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首席魔王の召喚獣は最弱の種族  作者: 成れの果て
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商談

思っていたより長くなってしまった

最深部から入口まで転移した二人は子馬亭を紹介してくれた商人を訪ねに向かった。アルトはダンジョンのスライムと戯れていたかったが着いてくるようにレクスに頼まれたため同行している。


「俺の秘策を成功させるにはあの商人を口説き落とす必要がある。それにはお前が必要だからな。」


ここまで言われてしまっては断る訳にもいかない。むしろニコニコしながら着いてくる。そんなアルトを見て扱いやすいと思う反面、一人で出歩かせるのは心配になってしまった。


商業区をしばらく進むと赤い屋根の大きい建物が見つかった。ドアを開けて中に入るとそこには受付の女性が座っていた。


「すみません、ここの商人の方にお会いしたいのですが今いますか?子馬亭を紹介してもらった学園の生徒だと伝えてもらえればわかると思います。」


「学園の生徒さんですね。少々お待ちください。」


そう一言告げると奥の部屋に確認に行ってくれた。すぐにあの時の商人が出てきて声をかけてくれた。


「また会えましたな。思っていたよりも早く尋ねてくれましたがダンジョンはもう造られたのですかな?」


「はい。お陰様でダンジョンは無事創造できました。そしてそのことでご相談があってここに来たのです。」


「なるほど、立ち話もなんですし奥にご案内しますよ。こちらへどうぞ。」


商人に案内されてソファーに座ると先程の女性が飲み物を出してくれた。


「さて、遅れましたが私は当商会を取り仕切っているロバートと申します。」


「私はレクス。こっちは召喚獣のアルトです。」


「よろしくお願いします!」


「さて、自己紹介も終わりましたし、ダンジョン関係のお話だそうですがどういったご相談ですかな?」


ロバートと名乗る商人は早速用件を聞いてきた。商人相手に腹芸ができるとはレクスは思っていないためありがたかった。


「はい、私がダンジョンを造った周りに使われていない建物が複数あるため、ロバートさん主導で武具や食料関連の店を出して頂けないかと思いまして。」


「なるほど、周囲を固めれば確かに利益は独占できそうですな。ですがそれには相応の初期投資が必要になります。それだけの価値はあるのですか?」


「それについてはご安心ください。私の召喚獣のアルトは人の姿をしていますが、実は魔法が使えるスライムなのです。アルト、家事にならない程度の小さいファイアーボールを出してみろ。」


「お易い御用です!それっ!」


右手の人差し指を上に突き出し、気の抜けた掛け声の直後に小さな火の玉が浮かんだ。


「なるほど、魔法が使えるのは本当のようですな。しかし、人の姿をしたスライムというのは俄には信じられませんな。」


「本当ですよ!見ていてください!ふんっ!」


可憐な少女の顔が崩れて行ったかと思えば全身がドロドロの液体のような物に変わり、あっという間にアルトは本来の姿に戻った。


「なんと!ここまでされては信じない方が愚かですな!しかも魔法が使えるスライムとは……」


「魔法を扱うスライムはおそらくアルトが初でしょう。どうです?世界初の魔法を扱うスライムが守護するダンジョンです。そしてあるとは配下のスライムを召喚できますが、そのスライムたちも魔法を使用することが出来ます。」


「素晴らしい!!世にも珍しいとはこの事ですな!是非我が商会にご協力させて頂きたい!武具や食品についてはお聞きしましたが、他に必要そうな店はこちらで手配してもよろしいですかな?」


「はい、この手の話はロバートさんの方が詳しいでしょうしお任せします。それとアルト、もう戻っていいぞ。」


レクスの声に上下に揺れて返事をすると、先程の光景が巻き戻ったかのように人の姿に変わり、そこには見慣れた可憐な女性が笑顔で立っていた。


「私はこの日のために商いを続けてきたのでしょうな。私が周辺設備を調えます。ダンジョンの宣伝にも手を尽くしましょう。アルト様はダンジョンに集中してくだされ。」


「それは心強いです。この紙にダンジョンの場所は記したのでご確認ください。それでは私たちはこれで失礼します。」


上手く話が纏まり、レクスポの秘策は動きだした。ま方がある子の世の中なら建物の整備などはすぐに終わる。ダンジョンを正式に発表する日はそう遠くなかった。


「アルト、ここまでは概ね予定通りだ。だがここからが本番だ。気を引き締めていくぞ。」


「はい!ご主人様!」

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