ゴボウの味は、女の子の味?
三人はタクの机で弁当を食べた。
タクは机の上に弁当を置くスペースがなかったので、
仕方がなく、膝の上に弁当を載せて食べた。
かなえはタクのかわいそうな姿を見て、
「私、自分の席で食べるから・・・」と言ってくれたが、
「いいのよ。かなえ。こいつはチーズ奴隷なんだから、これぐらい普通なの。今こいつは無上の喜びを感じているのよ。ご主人様に奉仕している喜びをね」
ルルーシカの残酷な言葉に、かなえは俯いた後、微笑む。
口もとは強張っていた。
何言ってんだかな~と思いながら、タクは黙々と箸を進めた。
ゴボウのみの弁当も、それほど悪くはなかった。
ゴボウサラダに、きんぴらゴボウ、ゴボウのマヨネーズあえ、ゴボウごはんとまあ、ゴボウずくしではあったが、結構いけるじゃんと思ったりもした。
ゴボウ弁当(女の子風味)と書かれていたけど、
どのへんが女の子風味なんだろう、とタクは思った。
タクは弁当を食べ終え、窓の外をぼんやりと眺めた。
遠くには深い緑色を称える森が、眼下には、透明度が高い澄んだ湖が広がっていた。
「何見ているのよ」
ルルーシカはハンバーガーの包み紙をくしゃっと丸める。
「別に・・・」
「あっそ」
かなえはサラダを半分ぐらい残し、すでに箸をおいていた。
「かなえ、もういいの?」
「うん・・・もう食べれないの」
「そっか・・・うん、そうだね・・・そろそろ自分たちの席に戻ろうか、かなえ」
「うん」
二人は椅子から腰を上げ、自分たちの席に戻っていった。
かなえは戻りぎわ、「ごめんね。タク君」と言ってくれた。
それに対してタクは「いいよ」と言った。
かなえは、残したサラダと椅子を持ち、タクの席を離れる。
タクの席には、ルルーシカが持ってきた椅子が残されていた。
あの野郎、どこからかっさらってきたんだよ。
元の場所に戻していけよ。
さらにゴミまで、ご丁寧に俺の机に残していったし・・・。
タクは、ルルーシカが残していった椅子に手をかけようとした―――その時、
金色の髪をした女子生徒がその椅子に腰を下ろした。
教卓前の席の女子生徒だった。




