二日目の登校
学校へは昨日帰りに通った道ではなく、違う道で行った。
タクとルル―シカは海岸沿いの道を歩いていた。
バスが何台も横を通り過ぎたが人は乗っていなかった。
陽の光に照らされ、銀色に輝く海には、カモメが飛んでいた。
遠くの方に島が見え、島の岸壁に当たっては砕け、当たっては砕けを、
繰り返している波が、映画の一場面のようにタクには見えた。
心地よい潮騒と濃厚な磯の香りに、タクはほっと息を吐き出す。
「ほら、こっちよ」
ルル―シカに続き、タクは浜への階段を下りてゆく。
すると、不思議なことに、
目の前に広がっていた美しい海は消え去り、森が現れた。
虫の音や鳥の鳴き声が響いていた。
風が吹くと、笹を揺らした時のような、
ザワザワといった木々のせせらぎが聞こえてくる。
淡い緑色の光が、曲線を描きながら飛んでゆく。
虫だった。
日中に光を放つ蛍か何かか、とタクは思った。
長い石段を下りきると、目の前には泉が広がっていた。
静寂を称える泉。波ひとつ立っていない。
色は濃紺。
覗き込むと、意識そのものが吸い込まれそうなほど、
深い色をしていた。
「さあ、行こうかしら」
ルルーシカが右手をあげると、泉の中心は盛り上がった。
盛り上がりは、徐々に上がってゆく、その高さ、数メートル。
突如、大きく、盛り上がりははじけ、
銀色のシャワーがタクとルルーシカに降り注いだ。
「わわ、冷たい!あれ?冷たくない?」
「当然でしょ。何を言っているのかしら」
ルルーシカは泉に足を踏み入れる。
ルルーシカの足元に、波紋が広がるも、足が沈んでいかない。
「さあ、行きましょ」
ルルーシカが手をタクへと伸ばしてきた。
「あ、ああ」
恐る恐る、その手を握り、タクも泉へと足を踏み出した。
不思議なことに、泉に足が沈んでくことはなかった。
泉が大きく吹き出した場所に、銀色の膜が張っていた。
その中に二人は入って行った。




