第6話 たぬき生活のQOLが爆上がりしました
QOL。クオリティ・オブ・ライフというものが爆上がりです。
「屋根は直した。台所も、こんなもんでいいだろう。後は……お風呂でも作ろうか? あ、水汲みが大変になるか。先に井戸だな」
レナードは暇なのか、色々と直したり作ったりしてくれます。それによりQOLが上がったらしいですよ。レナードが「QOLが上がったな」とか呟いていましたから。なんですか、QOLって。たぬきは食べられない物、美味しくない物には興味ありませんよ。それで説明をしてもらったのですが、イマイチわかりません。ただQOLはいいもののようです。
「ところでお風呂ってなんですか?」
「ん? 知らないのか? 湯のなかに浸かって、体を温めたり、綺麗にしたりできる」
「体を綺麗にするだけなら、魔法で大丈夫ですよ?」
「あー……説明するよりも、実物のほうが早いな。風呂もさっさと作るか」
レナードはブツブツ言いながら働いています。働き者ですね。
「匿ってもらっているのだから、やれることはなんでもするよ」
レナードはそう言いながら動いてくれます。ですがわたしは別に匿っているつもりもないし、特に何かしているわけではないのですが。まぁやってくれるというのなら、遠慮なくやってもらいますよ。レナードは器用ですし、体力ありますし、お金にも困っていないようなので甘えます。わたしはたぬきなので、お金はないし、器用さも持ち合わせがないし、体力も微妙ですね。レナードがいるうちにしてもらえることはしてもらいましょう。かといって、何をしてもらったらいいのか分からないですけどね。たぬきなので。まぁ、ここにいる間は、レナードの好きにしてもらいます。
「夕飯は何がいい?」
「なんでもいいですよ。たぬき料理以外なら」
「ははは。たぬきは食べられないだろう。アディは面白いことを言うな」
レナードは豪快に笑います。女性のように綺麗な顔をしているし、金髪もキラキラと輝いていてとても美しいのだけど、レナードは意外と豪快です。まぁ誰しも自分の姿は見えないわけですから、見た目に合わせて性格を変える必要はないですけどね。豪快なレナードも、キラキラと綺麗なレナードも、どっちもレナードですし、どっちもわたしは好きですよ。
「あー、ベッドを作ったほうがいいか。僕のせいでアディがずっとソファで寝てるし」
「急ぎませんよ。わたしは体が小さいですから、ソファでも充分寝られます」
人間サイズになると、さすがにたぬきサイズの時のようにはいきませんが。それでもわたしの体は小柄なので、慣れてしまえばソファでも充分に寝られます。
「そうかい? なら、可愛いベッドを作ろうか。それにあれだ。アディも一応、レディだし。目隠しの衝立も作ろうか」
レディとは女性という意味らしいですが。わたしは女性かどうかは微妙ですね。メスなのは確かですけど。でもあれですね、魔女ということになると、女性でレディということになりますか? その辺は難しいですね。
「そういえば、アディ。君は何歳なんだい?」
「ん~……」
レナードに聞かれて、わたしは改めて考えます。わたし、何歳でしたっけ?
「多分……20歳超えましたね」
「思ってたよりも大人~。まだ子どもだと思ってたよ。そうか。大人かぁ~。うん。ベッドはなるべく早く作ろう。いや、それより先にまずは衝立だな?」
わたしの年齢を聞いたレナードが焦りだしました。頬もなんだか赤いです。なんでしょうね?




