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異世界268日目 12月24日(火) ②エロフのサラちゃん!?


 遊戯室は笑い声と賑やかな雰囲気に包まれており、料理に舌鼓を打ちながら園児達のクリスマスソングの合唱や、冬休みの予定などを話しており、大いに盛り上がっている。

 そんな中、俺は少々席を外し、キッチンに居る。実は園児達にはもう一つケーキを用意しているのだ。これは皆で今食べているホールケーキでは無く、クリスマスの定番、ブッシュドノエルとなっている。やっぱり家族でもクリスマスを楽しんでもらいたいのだ。


 しかしまあよくよく考えればここまでの技術、よく身に付いたものだ。毎年一人でケーキ作ってたもんなあ……ふふ、ケーキはこんなに甘いのに苦い思い出だよ……。


 デコレーションを施して三人分のケーキを崩れないようにかごに入れていたところ、サラちゃんがひょっこりとキッチンに現れた。

 どうしたんだろうか……何か用事かな? 


「カズヤ先生、ルーミィ先生がお喉詰まらせちゃたよ~」


「ああ、そうなんだ――えっ!? ちょっとお! 何してんのぉ!?」


 まったりとした口調で衝撃的な事を伝えてくれた。どうして園児達の監視役がそんな事になっちゃうのさ!?

 ケーキのデコレーションを中断してダッシュで遊戯室へと向かった……。




「ごほ、ごほ……あ、危なかったよ……あ、ありがとう、レイン先生……」


「だ、大丈夫ですか!? ルーミィ先生!」


 遊戯室に辿り着いた時にはレインの介抱のおかげで既に解決していたようだ。良かった……大事に至らなくて。


「どうしてそんないっぺんに食べちゃうんですか……ゆっくり落ち着いて食べて下さい。まだいっぱいありますから」


 ほんとにこの食いしん坊女神様は! 園児達に心配かけてどうするの!


「う、うん……ゆっくりいっぱい食べるよ!」


 喉詰まらせて死にかけてもまだ食べるんですね……あ、サラちゃんをキッチンに置いて来ちゃた。戻らないと……。


「それじゃあ私はもう少し料理の続きをして来ますね。キッチンの方に居ますので。何かあればお声かけ下さい」


「うん! お代わり欲しくなったら行くね!」


 マジこの女神様の胃の構造はどうなっているんだろうか……理解に苦しむな……。




「サラちゃん知らせてくれてありがとう、ルーミィ先生も大丈夫だったよ」


 キッチンに戻って来ると笑顔のサラが待っていてくれた。全く、困った先生だね?


「ねえねえ~」


 小さな腕を振っておいでおいでされている。なんだろうか? とりあえずかがんでっと――


「お胸を触らせるのはプロポーズなんだよ~♪」


 可愛い顎に人差し指を当て、上目使いでこちらを見ながらとんでも無い事を告白してきた……誰? サラちゃんだよね? どうしてそんな色っぽい仕草してるの?


「ふふ、サラ知ってるんだ~」


 状況が把握出来ずに硬直していると、サラちゃんはそのまま俺の首に手を回してうっとりとした碧色の瞳を向けて来た。小さな体を密着させて。


 とても五歳とは思えない悩まし気な表情と言葉使い……エルフってクリスマスになるとこうなっちゃうの? そんなの聞いてないし、俺の中の知識には無い。


「サ、サラちゃん!? 一体どうしちゃたの!?」


「うふ、何も無いよ、サラはサラだよぉ~?」


 待て待て待て! 何で話ながら目を瞑ってるの!? マジで仕草がエロフなんですけど!? とりあえず開けて、目を開けて? 碧色の可愛らしいお目め見せて! 


「チューしたくなっちゃった~……ヒック!」


 可愛らしい口が近付いて来る!? ダメだ! こんな幼児と熱烈なキスをしようものなら俺は社会から殺され――しゃっくり、ですと?


 せまる可愛らしいぷるぷるの唇の接近を食い止める為に腕を伸ばし、サラちゃんの接近を拒みながら周りを見渡した。すると、床に一つ、開封された葡萄酒の瓶を見つけた。


 お酒……飲んだな……。


「うぅん……こそばゆいよぉ~。そこはダメなところだよぉ? でもカズヤ先生ならいいかな~」


 迫りくるサラちゃんを止める為に咄嗟に出した手はしっかりと触れていた。エルフの心臓……の上に。


「か、か、和也……」


「な、なんて事を……」


 青ざめる二人の美少女がこちらを見ている……ぎゃああ! 見られたあ!! なんで来たのぉ!? お代わり希望早くない!?


「ち、違います! サラちゃんはお酒を飲んでしま――」


「お胸に触れられた以上は、もう、頂いちゃうからね~。はむ……んっ……」


 ルーミィとレインが現れたので咄嗟に手を引いてしまったのが運の尽きだった。妨害が無くなり自由になったサラちゃんは、その白く美しい肌を俺の顔、口に密着させ、望みは成就した。


 微かに葡萄酒の芳醇な香りが目の前のエルフから感じた。


 ……終わった。未成年に飲酒、更に不順異性行為。完全なる監督不行……事案だ。




 その後、サラちゃんの飲んだお酒は微量であった為、とりあえず水を飲ませ酔いを覚まさせた。そのまま全員で園長室に向かい、まさかの先生方と園児達も集まるという前代未聞の公開処刑が実施された。


 腕を組み鬼神の如くバックにオーラらしきものを浮かべるルーミィとレイン。それと同じように腕を組むソフィちゃん。しかし今日は頬を膨らましていた。無表情なのに膨らむ頬……新しい組み合わせだ。


 尚、アメリアちゃんはソファーに乗って遊んでいた。この子はまだよく分かっていないようだ。サラちゃんもニコニコとこちらを見ているだけであった。


 しかしながら事故である事と俺の涙ながらの謝罪により、誤解は解かれ、しばらく正座した後に引き続きクリスマス会は再開された。

 最近感覚がマヒしてきており、この状況でもまだマシと思っている自分が怖い……。




 クリスマスパーティはその後も楽しく過ごせ、園児も先生も満足してくれたようだ。だが、無情にも時間は経ち、帰宅時間が近づいてきてしまい、今はみんなでお片付け中である。

 でもまだ終わりじゃないんだよな~。クリスマスといえばやっぱこれでしょ!


「それじゃあ、これは先生達からのクリスマスプレゼントだよ!」


 ゲートの前までお見送りする際に園児達にクリスマスケーキの入ったかごを渡してあげた。中にはホワイトデコレーションしたスライムクッキーも入っており、おうちでもう一度クリスマスパーティが出来るセットとなっている。


 是非、今晩も親御さん達とクリスマスパーティを満喫して頂きたい。そんなサプライズに園児達は大変喜んでくれた。サラちゃんは安定のゲート手前でこけたのだが、レインがすかさずキャッチしてくれたおかげでサラちゃん自身もケーキも無事であった。

 まだ酔って……いや、いつものやつか。しかしレインも慣れたものである。でも雪が積もる中でも素晴らしい俊敏性ですね。舞い上がる雪が大変綺麗でしたよ。


「じゃあみんな、楽しい冬休みをね!」


 園児達は満面の笑みで帰宅して行った。いろいろあったけどクリスマスパーティは大成功だった。でもほんと、いろいろあったなあ……。


 最近、試練達成までは自重するという決意が揺らいでしまう事が多過ぎるような気がする……上司さん、本当に連絡していいですか? 本気で悪戯されてるような気がするんですけど……。


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