黒き炎
ミアはとんがり帽子先生にあてられ、立ち上がった。
ピエロやとんがり帽子先生をではなく、ルルーシカをじっと見つめていた。
不敵な笑みを顔に浮かべ、
さあ、あなたにショーを見せてあげましょうと、
その笑みが語っているかのように、タクには思えた。
ミアは、ピエロのそばまで歩いていった。
今、二人は、数メートルの距離を隔てている。
その周りをクラスメイトが囲み、息を飲んでいた。
「それじゃあね。まずはどっちからどちらへ、攻撃しましょうか?」
とんがり帽子先生は咳ばらいを一つ。
「ふふふ、そんなものは、いらないわ」
ミアは宙に指を走らし、
黒色の炎の紋様を描き出した。
「さあ、はやく、あなたもちゃっちな無効化魔法『エルドゾーブ』を描きなさい」
「ははははは、僕は今日の日のために練習をしてきたんだぞ。後悔させてやるからな」
「ふっ・・・」
ミアは目をスッと細め笑った。
ピエロは宙に指を走らせ、
風になびくカーテンのような紋様を描き出した。
「ちょっと、あなたたち、勝手に授業をすすめないでくれる?今は、授業中なのよ。それに、エルドゾーブでの無効化には、それなり技術が・・・」
「うるさいのよ。クソババア!!」
ミアの双眸がキラリと光を放った。
すると、
とんがり帽子先生は、言葉を発するのを止め、
カチリと固まってしまう。
「さあ、邪魔者はいなくなった。準備はできているわよね。さあ、受けてごらんなさい。うがっ!!」
宙に展開される黒い炎の紋様を、ミアは拳で貫らぬいた。
「『黒き炎の渇望』!!さあ、受けきってごらんなさいよ!!」
ミアの拳から、蛇の如く曲線を描く黒色の炎が放たれた。
「ちょっと、ちょっと、こんなのあり?え、エルドゾーブ!ぼ、僕を守ってっよ!」
ピエロはエルドゾーブの紋様に両手をかかげた。
すると、光放つカーテンが、ピエロの前に展開される。
ミアの放った黒き炎と、ピエロの展開した光のカーテンが重なり合う。
「あはははは、いいわよ。すごくいい。気持ちがいい。でもね!」
ミアが拳をさらに前方へと突き出すと、
黒き炎の勢いが何倍にも膨れ上がった。
黒き炎の勢いと、エルドゾーブの無効化による
拮抗状態が崩れる。
「おいおいおいおい、こんなの、ありかよ」
光のカーテンを黒色の炎が飲み込み出す。
「ミア、もうダメだって。これ以上は僕が耐えられそうもないって」
「そう、なら、飲み込まれてしまいなさい」
「あああああああああああああああああああああ!」
エルドゾーブのカーテンをすべて飲み込んだ黒色の炎は、
ピエロをも飲み込んだ。
粉塵と爆炎、さらには爆音が生じた。
煙や石が巻き上がり、
クラスメイトはあまりの驚愕な出来事にただ呆然としていた。
ピエロ、大丈夫なのかよ。




