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首席魔王の召喚獣は最弱の種族  作者: 成れの果て
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タイトルは『くせ』ではなく『へき』です。

ツバキは魔法を放つ魔物との戦いには慣れていた。その身に迫る魔法を切り払うか体捌きで躱し、接近して刀を振るう。一度彼女に距離を詰められてしまえば太刀打ちできる魔物はいなかった。しかし今回は風向きが悪い。


相手が複数ならば誘い出して分断し、各個撃破が可能だがスライムたちはアルトを護るために行動している。彼女のそばを離れることは無いだろう。それに加えてあの桁違いの威力の魔法だ。無理に斬ろうとすれば余波でダメージを負う可能性がある。そうなればすぐ先の未来は早々に決まるだろう。


「その様子では私に勝つなんて無理だと思いますよ!」


アルトを囲むスライムたちは立て続けに魔法で攻撃を繰り返す。ツバキはそれを見事に避け続けているがなかなか攻撃の糸口を掴めずにいた。


「くっ、このままではジリ貧だな……覚悟を決める必要があるか。」


ツバキに最初の余裕は無く、肩で息をする羽目になっている。それに比べてスライムは疲れを知らないのか魔法攻撃が止む気配すら見えない。このままでは敗北を避けられないと悟り、一か八かの勝負に出ようとしていた。


魔法攻撃の間隙に素早く納刀し、息を整える。膝を曲げて重心を落とし、そのバネを利用して飛び出すタイミングを伺った。


「諦めたのですか?その潔さに免じて介錯して差し上げます。さあ!女王の敵を打倒しなさい!」


アルトに従い、スライムたちが輝く。この戦いが終わったらレクスに沢山褒めて貰うことを妄想し、思わず口角が上がり、口元が緩み出した。


その瞬間、ツバキは動き出した。スライムはこちらに狙いを定めているがアルトは完全に油断しきっている。千載一遇のチャンスに命運を賭けたツバキは今まで以上の速度で走り寄る。


「んなっ!?さっきより速いですね!ですが同じことです!!」


炎の槍は走りながら半身を捻って躱した。頬の表面を炙られ、羽織に火がつくが気にせず進み、降り注ぐ水の弾丸はジグザグに進路を何度も変えて突き進む。何発か直撃し身体に衝撃が走るがツバキは止まらない。足元に魔力を感じ、前に踏み込んで跳ぶことによって地面から伸びる石の槍を回避しようとするも、太ももを先端が掠め血が流れる。着地を狙って風の鎌が正面から飛来するが、素早く刀に手をかけ、胸元から頭上前方に刀を抜き上げながら立ち上がり、凶刃を受け流すことに成功した。


傷を負いながらもスライムの魔法を掻い潜ったツバキを止めようと前に出るスライム達だが、受け流した力を利用したツバキに両断されていく。


「これで終わりにしよう!」


ツバキは叫んだ。アルトと自分を遮るものが無くなり、一直線に距離を詰めた。焦るアルトはあたふたするだけでなにもしてこない。自らの勝利を確信し、ニヤリと笑うツバキだが、目の前の光景に寒気を感じて引き締まった。


先程まで慌てるだけだったアルトが、突然頬を紅潮させ、口元を緩ませて一瞬前の自分よりも遥かにニヤついていたのだ。それだけでなく、両手を広げて待ち構えているのである。


「ツバキさんは最高です!さあ!その刃で私を傷つけて下さい!さあ!早く!」

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