第6話 森の魔物とピニャの炎
星見の森の奥深く、俺たちの冒険はますますRPGっぽくなってきた。
巨大な樹々が空を覆い、苔むした地面には不思議な光を放つキノコがポツポツ。
鳥のさえずりと、時折響く獣の遠吠え。
マジでファンタジー全開じゃん! でも、俺、カウル、別名「ピニャ」は、内心ビビりまくりだ。
戦闘力ほぼゼロ、スキルはキラキラショーとキノコハント、最近やっと炎吐いたけどさ!
エルちゃんは金髪ツインテールを揺らし、籠にハーブやキノコを詰めながらスキップ。
アレナはクールに剣を構え、先頭で森を切り開く。
8歳の女の子、ミニドラゴン、謎の女剣士。
このパーティ、見た目だけなら映えるけど、バランス悪すぎだろ!
俺のキラキラ鱗は相変わらず陽光を反射して、まるで歩くスポットライト。
目立つのやめたい!
「カウル、森の奥、もっとすごいものあるかな!」
エルちゃんのキラキラした瞳に、俺はハート型の尻尾を振る。
「ピニャ!(すごいものより、平和がいい!)」
アレナがニヤリと笑った。
「エルちゃん、期待するのはいいが、魔物の巣窟も近い。気を抜くなよ」
「ピニャ!?(魔物の巣窟!? やめてくれ!)」
サラリーマン時代、こんな危険な出張なかったぞ! 内心ツッコミつつ、俺はエルちゃんの肩で警戒モード。
だが、この森、なんかヤバい気配しかない。
◇
森の奥に進むにつれ、空気が重くなってきた。
木々の間から霧が漂い、地面には獣の足跡や、折れた枝が散乱。
おい、ホラー展開じゃねえよな!?
エルちゃんは無邪気にハーブを摘むが、アレナの目は鋭さを増す。
彼女の革の軽鎧が、霧の中で静かに光る。
ある昼下がり、川沿いの開けた場所で休憩してた。
エルちゃんが川で水遊び、俺は低空飛行でキノコチェック。
アレナは剣を磨きながら、周囲をスキャン。
平和じゃん、いい感じ! と思った瞬間、木陰からガサガサ音がした。
「ピニャ?(何だ!?)」
目を凝らすと、緑の肌にギザギザの歯、棍棒やナイフを持ったゴブリンが五匹、ニヤニヤしながら出てきた。
うわ、またゴブリン! 前より数多いぞ! 俺のキラキラ鱗が霧の中でピカピカ光り、ゴブリンたちの目を引いてる。
くそっ、俺のせいか!?
「ゴブ、ゴブゴブゴブ!」
うれしそうんして舌なめずりする。
あれは俺を捕らえて、売るなり焼くなりするすもりだな。
ゴブリンのリーダーっぽい奴が、ナイフを振りながら吠えた。おい、俺、商品じゃねえ!
「エルちゃん、カウル、後ろに!」
アレナが剣を抜き、一気に二匹を斬り倒した。
シュン! シュン! 刃が霧を切り裂く音がカッコいい。
剣豪すぎだろ! だが、残りの三匹が散開し、エルちゃんと俺を狙ってきた。
「カウル! やっちゃえ!」
エルちゃんが拳を振り上げ、応援モード全開。
おい、俺に振るな! 戦闘力ゼロだぞ!
でも、彼女のキラキラした目に押され、俺の体が勝手に動いた。
「ピニャ!」
ゴブリンに向かって飛び、口から火の玉を吐いた。
ボフッ! 炎がリーダーのゴブリンを直撃し、そいつは「グギャ!」と叫んで木の陰に逃げ込む。
お、俺、炎マジで使える!
他の二匹がビビって後ずさる中、俺は調子に乗った。
「ピニャ!(くらえ、ピニャファイア!)」
もう一発、炎を吐くと、ゴブリンが棍棒を捨てて逃げ出した。
やった! 俺、ちょっとカッコいい!? エルちゃんが跳びはねて叫んだ。
「カウル、すっごい! ピニャ鳴き、めっちゃ強い!」
アレナが剣を鞘に収め、ニヤリ。
「ピニャ、なかなかやるな。エルちゃんの応援効果もバッチリだ」
応援効果って、俺の努力だろ!
内心ドヤ顔だが、ゴブリン撃退にホッとした。
サラリーマン時代、こんなアクションシーンなかったぞ!
◇
ゴブリン事件の後、俺たちは森の奥へ進んだ。
エルちゃんは「カウル、ヒーロー!」と連呼し、俺の頭をナデナデ。
ヒーロー、ねえ……まあ、悪くない響きか、と調子に乗る俺。
アレナはクールに護衛しつつ、時々俺の鱗をチラ見。
おい、なんか企んでねえよな?
その夜、キャンプの焚き火を囲んでると、霧の中から足音が近づいてきた。
またゴブリン!?
俺がビクッとすると、アレナが剣を構え、エルちゃんが籠を握り締めた。
だが、霧を割って現れたのは、長い白髪とローブの老人だった。
エルフだ! 耳が尖ってて、目が星みたいにキラキラ。
マジでエルフ! ファンタジーすぎる!
「ふむ、騒がしい若者たちだな。わしはバルンガ、この森の守り手だ」
老エルフの声は、深くて落ち着いてる。
おじいちゃん、めっちゃ賢者っぽい! エルちゃんがキラキラ笑顔で飛びついた。
「バルンガおじいさん! カウルがゴブリンやっつけたんだよ!」
「ピニャ!(おじいさん!? 失礼だろ!)」
バルンガが目を細め、俺をじっと見た。
俺はうれしくなって炎を吐いて見せる。ドヤァ。
「ほう、ミニドラゴンか。だが、その炎……ただの火ではないな。古の竜の血が流れている」
「ピニャ?(古の竜? 俺、ただのピニャだぞ!)」
サラリーマンにそんな設定なかったぞ!
バルンガは焚き火に腰掛け、俺たちに語り始めた。
「星見の森は、竜の力が宿る聖地だ。だが、最近、魔物の動きが活発化しておる。おぬしの炎は、特別な使命を帯びているやもしれん」
使命!? 俺、キラキラショー専門なのに!
アレナが眉を上げ、バルンガに尋ねた。
「使命ってのは? このドラゴン、ただのキラキラに見えるが」
「ピニャ!(ただのキラキラ言うな!)」
バルンガが笑い、杖で地面をトン。
「王都カルタルタスへ行け。そこで、竜の秘密が明らかになる。エルちゃん、アレナ、カウルを導くのがおぬしらの役目だ」
エルちゃんが拳を握り、目を輝かせた。
「王都! めっちゃすごそう! カウル、行くよ!」
「ピニャ!?(急に王都!?)」
アレナがニヤリと笑い、剣の柄に手を置いた。
「王都か……面白そうだ。カウル、ピニャ鳴きで貴族を驚かせてやれ」
おい、俺をパフォーマー扱いすな!
だが、バルンガの言葉が頭に残る。竜の秘密って何だよ?
俺、ただの転生ドラゴンだろ?
彼は俺の鱗に触れ、静かに呟いた。
「若き竜よ、己の力を信じなさい。ピニャ鳴きも、使命の一部だ」
ピニャ鳴きが使命!?
ふざけんな! 内心ツッコミつつ、バルンガの星みたいな目に圧倒された。
◇
翌朝、バルンガは地図を渡し、俺たちを森の出口まで導いた。
霧が晴れ、星見の森の美しさが目に焼きつく。
マジで神秘的だな、この場所! エルちゃんがバルンガにハグして別れを告げ、俺たちは王都カルタルタスへの旅路についた。
「カウル! 王都でスターになろう!」
「ピニャ!(スターより安全がいい!)」
アレナがクールに笑い、俺を見た。
「ピニャ、炎の次は何だ? 王都で何か起こしそうだな」
何か起こすな! 俺、平和主義だぞ!
だが、彼女の悲しげな目がまたチラリ。
アレナ、お前も何か背負ってんだろ?
俺はハート型の尻尾を振って気合を入れた。
「ピニャ!(行くぜ、王都!)」
星見の森を後に、俺たちのトリオは新たな冒険へ。
王都カルタルタス、竜の秘密、ピニャ魂の運命は!?
サラリーマン時代、こんな壮大な話なかったぞ!




