首無しの騎士
「それにしてもお前たちはよくあのアンデッドの群れを突破できたな。俺たちが先に進んで戻ろうとしたら入ってきた場所にアンデッドの集団がいて脱出できなくて困ってたんだ。」
「恐らくその集団はダンジョンの外に出ていたのでしょう。邪魔なので一掃しましたからすぐに出られるはずです。」
レクスの説明に口を開けたまま固まった冒険者の肩を叩いてガリムは励ました。
「わかるぜその気持ち。こいつに常識を当て嵌めちゃいけないんだよ。」
途中からアンデッドを倒しながら進んだのが功を奏したのかアンデッドと遭遇することなく出口が見えてきた。
「やったぞ!出られるんだ!」
「おい!待て!」
いつ出られるか分からず、ダンジョンに閉じ込められた恐怖から解放された反動で出口に向かって一人の冒険者が走り出した。リーダーはそれを静止したが彼が止まることは無い。
出口に辿り着き、あと一歩で出られるといったところで走り出した冒険者の願いが叶うことは無かった。
巨大な黒い馬に跨、同じく黒い甲冑を着た首無しの騎士がどこからか走り寄ってその手に持った大きく鋭い鎌によって冒険者の首を刈り取り、そのままレクスたちに向かって来た。
「アルト!冒険者を守れ!ガリム先輩は下がって!」
いつもの余裕のある態度を崩して早口で指示を飛ばすレクス。その間に得意の無詠唱で炎の槍を五本顕現させるとすぐさま首無しの騎士に向けて飛ばした。
騎士は自らを狙って飛来する炎の槍に怯むことなく鎌でそれら全てを断ち切り、そのまま突き進んでくる。
「おいおいおい!レクスの魔法が効かないなんてもう終わりだ!!」
止まらない騎士を見てガリムが悲鳴を上げる。そんなガリムを鬱陶しそうに見るとアルトは眷属召喚を行った。
「我らの主を守りなさい!」
呼び出されたロックスライムたちは騎士が跨る馬の足元からストーンピラーを伸ばしその進路を妨害する。
さすがに足元を無視して突進はできないのか首無しの騎士は見事な手腕で馬を操り、ストーンピラーを回避するために急停止した直後に馬を後ろへ飛び退かせた。
「アルト、いい判断だ。」
「ありがとうございます!」
攻撃をしたレクスとアルト以外の一行は顔に絶望の色が浮かんでいた。冒険者達は仲間の一人を殺され、ガリムは無敵だと思っていたレクスの魔法が止められるのを見たからだ。
「デュラハンか?確かに守護獣としては申し分無い強さだな。」
誰に問うでもなくレクスが呟くと首無しの騎士、デュラハンが大鎌を構え直した。
「さて、これは骨が折れそうだな。」




