ルル、早く死んでよ!!
「かなえ・・・そんな・・・」
ルル―シカは両手を地面についた。
「私、知らなかった。かなえがタクのことを好きなんて知らなかった。私はてっきり・・・ごめんなさい、ごめんなさい」
ルルーシカの頬を伝った涙が、ポタリポタリと音をたてて、地面に落ちた。
「謝罪なんていらない!! 謝ってもらっても、もう過去は戻らない!! でも、今は、なんかすごくいい気分。苦しんでいるあなたの姿を見るのって、うふふ、すごく最高!! 心の奥深くにある淀んだドロドロが消えていく・・・。
ねえ、ルル、まだ死なないの? 早く死んでよ!! 私の心を救ってよ!!」
「聞くな!! ルル!!」
タクは、吐くような格好で、嗚咽を漏らすルルーシカに叫んだ。
「うるさい!! ただの入れ物の癖に!! ただの抜け殻の癖に!!」
かなえはタクの腹に剣をさらに深く突き刺した。
「ぐ、ああぁぁああああああ!!」
「ほら、もうすぐだぞ。お前がかなえから奪ったものが戻ってくれば、俺様を完全な姿になることが出来るんだからな」
ルルーシカはかなえがタクにしゃべる言葉が聞こえていないようだった。
どうやら、かなえが《男の声》でしゃべる時はルルーシカには聞こえていないらしい。
「くふふふふ、苦労したぞ。ミアとカイエンが俺様の操作魔法を乗り越えて勝手に動きやがるからな・・・俺様の復活と魔法界支配への計画が最初の段階で台無しになりそうでひやひやしたんだぞ。
憎しみが、魔法を乗り越えるとは聞いた事があったが、よもやこの目で目の当たりにすることになるとはな。そもそも、俺様の魔法が弱くなっていたかもしれんがな。
とはいえ、ぐふふふふ、お前ら・・・憎まれすぎだぞ」
タクからかなえへと、黒い剣の内部を伝い、何かが通り抜けてゆく。
それは、青白い光をしていた。
―――あの深い森の奥で、かなえからタクに捧げられたかなえの一部。
ぐっ、何だよこれ。それに、こいつは何を言ってやがるんだ。
ち、ちくしょう、俺は何にもできず、
このまま死んでしまうのかよ。
くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
その時、
タクの知らない光景が、赤く染まった空と重なるように広がった。
同時、声も聞こえて来たのだ。




