今日、何度目の睡魔?
食器の後片づけを終え、
部屋に戻るとルル―シカは満足そうに、天井を見上げていた。
「おい、風呂に入らなくていいのかよ」
「うん、まだい~の」
ふふふとルルーシカは笑う。
「横になっていると、いつのまにか寝てしまって、風呂に入れなくてもしらね~ぞ」
「あんたが、お姫様抱っこして、私をお風呂に連れて行ってくれるなら入る」
「なんだよ、その条件は」
そもそも、なんで、俺がお前をお姫様抱っこをしないといけなんだ。
風呂に連れて行くのに。
「えいっ!!」
ルル―シカは天井に向かって、
不細工な恐竜が描かれたクッションを投げる。
クッションは、天井にぶつかることなく、
重力にひかれ、再びルルーシカの両手に収まる。
「ナイスキャッチ!!」
えへへへへとルルーシカは笑い声をこぼす。
タクは、ルルーシカのその心地よさげな笑顔に少しだけドキリとした。
「まあいいや。俺は自分の部屋に戻るからな」
タクは自分の部屋に戻ろうとドアノブに手をかける。
その時、背後から、
「ありがとね」とルル―シカに言われたような気がした。
「え?何?今、何か言ったか?」
その声は、小さな声だったので、
聞き間違えでもしたのではないか、とタクは思った。
「べ、別に、わ、私、何も言ってないし」
「ふ~ん、そうか。なら、俺の聞き間違いか」
そうだよな、ルルが俺に『ありがとう』だなんて、
言いそうにないしな。
とうとう、俺もこんなこと言われたらいいなという思いが、
幻聴になって聞こえるようになってしまったか。
タクは自分の部屋に入り、ドアを閉める。
まあ、それでも、
ルルが少しだけでも気分がよくなってくれて、よかったよ。
蹴られ損はしたけどな。
「あれ?」
不意に、強い睡魔が襲ってきた。
今日だけで、何度目の睡魔だろうか?
まただよ。どうしちまったんだろう、俺。
・・・あぁ~ねみぃ~よ。
タクはベッドに倒れこみ、
少しだけ仮眠をとろうと目をつぶった。




