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首席魔王の召喚獣は最弱の種族  作者: 成れの果て
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昼下がり

「ドルムル様、最近荷馬車が襲撃される事件が相次いで起こっています。どうされますか?」


「どうしましょうね。現状護衛を増やしてもらうしか無いでしょう。犯人は分かっているのですか?」


「はい、アンデッドによる襲撃だそうです。襲われた商人と護衛の冒険者の話によるとまだ日が落ちきっていないのに襲われたとか。」


「太陽を嫌うアンデッドがですか。詳しく調べる必要がありそうですね。」


領主館の執務室でドルムルと侍従が深刻な顔をしていた。アンデッドは放置されたしたいに魔力が宿って動き出す魔物だ。通常は生前よりも動きが鈍く、太陽の光を嫌う性質を持っている。しかし、日が沈む前に襲われたのだからなにか理由があるはずだ。


「街の冒険者にクエストを発行しましょう。しばらくは外の治安維持に務めてもらう必要があります。」


「かしこまりました。すぐに手配致します。」


侍従はドルムルの指示に従うため一礼した後執務室を後にした。


「はぁ、最近はいい報せばかりで平和だったのに残念です。」






「ということがあったらしくてダンジョンに潜るヒトが減っているらしい」


「なるほど。だから街にも冒険者が少ないのですね。」


「ふむ、少し前ほど皆の顔色も明るくないのも納得だな!」


相変わらず三人の魔王は一緒にお茶を楽しんでいた。レクスの後ろにはアルトが変装してメイド服を着て控えている。


「しかし!このまま何もしないというのは退屈で仕方ないぞ!」


イグニが立ち上がって拳を握るが熱くなりそうなところをレクスが窘めた。


「そんなこと言ってもヒトの街の問題に勝手に首を突っ込む訳には行かないだろうが。正式に依頼されないと俺たちは動けない決まりだ。」


魔王と守護獣の力は強大だ。彼らの力を借りれば大抵の問題は解決出来てしまうだろう。しかしそれではヒトと魔族が対等な世界というものが成り立たなくなってしまう。もちろん協力関係にあるがヒトが最初から魔王の力を借りることは御法度であった。


「なんにせよ、領主から声がかかるまでは退屈が続きそうだな。」


魔王ガリムが注文したパイを頬張りながら呟いた。するとアルトがレクスの肩をポンポンと叩いた。


「ご主人様、他の魔王様と友誼を結ばれるのは結構ですが、いつになったら他の上級魔法を教えてくださるのでしょうか?」


今のアルトは変装しているため、表面上は笑顔だが普段よりも何故か凄みのようなものが滲み出ていた。


「お、おう。もちろん教えているぞ。忘れていた訳では無いから安心しろ。」


「それなら良かったです。お邪魔をしてすみません。」


それだけど言うとアルトはまた姿勢を戻し口を閉じた。頬張っていたパイを食べ終えたガリムは口元を拭きながらレクスに話しかける。


「なんか、戦った俺が言うから間違いないと思うが、そこのメイドスライムってたまにめっちゃ怖いよな。」


「なにか?」


「わ、悪い、なんでもないぞ。」


ニッコリと微笑む守護獣を前にしどろもどろになる魔王の図が出来上がってしまった。


「ほう!レクスが上級魔法を教えるのか!是非とも見学させてくれ!退屈だしな!」


「じゃあそうするか。でも今日はやる気にならないしゆっくりさせてくれ。明日やろう明日。」


「はあ、レクス様が平和ボケしてしまいました。」


「平和が一番だろうが。これくらいが丁度いいんだよ。」


今この時ピリンキで一番穏やかな時が流れているのは奇しくも強大な力を持つ三人の魔王と守護獣がいるカフェのテラス席だとは誰も思わなかった。

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