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ルルーシカのゴミ

 ゴン!!


 タクは頭に衝撃を感じた。


「あんた、いつまで寝てんのよ。早く起きなさいよ」


 タクは冷えた体をさすりながら起きると、

 ルル―シカはすでに制服に着替えていた。


「朝食を作ったから、早く来なさいよね。冷めちゃうわよ」

「ハァ~クション」


 タクは盛大にくしゃみをし、

 鼻をすすりながらルル―シカの部屋に行くと、

 机の上には朝食が用意されていた。


 ん?今日の朝食は何だ?

 あん?黒い石?

 それと、コーヒゼリー?

 どんな組み合わせだよ。


「あんた、いつまで寝てんのよ、いいご身分ね。それに、床なんかで寝てると風邪をひくわよ」


 ルル―シカは箸で器用につまんだコーヒゼリーを、

 口へとはこんでいる。


「ルルの言う通りだぜ。床なんかで寝ているとと風邪をひくわな」


 お前が俺のベッドを占領しなかったら、

 俺は床で寝る必要はなかったんだ、ということはタクは黙っておいた。


「・・・コーヒーゼリーを作ったのかよ」

「はあ~?何を言ってるのよ。顔だけじゃなく目も悪いんじゃないの。ロールパンと魚のから揚げよ」


 ロールパン?魚のから揚げ?これが?

 にしても、朝から、から揚げって・・・。

 胃に悪すぎる。


「あ、ああ、そ、そうなんだ。もしかして、俺の分もあるとか」

「もちろんあるわよ。ていうか、皿の数を見ればわかるじゃない」


 まじかよ。

 正直、いらないのだが。


「あんたのために、わざわざ作ったんだからね。ありがたく思いなさいよね」


 ルル―シカはまっ黒なロールパンをガリガリかじり、

 ん~おいしい!!と唸った。


 タクも、おそるおそる炭化したロールパンをかじると、

 ガリッと嫌な音がし、ビリビリビリと舌がしびれた。


 は、歯が折れる。

 それに、し、舌が痛い。


「どう?おいしい?」


 地雷ワード発動。

 この質問に対し、答えはただ一択。

 決して、次の言葉以外を言うことができないのだ。


「あ、ああ、超まず・・・いやいやいや、超うまいよ。最高だ。(ゴミ)級女神様が天から、素晴らしい料理を落としてくれたかのようだ」

「変な言い回しね。でも、まあ、おいしいのは当然よね。ルル様は料理も得意なんだから」


 これで得意なのかよ。

 お前の得意はレベルが低すぎじゃね~のか。


 タクは、コーヒーゼリーのように見える、プルッとした魚の唐揚げを、

 箸でつつく。


「それもすっごくおいしいのよ。早く食べてよ」

「お、おう」


 ルル―シカはタクがゴミを食べるのを、

 今か今かと見つめている。


 タクは箸でコーヒゼリーをつまみ、

 おそるおそる口へと運ぶ。


 パクリ。


 ぐおおおおおおおおおお!!くせえええええええええええええ!!


 口の中全体に魚の臭みとドブの味が広がった。

 さらに最悪なことに、口の中がぬるぬると粘ついた。


「う、うっぷ」


 喉の奥から何かがせり上がってきた。


「どうしたの?」

「わ、悪い、ちょ、ちょっと、体が冷えたせいか・・・今日、あ、あんまり、しょ、食欲がないんだ」

「何よ。せっかく作ったのに・・・昨日も食べなかったじゃない。あんた、ちゃんと朝、食べないと、体に悪いわよ」


 このゴミを食べた方が体に悪いわい。


 タクは目の前にあるゴミを全部食べたら確実に戻してしまうと思った。

 かといって、ルルーシカの目は、タクが食べることを望んでいる。

 なので、最終手段をとることにした。


「俺、ちょっとトイレに行ってこようかな」

「あらそう」


 タクは、コーヒゼリーを口につっこみ、トイレに直行した。

「うげええええええええええええええ!!!」


 タクは口に含んだ毒物を、

 本来あるべき場所であるトイレに返してやった。


 ヤバイ、ヤバすぎるよ。死ぬう。


 毒物が口の中から消えても、臭みがかなり残っていたので、

 部屋に戻る前にしっかりと口をゆすいだ。

 それでも、なぜかひりひりとした後遺症が残った。


 溜息をつきながら、部屋に戻ると、


「本当に調子が悪そうね。顔なんて真っ青だもの」

「ああ、もしかしたら、俺は今日、死んでしまうかもしれん」

「なによ。おおげさね」


 それくらい、まずかったんだよ。


 皿の上には、まだ黒いロールパンが残っていた。

 捨てるべきだと思ったが、一応、ルルーシカに訊いておく。


「調子が悪いから、この石・・・いや、この色が個性的なロールパンは食べらないけど、食べる?」

「え?いいの?まあ、あんたがそこまで言うなら、しょうがないからもらってあげるわよ」


 ルルーシカはゴミをガリガリとかじりだした。

 満面の笑顔で「おいしい、おいしい」と言葉を漏らしていた。

 

 ルル―シカが食べ終わると、

 タクは一応、あくまで一応だが、

 ルル―シカの機嫌を損ねないように

「すごく、おいしかった」と言った。


 もちろん、嘘だがな。


 その言葉を聞いて、ルル―シカは、口をつむぎ、目を泳がせ

 まんざらでもなさそうな顔をしたのだった。


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