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幸せマーケット  作者: 吉永進
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自尊心

橘さんはさらに続けて話した

「あなたから高校の卒業式で告白してもらったけど、その時私は賢治のことが好きで、、。ごめんね。それから私たち全くといっていいほど会わなくなったよね。

10数年一緒にいたのに。」

無理やり閉ざした記憶。

忘れようとしても忘れられなかった記憶。

ようやく消えかかったのにまたよみがえってきた。


あの壺は夢を叶えてくれる代わりに大切なものを差し出す仕組みだった。

それはおそらく私の自尊心。

大事な大事な自尊心。

傷つきたくなくて守り続けた自尊心。

心の中をこじ開けられた気分になった。


怪しい男の欠が家に訪ねてきたのも、大事な自尊心を捨てる覚悟があるのか、現実をしっかり見つめられるか、引き返す最後のチャンスという意味もあったのかもしれない。返事する直前に壺をおいていったのは、

以前「センタク」を壺に頼んでしまったため、勝手に「現実をしっかり見つめる「選択」」を強制されてしまったのだと思う。



幼馴染み3人組、しかも男女の三人組となれば、告白するとなれば慎重にならなければならない。

少しでも間違えれば変な亀裂が入ってしまい元のような関係に戻るのは困難になる。

その暗黙のルールを私は破ってしまったのだ。

由美子ちゃんはずっと賢治のことが好きなのはわかりきっていた。力強く優しい兄貴みたいな賢治は男の私だって惚れそうなくらいだ。

私の正解の立ち回りは由美子ちゃんと賢治を応援することだった。応援して、たまには三人で遊んで、

その後、二人が結婚でもすれば結婚スピーチの代表挨拶のときに幼いときの笑い話で場を和ませることが大事な役割だったと思う。


でも、由美子ちゃんと付き合いたいという強い欲望に負けてしまったのだ。由美子ちゃんは私より賢治のほうが好きとなんとなくわかっていながらも告白してしまったのだ。


賢治は卒業後も私のことを気にかけて何回か声をかけてもらったのだが気まずくなった私は断り続けてしまったのだ。


そんな思い出したくなかった記憶が頭の中でジェットコースターのように激しく駆け巡った。


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