ミアの不気味な笑い
熱風がタクの体を吹き抜けた。
「おい、大丈夫なのかよ、カイエンの奴」
誰かが叫んだ。
「な、な、な、何よ、あの魔法は」
他の誰かが震えた声で言う。
煙の中からミアが現れ、自分が座っていたところに座った。
何事もなかったように・・・。
ミアはルル―シカに視線を送る。
顔には不敵な笑みを浮かべていた。
強い風が吹き、風が煙を押し流すと、
顔を両手でおさえ、うめいているピエロが地面に倒れていた。
「痛い、痛い、痛い、痛いよぉ。ママ、助けてよ」
地面に足をばたつかせ、ピエロは涙声を漏らしていた。
その直後、
カメラのフラッシュのような光が瞬いた。
動きを止め、固まっていたとんがり帽子先生が動きだす。
「あれ?あれれ?・・・何?どういうこと?」
とんがり帽子先生は、起こった出来事を認識していなかったらしい。
あたりを見回し、地面でのたうちまわるピエロのうめき声を耳にし、
「え?え?カイエンくん?あわわわわ~どうしよう。どういうこと?これっていったい・・・どうしたらいいのよ?」
とんがり帽子先生は、目の前に存在する異常事態に動揺し、おどおどと歩きまわる。
「こういった時は、と、とにかく、医務室に連れて行かないと・・・。あぁ~ん、学校に戻らないと。『パパラ~ン、ヘッドリッジ魔法学園に戻れ!』」
とんがり帽子先生の言葉に反応し、地面に描かれた紋様が再び輝く。
空間は歪み、次の瞬間には、
タクはヘッドリッジ魔法学園の校庭にいた。
とんがり帽子先生は授業を中断し、
数人の生徒とともに、ピエロを医務室に連れて行った。
タクたちは教室に戻っているように言われた。
教室に戻っても、ざわつきは収まらなかった。
クラスメイトは口々に、授業で起こったことを話題にしていた。
その話題の中心人物――ミアは、
クラスメイトの冷ややかな目を、まるで気にすることなく、
椅子に座り、爪を磨いていた。
ミア・・・どんだけズ太いんだよ。
しばらくして、とんがり帽子先生と一緒に医務室に行っていたクラスメイトが戻ってきた。
とんがり帽子先生は一緒じゃない。
「とんがり帽子の奴、カイエンの治療のため同行するんだってさ。残りの授業時間は自習しといてだって」
戻って来たクラスメイトの言葉に、教室はざわつく。
ミアは依然として爪を磨いていた。
ケラケラと楽しそうに笑っていた。
タクはミアのその異常な感性に気色悪さを感じた。
普段どうりの行動のどこに、気をとめる必要があるの?と言っているようにさえ思えた。
「あんた、ちょっとついてきなさいよ」
椅子に座っていたタクは、ルルーシカに肩を引っ張られた。
あまりに唐突なことに、タクは椅子から転げ落ちそうになる。
「わぁっ!・・・あ、ぶね~な。な、なんだよ急に」
「いいから、ちょっとついてくる!」
ルル―シカに手を引っ張られ、タクは教室を出た。
「お、おい、何だよ。突然」
「行くところがあるの。ちょっとついてきなさいよ」
ルル―シカは階段を駆けのぼる。
「おい、どこに行くんだよ。今は自習時間だろ?」
「別に、自習時間なら、どこで自習しても問題ないじゃない」
「まあ、そう言われれば、確かにそうだけど・・・」




