よりよい恋愛をするための心がけ
何階くらい階段を上っただろうか。
おそらく、20階くらいはのぼったと思う。
「はあ、はあ、はあ、どんだけのぼるんだよ」
「そろそろよ」
螺旋階段の踊り場。
青いじゅうたんが敷かれた石壁の前でルルーシカは立ち止まる。
「急に立ち止まって、どうしたんだ?」
「ここよ」
石壁のつなぎ目に指を走らせ、ルルーシカはぶつぶつと呪文を唱えた。
すると、
ガガガガガガ。
壁に穴をあけるような、不快感きわまりない音が響きわたり、
その音が止むと、壁には古い木のドアが現れていた。
「さあ、なかに入りましょ」
「ど、どこに通じているんだよ。ま、まさか、地獄という落ちはなしにしろよな」
「バッカみたい。私用の図書室よ」
な~んだ。図書室か。
ん?私用?
ということは、ルルーシカが所有する図書室ってことか?
タクはルルーシカに続いて、図書室に入る。
部屋は薄暗く、カビと埃の匂いが鼻をついた。
ルル―シカが、パチンと指を鳴らす。
黄色い炎が、ボッボッボッボッと何か所かで灯った。
黄色い炎で照らされた図書室は教室と同じくらいの広さがあった。
壁には本がびっしりと並べられている。
上を見上げると、光が届かないところまで本が並べられているようだった。
ルルーシカは梯子にのぼり本を探し始めており、
すでに何冊かわきに本を抱えていた。
「へえ~たくさん本があるんだな。ここで自習しようってわけか。意外と勉強熱心なんだな」
「そんなわけないじゃない」
ルル―シカは中央に置かれた机の上に、
本をドンと置いた。
「なら、何しにここに来たんだよ」
「ほら、あんたもちょっとは手伝いなさいよ。私よりも言語に精通しているんでしょ。いつのまにかね」
ルル―シカは本を渡してきた。
古い本らしく、表紙が埃で汚れている。
手で払うと、表紙には、
『よりよい恋愛をするための心がけ』というタイトル名が、
ピンク色の文字で書かれていた。
何を自習するつもりなんですか?
あなたは・・・。
「お前、恋愛について学ぶつもりか?」
「はあ~?あんた、ふざけているの?バカにもほどがあるわよ。調べようとしているのは、ミアのさっき使った魔法についてよ」
ああ、ミアが放った魔法についてね。
で、恋愛とどう関係があるのか、タクにはよくわからなかった。




