古の魔法
タクには、棚の縁にあるいかにも古びた本の背表紙が、
輝いて見えた。
なんで、あの本だけ、
白い光を放っているんだ?
タクはその本に触れると、
パチンと音をたてはじけた。
「わっわっわっわっわっ!」
タクは尻餅をつく。
「何やってるのよ、あんた。突然、奇声をあげて、尻餅をつくなんて。一人遊びもいい加減にしなさいよ」
「本に触れたら、目の前に星屑が散らばって、は、はじけた」
「意味不明なこと言って、さぼろうとしても無駄なのよ。真剣に探しなさいよ。真剣に」
タクは目の前で起こった現実を言うも、ルルーシカに一蹴された。
また、はじけないよな。
タクは、ビクビクしながら、
再び、輝き放っていた本に指先で触れる。
チョン、チョン。
チョンチョンチョン。
今度ははじけなかった
大丈夫のようだ。
さっきのは何だったんだ?
俺の気のせいか?いやいや、さすがにそれはないだろ。
本を棚から抜き出す。
ところどころ剥げた黒表紙の、鍵付きの本だった。
鍵か・・・。
俺、この本の鍵を持っていないしな。
タクは指先で鍵穴を撫でる。
すると、
ガチャリ、
と音がした。
おいおい、ま、まさか。
本の鍵は開いていた。
ページを恐る恐るめくろうとすると、風に吹かれたかのように、
パラパラとページがめくれ、
あるページで止まる。
まるで、精霊か妖精の類が、そのページを見ろと言っているかのようだった。
そのページには、ミアが宙に描いたあの黒い炎の紋様が描かれていた。
外炎の一本一本が蛇の形をしていた。
「こ、これは・・・お、おい、ルル、見つけたぞ。これだろ」
タクはルル―シカに本を見せる。
「ん?どれよ」
ルル―シカはタクが見つけた本を真剣な眼差しで見つめる。
「ん~と、ええ、そうよ。これよ、これ。・・・う~ん、すごく古い言葉で書かれている。古代ギルハル語で書かれているっぽいけど、う~ん、難しいわね。書いてあるところがところどころしか読めないし」
タクは目的の本を見つけて、
やっとこの拷問から解放されたと思った。
ルル―シカはそれからしばらく、
ぶつぶつと独り言を呟きながら本を読んでいた。
目は真剣そのものだ。
そうとう負けず嫌いなんだな、とタクは思った。
俺なんて、負けても全然気にならないのに。
「ねえ、あんた、この一節、読める?」
お前に読めないものが、俺に読めるのかよ・・・。
タクはルル―シカが指でさしている部分に目を通すと、
よくわからん内容が書いてあった。
「蛇の怨呪を宿した、闇に溶けし古の炎よ。我に力を与えん・・・なんだこの文章・・・」
タクの言葉にルルーシカの目の色が変わる。
「こ、これは・・・」
「ん?このよくわからん文章がどうしたんだ?」
「これは古の魔法の・・・呪文の一節・・・な、何であいつがこんなもの使えるのよ!!」




