悪夢?
「あああああああああああああああああああああ!!」
「どうしたの?」
レーラの声で、タクは我に返る。
レーラのコバルトブルーの瞳が、タクの顔をじっと見つめていた。
レーラ、俺は・・・。
ここは、教室か・・・。
今の光景はいったい・・・。
「いや、なんでもない。変な夢を見ていたっぽい」
すでに授業が始まっており、
タクの叫び声に、教師だけでなく、
クラスメイト全員がタクを注目していた。
「すみません。変な夢を見ていたようで・・・」
タクの席から立ち上がり謝罪の言葉を述べると、
教師はため息をつき、
クラスメイトはクスクスと笑った。
なんだったんだ?さっきの夢は。
やけに生々しく、
やけに悲劇的で・・・。
夢を思い出そうとすると、タクの胸はズキリと痛んだ。
授業は科学史だった。
いや、それは正確ではない。
魔法世界から見た、科学史の授業だった
「魔法を扱えない人間たち――ウマジカの生活において、科学というのは、彼らの生活を支えていたらしい。例えば、冷蔵庫。これが作られたことによって、食物の保存期間が劇的に伸び、食に関する不安が解消されたという。ただ、我々の冷蔵庫とは違い、小さかったという。我々の冷蔵庫は一家に一台、最低でも倉庫一個分くらいの広さがあるからな。ははははは」
う~ん、ルルの冷蔵庫って倉庫くらい大きかったけ?
普通の冷蔵庫と同じ大きさだったけど。
あの冷蔵庫には、俺の知らない機能でもついているのか?
「ここで諸君に忠告しておく、くれぐれも冷蔵庫の取り扱いには注意をしよう。私はつい数日前、娘や妻に内緒で手に入れたギギギ地方のワインチョコレートをこっそりと、冷蔵庫の中で食べようとしたのだ。ところが、まさか、冷蔵庫の中に私が入っていると思いもしない娘が、なんと冷蔵庫を閉めてしまったのだ。それもご丁寧に鍵までかけてしまい、私は暗闇の中、寒さと恐怖で震えたのだ。というか、しばらく凍っていたがな。ははははは。なので、諸君、冷蔵庫に入る時は、必ず、『入っていますよ』というアピールする掛け看板をかけておくように。でないと、私のように凍ってしまうぞ」
冷蔵庫に関する興味深い話だったが、
タクは、ぼんやりと窓の外を見つめていた。
さっき、目の前に広がった光景は、
いったい、何だったんだ?
やけに、リアルで、
やけに、生々しくて、
そして、悲しくて。
不意に、強い睡魔が襲ってきた。
「あ・・・・・・」
声を漏らした瞬間、バタリとタクは机を枕にして眠ってしまった。




