↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/133

グラウンド

 タクとルルーシカはグラウンドに足を踏み入れた。


 山の稜線上方には、溶けてしまいそうなほど真っ赤な太陽が輝いており、

 空に薄らと広がった雲を朱色に染めている。


 グラウンドには、フェンスと電信棒の影が伸びており、

 どこからか、ヒグラシの鳴き声が聞こえてくる。


「誰もいないんだな」


 周囲を見回しても、グラウンドにはタクとルルーシカの二人しかいない。


「作戦ね。そういえば、何かの童話で読んだ事があるわ。決闘にわざと遅れ、相手を苛立たせる卑怯な戦法を使ったことで、国一の剣士になったいうくだらない童話を。ミアはそれをまねようとしているのね」


 どこかで、聞いた事がある話だな、とタクは思った。


 カチャリと音がし、振り向くと、

 引き戸が勝手に閉まった音だった。

 すると、

 スッとその場所に何もなかったかのように、

 引き戸が消えてゆく。


 あ~あ、どうやって帰るのやら。

 俺はいつ帰れるか、不安でしょうがね~よ。

 マジでねみ~し。

 今日の俺、寝すぎだよな。


「さて、グラウンドの状態はどうなのか、確認しようかしら。まさかとは思うけど、卑怯者なミアが、事前にこのルル様に恐れをなして、魔法トラップを仕掛けていないとも考えられなくないしね」


 魔法トラップね~と思いながら、

 タクはルルーシカの後ろをついてゆく。


「ちょっと何よ。金魚の糞みたいに私についてきて。あんたは決闘をしないんだから、ふちでご主人様の私の応援をしていなさいよね。邪魔なのよ。集中力を高めるのに」


 なんだそりゃ、とタクは思いながらも、

 断る理由もないタクは、

 グラウンドのすみに生えているかしの木の根元で、寝転んだ。

 

 遠くで、ポツリと一人立ちつくしているルルーシカを見ると、

 砂漠に取り残された旅人のようだな、となんとなく思った。


「はぁ~あ、ミアの奴遅いよな」


 腕枕をし、空を見上げると、

 飛行機が、後方に飛行機雲を伸ばしながら、

 横切ってゆく光景が目に入ってきた。


 ひぐらしの鳴き声が心を揺する。

 何故か、その鳴き声に混じり、波の音が聞こえて来た。

 

 おそらく、とてつもなく、心地よい時間だったのだろう。

 そのせいで、タクは知らぬ間にうつらうつらと、眠ってしまっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。