リバース
教室に入ると、
クラスメイトは仲の良い者同士、ワイワイガヤガヤと楽しそうにしていた。
「あ~、また、たるい一日が始まるわ」
ルルーシカは欠伸をしながら、
スクールバックを机に投げ捨てた。
おいおい、朝っぱらから、やる気ね~な。
タクは自分の席につき、教科書を出していると
前の席のレーラが、タクをジッと凝視していた。
なんだよ。俺のことをじろじろ見て。
ま、まさか。
朝、ルルの奴が作ってくれたゴミが、俺の口もとについているとか。
タクは手の甲で口を拭う。
「おはよう」
「お、おう、おはよう」
なんだよ。おはようのための間だったのかよ。
そもそも、間なんてあける必要があるのか?
本当に、変わった女だな。
ホームルームが始まった。
ルルーシカの前の席――かなえの席は空席だった。
あの子、どうしたんだろう。今日は休みか。
いったい、どんな病気なんだろう。
そういえば、ルルの奴が俺のせいだとか、なんだとか言っていたっけ・・・。
あの子の病気と俺が関係ある?
なわけあるか。
お色気は異常なまでにハイテンションだった。
「私ね。昨日、いいお酒を見つけたんだ。奮発して買っちゃたの。お酒はいいわよね。お酒さえあれば嫌なことぜ~んぶ忘れられるんだから。うっぷ」
お色気の顔色はかなり悪かった。
肌は青白く、目の下には黒々とした隈ができていた。
「はあ、はあ、はあ、まあ、お酒は最高よね。祝いにもなるし。いや~なことも忘れられるし。でもね、みんな、飲みすぎには気をつけましょうね。うっぷ」
おいおいおい、うっぷ、うっぷって。
もどすんじゃね~だろうな。
朝から、変なもんみせんじゃね~ぞ。
「先生、昨日の合コンはどうだったの?」
クラスメイトの誰かが地雷を踏んだ。
お色気はがっくりと頭を下げ、肩をワナワナと震わし、
拳を振り上げる。
「あああああああああああ!!!くそっ!くそっ!くそっ!、あいつ、私のこと気に入ったと言ったのに、何よ、気がついたら、私をほっぽって、あんな地味な女と一緒に、夜の街に消えていきやがって!・・・うぐぅうぐぐぐ」
お色気は両手で口を押さえる。
ほっぺたを膨らませ、
「あ、や、や、ば、い、も、戻してしまう。きょ、今日のホームルームはもう終わりよ、じゃあね、みんな」
ダッシュで、お色気は教室を出ていった。
いったい、あんたは、毎度、なんなんだ。




