↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/133

どこかの誰かさんの浮気話

 一限目は古代魔法言語の授業だった。


 知らない言語かと思い身構えたタクだったが、

 教科書を読むと、別段普段使っている言葉と何ら変わりなく

 なにが、古代魔法言語なんだ、とタクは思った。


 教科書、間違っているのか?

 全然、古代魔法言語じゃないし。

 

 教科書をパラパラとめくり、最初から最後まで目を走らせると、

 どこにも、知らない言語は書かれていなかった。


「おい、タクや、タクや。わたしのタクや。23ページの3行目から読んでちょうだいな」


 顎鬚の長いおじいちゃん先生がタクを当てる。

 腰が曲がっており、鷲鼻からは鼻水が垂れていた。

 花粉症なのだろうか。


「えっと~、今日は、すごく天気がいい。こういった日はアホみたいに女あさりがしたくなる。貴族のマメタケは愛人の家を後にしたのち、街に繰り出した・・・」


 なんだ、この文章は・・・とタクは思った。

 おじいちゃん先生は、うんうんと呻っている。


「いや~、今日は実にムラムラするな。そうだ。女の子をナンパしよう。『ねえ、ねえ、お嬢さん、一発、やらせてくれませんか』と声をかけると、私の顔面に鉄拳が飛んできた。いきのいい女だった」


 大丈夫かよ。この話・・・とタクは思う。

 おじいちゃん先生は、目をつぶって、腕を組み、頷いている。

 何に、納得しているんだよ。


「さて、100人に声をかけ、100発の鉄拳をもらった私は、妻のもとに、帰った。『ただいま帰ったぞ』と家の扉を開き、顔を上げると、お出迎えをした妻が微笑んでいた。右手には刃渡り数メートルはある包丁を持って。

 それを見た私は、短い人生の終焉を悟ったのである」


 タクは読み終え、着席をすると、


「私のタクや、すばらしい」


 おじいちゃん先生はパチパチパチと拍手をした。


「これほど、素晴らしい、古代ゼノギア語を聞いたことがない。流暢でかつ発音も完璧。私が師事したいくらいだ。実に勉学に励んでいるとよくわかる。みなもタクを見習うように」


 クラスがざわつく。

 タクは、おじいちゃん先生が何故、自分をほめたのかわからなかった。

 普通に、クソみたいな内容の文章を読んだだけなのに。


 俺をはめようとしているのか?


 その後、授業では、どこかの誰かさんの浮気話をさんざん聞かされた。

 クラスメイトはよくもまあ、こんなくだらない話を聞かされて嫌にならないなと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。