気をつけて・・・え?いったい何に?
教室に戻ると、そこには誰もいなかった。
いや、一人を残して。
夕日が照らす薄明かりの中、
レーラだけがポツリと自分の席で本を読んでいた。
「みんなはどうしたの?人形」
「帰ったわ」
「帰った?やけに、早いじゃないの。授業はどうなったのよ」
「なくなったわ」
「ふ~ん、珍しいこともあるのね」
ルルーシカはレーラの言葉を聞き、自分の席に行く。
タクは欠伸をしながら、机に入れてあった教科書をスクールバックに入れた。
「なあ、帰らないのか?」
レーラは依然、本を読んでいる。
「私の家、すぐそこだから・・・」
「ふ~ん、ここから、近いんだ」
「そう、すぐそばなの」
タクはスクールバックを肩にかける。
「ねえ・・・」
「ん?何?」
「気をつけて・・・」
タクはレーラが何について気をつけてと言っているのかわからなかったが、
「ああ・・・」と言い、教室の出入り口で腕組みをして待っているルルーシカのもとへ、
歩いて行った。
ルル―シカは教室を出ると左に歩いて行った。
「はぁ~あ・・・帰りはこっちか~」
タクは大きな欠伸を一つ。
「あんたの頭のスカスカ加減にはほんとに呆れるわよ。私がなんでミアへの対策を立てていたっていうのよ。ほんとバカなんだから・・・」
ルル―シカはミアとの決闘のために、
そうとうナイーブになっているらしい。
あぁ~そうか、ミアとの決闘か。
・・・忘れてたわ・・・あ~ねみぃ。
タクはルル―シカの顔を横目でチラリと覗くと、
少しだけこわばっているように見えた。
こいつが、まさか緊張?
ありえねぇ~。
廊下を突き当りまで行くと、金属製の引き戸があった。
扉上部に張られたプレートには『グラウンド』と書いている。
ルル―シカは、大きく息を吐き出し、
「よし!!」と小さく呟いたのち、引き戸を開けた。
開いた引き戸の先には、白い砂が敷き詰められたグラウンドが広がっていた。




