グラグラグラ
「え?ぐわぁっ」
半透明の手につかまれる刹那、
タクは反射的に横に転がった。
「うまくやれぇ!!ベルベット!!」
半透明な手はコンクリートにめりこんでいた。
まるで、豆腐に指を突っ込んでいるかのように。
「だって、だって、ゲイルお兄ちゃん。どうして、あいつ避けられるのよ。まるで、見えているかのようだよ」
なんだ、なんだ、あの手は。
とにかく、あの手につかまれたらヤバイ!!
壁にめり込んだ、四本の手は再びベルベットの体にすいこまれてゆく。
「ほら、ベルベット、ボケとしていないで、次の攻撃をしかけろ!!」
「うん、ゲイルお兄ちゃん、わかっているよ。もう逃がさないんだから!!」
先ほどよりも、ベルベットの体は強く発光し、
今度は半透明な男と女が這い出てきた。
その二人は、耳をつんざくような悲鳴をあげ、
タクに襲い掛かる。
な、なんなんだよ・・・こいつら。
まるで、幽霊みたいじゃないか。
タクは直線的に襲い掛かってくる、男の幻影の攻撃を横へと避ける。
が、
男の幻影の影に隠れるように襲いかかてきた女の幻影の攻撃を避けきれず、
反射的に拳をだした。
「うっ!!」
ズシン、とした重みをタクは感じた。
殴れた!!
タクのストレートをカウンターで頬に受けた女の幻影は、
顔を歪め、「ぐりゃああああああ」という奇声をあげる。
「痛い、痛い、痛い、痛い、痛いよ」
ベルベットは、なぜか頬を押さえていた。
唇は切れ、
顎を青い血が伝っていた。
「痛い、痛い、痛い、痛い・・・どうして・・・どうして・・・この私に触れれるんだあ!!」
ベルベットの絶叫に呼応するかのように、
部屋が、グラリと揺れた。
「な、なんだ?」
天井がピキピキピキとひび割れ、
破片が地面に落ちる。
「ベルベット、早くそいつを始末しろ、誰かが介入してきやがった」
「ゲイルお兄ちゃん、わかってるよ!わかっているから!!」
ベルベットの髪はなびき、
深紅に輝く双眸がタクを睨む。
ガガガガガ!!
さらに、部屋は大きく揺れる。
立っていることすら、ままならない。
まるで、部屋が回転しているようだ。
いや、実際に、回転していた。
そのせいで、タクはバランスを崩した。
「おい、マジかよ。どうやって、バランスをとればいいんだよ」
タクは両手両足を床につけ、耐え切れなくなると、
違う壁に飛び移った。
「タク~タク~」
ふと、ルル―シカの声が聞こえてきた。
声の方に顔を向けると、
ひび割れ、開いた隙間からルル―シカが上体を出し、
タクに向かって、手を伸ばしていたのだ。




