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記憶
目を開けると私は酸素マスクがつけられていた。
隣にはポタポタと液が落ちる点滴と胸元に太いチューブと複雑な機械が取り付けられていた。
そこには以前入院したときに屋上で見た
背が高くて、少し古びた花の髪飾りを付けていた女性がついてくれた。首からぶら下げているネームプレートには橘由美子と書いてあった。
すぐに担当医が来て説明を受けた。
どうやら私は一酸化炭素中毒になってしまったらしい。
意識を取り戻した私を見て、橘さんは少しほっとしていたがどこか気まずそうである。
私は一酸化炭素中毒になってしまったものの会いたいと願った人に会えたため、少し複雑な気持ちである。
でも、なぜ会いたかったのかそこまで覚えていない。
それも一酸化炭素中毒のせいかもしれない。
橘さんは聞こえるか聞こえないかくらいの声で
「覚えてる?」と聞いてきた。
私は何のことかわからなかったため、「何のことですか」と返した。
橘さんは続けて話した
「賢治と私と3人でよく遊んでたよね。」
私は頭がかち割れるように痛くなった。




