偵察3
エレナはすぐに片手を上げ、俺たちへ止まるよう合図を出した。
前から来る三人は、まだこちらに気づいていない。だが後ろの二人は、俺たちが残した足跡を見つけたらしく、ゆっくりと近づいてきている。
このまま隠れていても、見つかるのは時間の問題だ。
「前の三人は私たちがやる」
エレナが小さな声で言った。
「シオン。貴様は後ろの二人を見張れ。気づかれたら迷わず撃て」
「了解」
俺は近くの木へ背中をつけ、銃を構えた。足音が少しずつ近づいてきた。一人が地面に残った足跡を確認し、もう一人が周囲を警戒している。
「この痕跡新しいぞ?近くに誰かいるぞ!!」
やはり気づかれた!俺は素早く木陰から飛び出し、警戒していた兵士へと銃口を向けた。
「なっ――」
相手が声を上げるより先に、引き金を引く。青白い光が走り、敵兵の胸を撃ち抜いた。
隣にいた敵兵士が慌てて銃を構えるが、遅い。俺は距離を詰め、その銃身を横からつかんだ。銃口を逸らすと同時に腹へ膝を入れ、倒れたところで首へ腕を回す。
「ぐっ・・・!」
暴れる敵兵の首を、そのまま締め上げ。やがて身体から力が抜け、動かなくなる。
「後ろは片づけました」
振り向くと、前にいた三人も既に地面へ倒れていた。そのうち二人は胸から血を流し、もう一人はエレナに銃を向けられている。
「所属と目的を答えろ」
「・・・・・・」
「答えろ! なぜ国境を越えた!」
敵兵は何も答えなかった。代わりに腰から何かを引き抜いた。
「少尉!」
俺はエレナを横から突き飛ばした。次の瞬間、敵兵が握っていた小さな魔晶石が赤く光り、爆発した。
身体が地面へ叩きつけられ、耳鳴りで何も聞こえなくなった。
「シオン!」
エレナが俺の肩をつかみ、無理やり身体を起こした。
「大丈夫か!?」
「はい・・・ですが少しだけ痛みが」
背中に熱を感じる。軍服も一部が焼けていたが、身体は動く。
「負傷者が一人! 右肩に破片が入っています!」
仲間の兵士が叫んだ。爆発に巻き込まれ、一人が肩から血を流している。
「応急処置だけ済ませろ。すぐに移動する」
「しかし、今の爆発で敵に・・・」
「ああ。完全に気づかれた」
補給拠点の方から、叫び声が聞こえてくる。さらに何発もの赤い光が空へ上がった。
「追手が来ます」
「走れる者は負傷者を支えろ! 監視所まで止まるな!」
俺たちは再び森の中を走り出した。
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監視所へ着いた頃には、全員が息を切らしていた。
木で作られた小さな建物と、要塞へ向けて伸びる巨大な通信塔。中にいた二人の監視兵が、俺たちの姿を見て慌てて飛び出してきた。
「エレナ少尉!? 何があったんですか!」
「緊急事態だ。通信機を貸せ!」
「は、はい!」
エレナが建物へ駆け込み、通信機を起動させた。
青白い光が通信機を走り、空中に要塞との通信画面が投影される。だが、画面は激しく乱れ、何も映らない。
「なぜ繋がらない!」
「そんなはずは・・・今朝までは正常でした!」
「敵の妨害でしょう」
低い音が、森全体へ響いている。ただの魔晶炉の音ではない。通信を妨害する装置も、既に動き始めている。
「通常通信は使えない。緊急回線へ切り替えろ!」
「ですが、それではこちらの位置も敵に知られます!」
「既に知られている! 早くしろ!」
監視兵が震える手で通信機を操作する。乱れていた画面が一瞬だけ消え、ノルヴェイン要塞の紋章が映った。
『こちらノルヴェイン要塞通信室。所属と認識番号を――』
「エレナ・クロイツ少尉だ! 国境の森でセルディキア軍を確認! 魔導戦車十二両、敵兵百人以上! 現在、要塞へ向けて進軍を開始している!」
『セルディキア軍・・・? 少尉、それは確かな――』
「間違いない! 全門を閉鎖し、戦闘準備に入れ!」
通信兵の返事が聞こえる前に、画面が再び大きく乱れた。
直後・・・地面が揺れた。
「なんだ・・・?」
遠くで、重い砲撃音が鳴った。戦車の砲撃だ。だが、狙われたのは要塞じゃない。
「伏せろ!」
俺が叫んだ次の瞬間。監視所の通信塔が、青白い光に呑み込まれた。
皆様こんにちは!新作です!行き当たりばったりで書き進めていくタイプの話になります。
この作品は、とにかく毎日投稿することを目的に書いていきます。
思いついた日は三千文字くらいになるかもしれませんし、どうしても書けない日は千五百文字くらいになることもあると思います。
話数ごとの文字数は安定しないかもしれませんが、毎日投稿だけは続けます!
よければ、シオンたちの物語に最後までお付き合いください!




