第8話 アレナの実家と騎士の正体
王都カルタルタスが地平線に現れた時、俺は自分のちっちゃなドラゴン目ん玉を疑った。
でかい! でかすぎる!
石造りの城壁が天を突き、門の上には旗がバタバタはためき、城塔が雲に届きそう。
ルミエラの喧騒もすごかったけど、ここはもう、異世界の首都って感じだ。
マジでファンタジー映画のセットじゃん!
でも、俺、カウル、別名「ピニャ」は、内心ビビりまくり。
こんな大舞台、俺のキラキラショーだけで乗り切れるかよ!?
エルちゃんは籠を手に、ツインテールをピョンピョン揺らして興奮気味。
アレナは剣を腰に、クールな目で城門を観察。
8歳の女の子、ミニドラゴン、謎の女剣士のパーティ。
見た目は映えるけど、怪しさMAXだろ、これ!
俺のキラキラ鱗は陽光でピカピカ、まるで動く看板。くそ、目立つな!
「カウル、王都だよ! ピニャのスター、絶対ここで輝く!」
エルちゃんのキラキラした瞳に、俺はハート型の尻尾を振る。
「ピニャ! (スターより、まず入城だろ!)」
アレナがニヤリと笑った。
「エルミン、王都はでかいが、門番は厳しい。変な動きすんなよ」
「ピニャ!? (変な動きって、俺のこと!?)」
サラリーマン時代、こんなセキュリティチェックなかったぞ!
内心ツッコミつつ、俺たちは城門に近づいた。
◇
城門は、でっかい鉄の扉と、その両脇に立つ鎧の門番でガチガチに固められてる。
槍を持った門番二人が、俺たちをジロリと睨んだ。
おい、なんでそんな疑いの目!?
エルちゃんが無邪気に笑顔で手を振るけど、門番の態度は硬い。
「ガキと……ドラゴン? それに剣士か。怪しいな。何の用だ?」
怪しいって、失礼だろ!
俺はピニャ鳴きで抗議。
「ピニャ! (俺たち、ただの旅人だぞ!)」
エルちゃんが胸を張って答えた。
「私、エルミン! カウルは私の友達! 王都でキラキラショーやるんだ!」
門番が眉をひそめ、俺のキラキラ鱗をガン見。
おい、値踏みすんな!
もう一人がアレナに目を移し、怪訝そうに言った。
「剣士、お前も連れか? 身分証を見せろ」
身分証!?
俺、ドラゴンだから免許もパスポートもねえぞ!
内心パニックだったが、アレナがクールに一歩踏み出した。
彼女はポケットからキラッと光る金貨を取り出し、門番の手のひらにスッと滑らせた。
「これは誠意です。旅人だが、トラブルは起こさない」
金貨!? 賄賂!? 俺の目ん玉が飛び出そうになった。
マジか、初めて見るぞ、金貨!
門番の顔がパッと明るくなり、ニヤリと笑う。
「ふむ、誠意は受け取った。よし、通れ!」
態度一変!? 汚ねえぞ、門番!
俺は内心ブチ切れだったが、エルちゃんは「やった!」とスキップ。
アレナがクールに門をくぐり、俺をチラ見。
「ピニャ、何だ、その目は?」
「ピニャ! (お前、賄賂って! 誠実キャラじゃなかったのかよ!)」
アレナ、意外と世渡り上手!?
サラリーマン時代、上司に媚びなかった俺とは大違いだ。
彼女のクールな顔に、なんか新しい一面を見た気がした。
もっと真面目一辺倒かと思ってたぜ……
◇
王都カルタルタスの中は、ルミエラの十倍のスケールだ。
石畳の通りには馬車がガタゴト、両脇には色とりどりの看板が並ぶ。
パン屋、鍛冶屋、魔法道具店、果ては「マナポーション50%オフ!」なんて怪しい店まで。
異世界の渋谷じゃん!
商人、冒険者、貴族っぽいローブの奴らがごった返し、活気で溢れてる。
エルちゃんは籠を手に、目をキラキラさせて市場へ突進。
「カウル、アレナお姉さん! 乾燥薬草と乾燥キノコ、高く売れるかな!?」
お、お前、商魂全開!
彼女は星見の森で採ったハーブやキノコを、わざわざ選りすぐって乾燥させ、旅の荷物に詰めてたらしい。
8歳でこのビジネスセンス!
俺とアレナは顔を見合わせ、思わず笑顔。
「ピニャ! (エルちゃん、将来大富豪だな!)」
アレナがニヤリ。
「エルミン、王都の物価は高い。いい値段で売れるぞ」
エルちゃんは市場の薬草店に飛び込み、店主のおっちゃんと交渉開始。
彼女のキラキラ笑顔と、乾燥ポルチーニやマナハーブの品質に、おっちゃんが目を丸くする。
「ガキ……いや、お嬢さん、こりゃ上物だ! 銀貨10枚でどうだ?」
「うーん、15枚! カウルのキラキラパワーで採ったんだから!」
俺の名前使うな!
でも、エルちゃんの交渉術に店主が折れ、銀貨12枚で取引成立。
彼女が銀貨をジャラジャラ受け取り、俺を抱き上げた。
「カウル! これで王都でもスターだよ!」
「ピニャ! (スターより商人だろ、お前!)」
アレナがクスッと笑い、銀貨をチラ見。
「エルミン、商才あるな。ピニャも見習えよ」
見習うって、俺、ドラゴンだぞ!
でも、エルちゃんの商人の顔と、アレナの緩い笑顔に、俺もついニヤリ。
王都の市場は、スパイスの香り、焼きたてパンの匂い、
楽器の音で溢れ、俺たちの旅は賑やかなスタートを切った。
◇
王都での最初の夜、俺たちは市場近くの宿屋に泊まった。
木造の三階建て、部屋はルミエラより広くて、ベッドにはふかふかの毛布。
エルちゃんがベッドで跳ね、俺は枕元で丸まる。
アレナは窓辺で剣を磨き、街の明かりを眺めてた。
なんか、絵になるな、このトリオ!
でも、アレナの雰囲気が気になった。
彼女は王都に入ってから、時々、遠くを見る目が深くなってる。
またあの悲しげなモードかよ!
エルちゃんが寝息を立てる中、俺はアレナにピニャ鳴きで話しかけた。
「ピニャ? (お前、王都で何か用あんのか?)」
彼女がクスッと笑い、俺の鱗を軽くつついた。
「ピニャ、詮索すんな。だが……ここは、私の過去と繋がる場所だ」
過去!? やっぱり何かあんじゃん!
俺がハート型の尻尾を振ると、彼女が小さく呟いた。
「明日、ちょっと寄るところがある。ついてこいよ」
寄るところ? 怪しいな! 内心ビビりつつ、俺は頷いた。
◇
翌朝、アレナが俺たちを連れて行ったのは、王都の貴族街だった。
石造りの豪華な屋敷が並び、門には鎧の衛兵が立つ。
おい、めっちゃ高級エリアじゃん!
エルちゃんが目をキラキラさせ、俺はキラキラ鱗でさらに目立つ。
アレナが一軒の屋敷前で立ち止まり、門番に声をかけた。
「レヴァリス家に、アレナが帰ったと伝えろ」
レヴァリス家!? 何!? 門番が目を丸くし、慌てて屋敷に走る。
しばらくして、扉が開き、中から優しげな中年夫婦が出てきた。
貴族っぽいローブに、品のある笑顔。おい、マジで貴族!?
「アレナ! 無事だったのね!」
女性がアレナを抱きしめ、男性が微笑む。
エルちゃんと俺はポカン。
え、親!? アレナがクールに、でも少し照れながら言った。
「父上、母上、しばらくぶりだ。こいつらはエルミンとカウル、旅の仲間だ」
「ピニャ!? (貴族!? アレナ、お前、貴族の娘!?)」
エルちゃんが跳びはねて叫んだ。
「アレナお姉さん、お嬢様!? めっちゃすごい!」
レヴァリス夫妻が笑い、俺たちを屋敷に招き入れた。
おい、豪邸! 大理石の床、シャンデリア、壁には絵画と鎧。
サラリーマン時代、こんな家、ドラマでしか見たことねえ!
夫妻はエルちゃんに菓子を出し、俺にキラキラした果物をくれた。
う、うまい!
談笑中、夫妻がアレナの正体を明かした。
彼女は子爵家レヴァリス出身で、王都の騎士団「白狼組」の騎士だった。
白狼組!? めっちゃカッコいい名前!
だが、アレナの目が一瞬曇る。
夫妻が静かに言った。
「アレナ、昔、守れなかったものがある……だから旅に出たのよね」
守れなかったもの?
俺のピニャ魂がザワついた。
やっぱり、過去に何かでかいことあんじゃん!
エルちゃんが無邪気に手を握り、アレナが小さく微笑む。
「エルミン、ピニャ、ありがとな。旅、続けるぞ」
「ピニャ! (お前、背負ってるな……)」
レヴァリス夫妻は俺たちを歓迎し、
王都での滞在をサポートしてくれることに。
貴族のコネ、最強!
王都の冒険、アレナの過去、ピニャ魂の運命、どうなるんだ!?




