偵察2
「十二・・・」
エレナは敵地を見下ろしながら、敵の数を確認していた。
「見張りが八。整備兵を含めれば、百人以上か」
そう言いながら、谷間から小さな記録器を取り出した。覗き込んだ景色をそのまま保存できる、記録用の魔導具だ。
エレナは魔導戦車と積み上げられた物資を、順番に記録していく。
「これだけあれば十分だ。すぐに要塞へ戻る」
「待ってください」
「なんだ?」
「あの戦車・・・もう魔晶炉が動いています」
森の中へ響いている低い音は、一両だけのものじゃない。十二両すべての魔晶炉が、既に起動していた。
戦車の周囲では兵士たちが砲弾を積み込み、整備兵が車体を覆っていた迷彩布を外している。天幕から出てきた指揮官らしき男が、集まった兵士たちに何かを叫んだ。
その直後、中央に赤い光が上がった。
「出撃信号だと・・・」
エレナの表情が変わった。
「恐らく、今日仕掛けてきます」
「なぜ分かる?」
「魔晶炉は、長時間起動させたまま待機させません。砲弾も積み終わっている。もう出撃する直前です」
前の世界線よりはるかに早い。俺の記憶では、奇襲が起きるのは数日後だった。
どうして・・・歴史が変わっているんだ?
「要塞まで戻るには二時間かかる」
エレナが地図を開いた。
「だが、戦車なら一時間もかからない。今から戻っても我々は間に合わない・・・」
このままでは、俺たちが要塞へ戻るより先に攻撃が始まる。
「近くに国境監視所はありませんか?」
「ここから東へ向かった場所にある。そこなら要塞と直接通信ができるはずだ」
エレナが地図を開き、監視所までの道を確認する。
「だが・・・敵の補給拠点を迂回すれば、かなり時間がかかる」
「間に合わせます」
「簡単に言うな。発見されれば、要塞へ知らせることすらできなくなるんだぞ」
「それでも行くしかありません。このまま戻っても、敵の方が先に着きます」
エレナはしばらく地図を見つめていたが、すぐに顔を上げた。
「わかった。監視所へ向かう。ここから先は走るぞ」
「了解です」
「全員、ここから離れる。絶対に音を立てるな」
俺たちは身体を低くし、来た道を戻り始めた。その時だった。
森の奥から、複数の足音が近づいてきた。前から三人。さらに後ろからも二人。敵の補給拠点へ戻る途中の巡回兵だ。
俺たちは・・・完全に挟まれていた。
皆様こんにちは!新作です!行き当たりばったりで書き進めていくタイプの話になります。
この作品は、とにかく毎日投稿することを目的に書いていきます。
思いついた日は三千文字くらいになるかもしれませんし、どうしても書けない日は千五百文字くらいになることもあると思います。
話数ごとの文字数は安定しないかもしれませんが、毎日投稿だけは続けます!
よければ、シオンたちの物語に最後までお付き合いください!




