石碑
時間としては数秒だろう。
体に降り注いでいた銀色のシャワーが消えると、
目の前には、神社の社と巨木がタクの目にうつった。
昨日、帰る時に通った神社だった。
「何で、昨日と通学路が違うんだ?」
「私が知るわけないじゃない。お偉いさんに訊いてみなさいよ」
お偉いさんって、誰に訊けばいいんだよ。
校長先生か誰かか・・・。
俺、校長先生が誰か、知らないんだけど。
社は相変わらずボロボロだった。
砂と埃に汚れ、とても神をまつっている場所とは思えない。
巨木の前に行くと、昨日と同じように、
幹が、中心でスルスルっと二つに裂け、
巨大な穴が開いた。
不思議なことに、幹に巻かれているしめ縄は切れることはなかった。
「またここを歩くのか~」
左右に並ぶ石碑。
それは、昨日とは違い、青白い光をぼんやりと放っていた。
もしも、火の玉が存在するのなら、こんなんだよな、とタクは思った。
ただし、青ではなく赤だろうけど。
「あれ、この石碑ってお墓かなにかか?」
「さあ、どうなんでしょうね。調べれば、わかるだろうけど」
昨日は石碑にかかれている文字を読み取ることができなかったが、
何故か、今日は石碑の文字を少しだけ読み取ることができた。
年号と名前が書かれていた。
ただ、石碑の文字は風化により、はっきりしないため、
年号も、名前も自信がなかったが。
なんで、石碑に書かれている文字が今日はわかるんだ?
昨日は、わからなかったのに。
どうして・・・。
「どうしたの?幽霊を見て、びっくり仰天したかのような固まった顔をして」
「い、いや、なんでもない」
タクは、目をこすると、石碑からぼんやりと出ていた青白い光は消えていた。
巨木を通り抜けて、二人は学校にたどり着いた。
昨日よりも30分もはやい到着だった。




