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首席魔王の召喚獣は最弱の種族  作者: 成れの果て
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水葬

翌日、レクスの呼びかけに応じたガリムとイグニはレクスのダンジョンの中に招待された。以前アルトに炎の上級魔法を教えた時と同じくダンジョンの一室を大きく拡張してレクスは二人を待っていた。


「二人とも今日は楽にしてほしい。と言っても椅子なんて気の利いた物は無いけど。」


「楽に構えていたらレクスの魔法に巻き込まれかねないからな!立ったまま見学させてもらうぞ!」


「は?ちょっと待て、巻き込まれるってどういうことだよ?」


少し慌てた様子でガリムは問いかけた。レクスは既に二人から離れてアルトと共に部屋の中央に向かっていたため、声を張ってその問いに答える。


「簡単なことですよ、魔法の斜線上に座っていたらアルトではなく二人のどちらかが魔法を食らう羽目になりますからね。」


その答えにガリムはここに来たことを後悔し始めていたが既に抜け出すには事が進みすぎていた。


「さあご主人様!派手にお願いします!」


青ざめた顔をするガリムの一方でアルトは目をキラキラと輝かせてレクスを見て構えた。その様子にまたかと苦笑いするしかないレクスは既に諦めの姿勢を貫くことに決めた。


「二人にも念の為伝えておくけど今回俺が使うのは水の上級魔法だからアルトと俺の直線上には立たないように!」


「うむ!任せておけ!」


「なあイグニ、いざって時は俺を担いで逃げてくれよな。」


見学に来た二人の魔王は対称的な反応を見せたがイグニがいれば大丈夫だろうと思い、レクスは始めることにした。


「アルト、今回教えるのはかなり地味だが使えればゴブリンロードに最初から圧勝できたはずの魔法だ。しっかり身につけろよ?」


「かしこまりました!それよりご主人様、早くお願いします!」


急かすアルトに吹き出したレクスは姿勢を直してアルトに狙いを定めた。


「魔王レクスが命じる、理を捻じ曲げ全てを写し顕現して敵を洗い流せ、水葬!」


レクスが詠唱を終えると彼の頭上に魔法陣と似ているがそれとは違う、魔力で編まれたゲートが無数に出現した。


「ガリム先輩、俺の後ろに隠れていてください。レクスは本気では無いですがここも少し危ないです。」


「わ、わかった!」


普段とは違う様子のガリムの迫力に負けて素直にガリムは従った。イグニの腰にしがみついて影からその様子を伺う。


レクスが無数に生み出したゲートが揺らめいた次の瞬間、ヒトの頭ほどの大きさをした水の塊が一斉にアルトに向かって射出された。


全てを目で追える訳もなく、本能的に急所は外れるように立ち回るアルトだが雨の中を濡れずに歩ける者がいないようにその身をもって水葬の威力を知ることになる。


「くっ、これは炎渦と同じくかなりキツイですね。」


降りかかる水の塊はただの水ではなく、魔力によって強制的に超高密度に圧縮された水の塊なのだ。それが身体に掠っただけでもその勢いで体勢を崩す羽目になり、次の瞬間にはまた別の塊を食らうという無限ループに陥っていた。アルトが有している水属性耐性と物理耐性がなければ直撃した時点で触れた箇所が弾け飛んでいてもおかしくない威力であった。


「それじゃあ水葬はしばらく展開しておくから頃合いを見てまた声をかけるぞ。」


襲い来る水の塊の群れに喘ぐアルトには返事をする余裕はなかった。レクスは元々返事を期待していないためそのまま見学に来ている二人の魔王の元まで歩いて行った。


「別に見ていても面白くないだろ?」


「一瞬首筋に冷たいものを感じたが杞憂だったな!流石の魔力制御でこちらには一発も飛んでこないぞ!」


「おい!水葬なんて制御の難しい魔法を放置しといていいのかよ!?本当にここには飛んで来ないんだよな!?」


「安心してください。今もちゃんと手綱は握ってますから。なんなら一発受けてみます?」


「ふざけるな!!」


ガリムをからかって遊ぶレクスの様子に大笑いするイグニと、未だにイグニの腰を掴んで震えているガリムにレクスは満足気に笑った。


一方アルトは息をするのも難しくなるほど体力を削られ、直撃する回数がどんどん増えて行き最初に立っていた場所から既に壁際まで押し込まれていた。遂に背中と壁が接触し、これ以上まともに回避をすることはできなかった。

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