ダンジョン
「皆さんおはようございます。そして召喚の成功、おめでとうございます。本日ここにいる生徒の皆さんにはダンジョン創造の権利が与えられますが、注意点と禁止事項があるので居眠りせずしっかり聴いてくださいね。」
今までは一般的な教養を身につけ、魔法の基礎と応用が主なカリキュラムだった。だが今日からはダンジョンについての本格的な講義が始まる。
この場に居る10名の生徒は見事に召喚を成功させた自他共に認める学園の実力者達だ。そしてそんな実力者たちの中で今一番注目されているのはもちろん、フェンリルを召喚したミリアだ。スライムを召喚したレクスは陰口を叩かれることはあれど、この場にいる生徒に関してはそんなことをする暇があれば己を磨く者ばかりだ。しかし、
「一人、この場に相応しくない者がいるように思いますが、まあスライムのダンジョンですし、駆け出しの勇者見習いと戯れていればいいのよ!ねえ、レクス?」
「講義を止めるようなことはするな。じゃまだからお前が出ていけ。」
「はいはい、レクスさんとミリアさん、話を続けるので静かにお願いしますよ。」
そう、陰口を叩くものはいないが、面と向かって嫌味を言う者はいる。普段は反撃をするのだがダンジョンについての大事な講義なのだ。大人しく受け流すレクスだが、その態度が尚更ミリアの琴線に触れたようで顔を真っ赤にして彼を睨んでいた。教師の注意がなければその場で爆発していただろう。
「それでは続けますね。まず、皆さんが創造するダンジョンですが、ご自身の能力と召喚獣の強さによってランク分けされます最高ランクはSSSですが、現在このランクに当てはまるダンジョンは存在していないため、実質SSが最高ですね。みなさんもいつか最高のダンジョンを創造してくれる事を祈っています。」
SSSランクのダンジョンはもはや御伽噺に出てくるようなヒトと魔族が争っていた太古の魔王のダンジョンくらいだろう。口伝によって朧気に想像することは出来るが、そんなものを創れた魔王も、それに一歩も引かない勇者も互いに等しく化け物だろう。
「続いて注意点ですが、ダンジョンの心臓のような役割を果たすコアについてです。これを破壊するのがヒト側の勝利条件、みなさん魔王側はそれを阻止するのが勝利条件になります。破壊と言っても、その場でダンジョンとしての機能を失うということはありませんが、後に皆さんがダンジョン拡張のために利用するDPが減少してしまい、ダンジョンのランク査定に響きますので全力で守ってくださいね。」
ダンジョンの攻略と防衛は今の世の中で最大の娯楽と化している。お互い争っている訳では無いため、攻略されたダンジョンは消滅、といったことにはならず、ダンジョン内で死んだヒトは入口に送られるといった仕様になっている。
「そして禁止事項について、ここは忘れないでくださいね。皆さんの能力については学園内で既に計測済みですが召喚獣に関しては何も分かりませんので、ステータスの開示をお願いします。その際、ステータスの改ざん等、虚偽の報告があった場合は資格の剥奪となりますので心得てくださいね。」
レクスのように弱い魔物を召喚した生徒がステータスを高めに報告した場合は本人が苦労するだけで済むが、問題は強い魔物を弱く報告した場合だ。ヒト側も大抵は適正ランクに合わせてダンジョンに挑むため、低いランクのダンジョンが圧倒してしまうとヒト側からクレームが入る。その場合の非はもちろん魔族側に問われるため、あらかじめ取り締まっているのだ。
「はい!先生!私のフェンリルは」
「ミリアさんは強力な魔物を従えてますが、魔王としては駆け出しなのでBスタートですね。フェンリルは有名な魔物なので計測は不要です。」
出鼻をくじかれた、とはまさにこの事だろう。フェンリルならSランクスタートでも問題は無いように見えるが、高いランクからスタートさせてもダンジョン造りが甘いと負けが込み、査定で下のランクに降格させられることも多い。
「そしてレクスさん、あなたの召喚獣はスライムなのでEからスタートとなります。」
「先生、お言葉ですが俺の召喚獣は高い知性に加えて魔法が使えます。」
「レクスさん、あなたのためです。今は見栄を張らずに地道に努力を重ねることが大切ですよ。」
「そうよ!スライムが魔法を使うなんて子供でも見抜ける嘘をつくなんて、学園首席が落ちぶれたものね!恥を知りなさい!」
教師の優しさに触れたが、今はその優しさが鬱陶しくてたまらないが、決定を覆すつもりは無さそうでこれ以上何も言えないレクス。憤りを隠すために黙り込むが、ミリアいつか泣かすと心に決めた。
「それでは他の生徒の皆さんはステータスの開示をお願いします。重要な情報なので順番に別室までお願いしますね。」
18時になって今日の分急いで書きました
セーフ




