表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
首席魔王の召喚獣は最弱の種族  作者: 成れの果て
26/57

初陣

「我が道程を照らし闇を払え。ファイアーフライ!」


羽織りと刀を装備した少女が詠唱を完了すると、彼女の周りに魔力で生成された光を放つ虫が無数に飛び回り、その範囲を広げて洞窟内の暗闇を照らしていく。


地上で聞いた話の通り襲ってくる魔物はスライムだけだった。野生のスライムと比べると少し大きかったり素早い印象を受けたが彼女の敵ではない。全て一刀のもとに切り伏せ、洞窟の中を突き進む。


見つけた階段を降りると朱色のスライムと遭遇した。恐らくこいつが魔法を扱うスライムだろうと身構えていると、目の前のスライムが怪しく光る。


刀の鯉口を切った瞬間、スライムは炎の槍を彼女の胸目掛けて放った。


「その程度で!」


槍が放たれるのと同時に走り出す。逆袈裟に振るわれた刀によって獲物を刺し貫くはずの槍は両断され、ダンジョンの壁にぶつかり消えた。そのまま駆け寄り、返す刀で袈裟斬りにするとスライムは二つに分かれ、地面に吸い込まれるように消えていった。


「やはり大袈裟に騒がれすぎだな。温すぎる。」


フレイムスライムを切り伏せた少女は先を進む。道中で他の属性を司るスライムと遭遇したがどれも危なげなく処理していた。


そして、ピリンキの冒険者ではたどり着くことの出来なかった最深部への扉に手が届く距離まで来た。一息ついて僅かに休息を取り、その扉を押し開いて中に侵入した。


「来ましたね!冒険者さん!よくぞここまで辿り着きました!ですがあなたにはここで退場してもらいます!」


ビシっ!と侵入者に人差し指を向け、腰に手を当ててカッコつけるアルト。それを見た冒険者は呆気に取られていた。


「ここはスライムしか出ないと聞いたが、お前は何者だ?」


「ふふん。冥土の土産に教えて差し上げましょう。私はアルト!魔王レクス様の召喚獣にしてクイーンスライムのアルトです!」


「クイーンスライム、聞いたことの無い種族だ。でもスライムの上位種族なのは確かだな。そう考えると魔法を使うスライムを産み出せる可能性はある。」


このダンジョンのスライムの強さは異常だ。こんなのが野に解き放たれていたらスライムが支配する生息域ができても不思議では無い。そう思わせるほど野生のスライムとは実力に差があった。


「私のことは教えてあげたのにあなたは名乗らないのですか?失礼なお客様ですね!」


「これはすまない。我が名はツバキ。貴様を打倒し、このダンジョンを攻略させてもらう。」


ツバキが言い終わると刀の柄を握り、アルトの元まで走り寄る。それを黙って見ている訳では無いアルトは眷属召喚を行った。


「さあみんな、お仕事ですよ!」


アルトの周りに突如フレイム、アクア、エア、ロックスライムが出現した。しかし、ツバキにとって既に取るに足らない魔物であるのは道中で確認済みである。魔法が飛んでこようが全て切り伏せるつもりでそのまま走り続けた。


「さあ!女王を護りなさい!」


アルトの号令に応え、スライムたちが魔法を発動する直前特有の光を見せた。しかし、その光は道中に見たものとは比べ物にならないほど眩く、ツバキは咄嗟に進路を変えて横に飛び退いた。次の瞬間、己の判断が正しかったと悟る。寸前まで自分がいた地面は大きく抉り取られていたのだ。


「今のを避けますか。さすがここまで来れただけのことはありますね!」


余裕の態度を崩さないアルトに対し、ここに来て初めてツバキ頬に汗が流れる。道中のスライムが使う魔法は全て斬ることができた。しかし、威力が今までとは桁違いだ。そして一斉に放たれる魔法を直撃せずに捌くのは至難の業だろう。


「これは、確かにDランクの枠を外れているな!」


己を鼓舞するため大声を出し、刀を構えて走り出す。その場に留まれば格好の的にしかならない。初めて冒険者と戦うことにはしゃいでいるアルトと、そんな気を知らずに焦るツバキの戦いが始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ