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幸せマーケット  作者: 吉永進
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あたりはモクモクして息が苦しくなってきた。

頭もひどく痛く、なんだか気持ち悪くなってきた。

どうやら夢から覚めたようだ。気を抜くと意識が飛びそうになる。家の中には、全く身に覚えのない火のついた七輪がたくさんおいてあった。危ないと思った私は力を振り絞った。頭はハンマーで叩かれたように痛く、耳鳴りもしてきた。はっきりした音ではなく、聴力検査で聞くちょっと不快な音が頭の中で響いていた。

わずかに残っている力を振り絞り、匍匐前進でなんとか玄関の前までついた。

「(早く扉を開かねば。)」

玄関の近くにはリビングに置いてあったはずの壺があった。生き物でも何でもないのに私を嘲笑ってるように見えた。扉からは笑い声が聞こえてくる。悪魔のような高笑いやバラエティ番組の観覧席から聞こえる笑い声、ミステリードラマの犯人がバレてしまったときに自暴自棄になって発せられる笑い声、カップルや家族がふとした瞬間にこぼれ落ちる笑い声、そして「フフッ」と私に微笑みかけるような笑い声だった。その扉を開けてしまえば良くも悪くも運命が変わってしまうかのように思えた。

息苦しく耳鳴りが止まらない中、なんとかして扉を開けた。開けた瞬間、身体に力が一切入らなくなり、意識が飛んでしまった。



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