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首席魔王の召喚獣は最弱の種族  作者: 成れの果て
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新たな扉

「さあご主人様!煮るなり焼くなり好きにしてください!」


「人聞きが悪すぎるからやめろ。まずはお前の低い敏捷をどうにかするところからだな。」


基本的に生活する上では問題ないが敏捷Dのままでは戦闘時は圧倒的に不利だ。高い防御力を有している訳では無いためアルトにとって最大の弱点と言える。


「俺の攻撃を避け続けてみろ。それでステータスが上がるかもしれない。」


「嫌です!全て受け切ります!」


「ちなみにおれの攻撃が当たる度に今後特訓の時間が減ると思えよ。それじゃあ行くぞ!」


レクスは掛け声と同時に右手に練った魔力を解放して中級魔法のファイアランスを放り投げた。初めての中級魔法に目を輝かせるアルトだが、今後このご褒美タイム、特訓の時間が減るのは我慢できない。苦渋の選択の末、全力で炎の槍を回避する。


「よし、少しスピードを上げるぞ〜」


「ご主人様!?既にギリギリなのですが!?」


アルトの抗議の声を無視し、次々に中級魔法を放つレクス。首元に迫るウィンドカッターを屈んで回避したかと思えば地面から伸びてくるストーンピラーを後ろへ大きく跳んでやり過ごす。一息つこうとした次の瞬間にはいつの間にか頭上に展開されていた水の魔法陣からアクアバレットが降り注ぐ。その全てを紙一重で避けきったアルトに思わず感心した。


「その低い敏捷でよく躱せるな。」


「魔物は魔力に敏感ですからね。それにご褒美タイムが減ると思うと俄然やる気が湧いてきます!」


不純な理由に肩を落とすレクスだが、いい訓練になるのは間違いないと思い、夕日が顔を隠し始めるまで続けることになった。


「もう暗いし今日はここまでにしよう。帰るぞ。」


「はい……ありがとうございました……」


肩で息をするほど疲労が溜まったアルトだが、その顔は何故か満足そうに笑みが張り付いていた。攻撃を受けるのは好きだが、間断なく攻められ続け、重くなった体に自らムチを打つのも悪くないとさえ思っていた。レクスはアルトの新たな扉を開放することにも成功したのだ。


「動けるか?今日は特別に俺かま運んでやるからスライムの姿に戻ってみろ。」


「ですがそれでは……それにあれだけ魔法を連発してご主人様もお疲れなのでは?」


「いいから気にするな。命令だ。元の姿に戻って俺に運ばれろ。」


「かしこまりました。それにしてもよく平気な顔をして歩けますね。」


名付けから常に人型でいたため久しぶりのスライムの感触を楽しむレクス。その余裕な態度を崩さずに部屋に戻る。


「当たり前だろう。学園首席は伊達じゃないんだ。」

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