさいよ。このビビりが」

「ビビッてなんかいね~よ」


 タクはレーラとルル―シカに続き、門をくぐった。


 門が閉まると共に、

 死者のうめき声のような音も消えていった。


 門が閉まると、真っ暗だった。

 沈殿したかのような深い闇がどこまでも広がっているようだった。

 正直、何も見えない。


「ちょっと、何も見えないんだけど、こらからどうしたらいいのよ」


 ルル―シカが言葉を発した――次の瞬間、

 タクは冷たい水を足先に感じた。


「んん?な、なんだよ。水がどんどん上がってくるじゃね~かよ。やばいんじゃない・・・うぐっ」


 タクが言葉を言い切る前に、

 せり上がってきた水がタクの体を飲みこむ。


 やばいって、真っ暗で方向もわからないし、

 水に飲まれているし。


 タクは、流れにのまれた。

 体が上下左右に揺られ、クルクルと何度も回転をする。


 お、溺れてしまう。ぎ、ぎぼちわるい。


 水の流れにもまれ、数秒後、

 タクは視界の隅に小さな光がうつった。

 その光に向かって、タクの体は吸い込まれてゆく。


 点ほどの小さかった光は、

 やがて、視界全体を覆い、

 水面にうつる光の揺らめきの向こう側に、タクは顔を出した。


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