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俺ミニドランゴンに転生す! ~小さな女の子に拾われて旅をします~  作者: 海老川ピコ


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第4話 街の喧騒と曲芸の日々

 交易都市ルミエラにたどり着いた時、俺は自分の目ん玉を疑った。

 森の小さな村しか知らなかった俺にとって、この街はまるで別世界だ。

 石畳の通りには馬車がガタゴト走り、色とりどりの屋台がずらりと並び、商人や旅人、冒険者っぽい奴らでごった返してる。

 スパイスの香り、焼きたてパンの匂い、どっかで鳴る楽器の音。

 新宿の朝ラッシュよりカオスじゃねえか!

 俺、カウル、別名「ピニャ」は、エルちゃんの肩に乗っかって、キョロキョロ辺りを見回す。

 彼女の金髪ツインテールが、ルミエラの陽光でキラキラ輝いてる。

 8歳の女の子がこんな大都市に堂々と飛び込むなんて、肝っ玉座りすぎだろ。


「ピニャ!(エルちゃん、ここで何すんだよ!?)」


 エルちゃんは籠を手に、ニコニコで答えた。


「カウルを守るには、まずお金が必要だよね! だから、キラキラショーやろ!」

「ピニャ!?」


 またショー!? 俺の内心はツッコミでパニックだ。

 村の広場ならともかく、こんな大都会でキラキラショーって、正気かよ!

 でも、エルちゃんのキラキラした瞳を見ると、断る選択肢はゼロだ。

 サラリーマン時代、こんな急なプレゼンなかったぞ!

 こうして、俺たちのルミエラ生活が始まった。


  ◇


 ルミエラの市場は、活気の塊だ。

 中央広場には噴水があって、青いタイルが陽光を反射してキラキラ。

 周辺には、果物や布、武器、魔法っぽいアイテムまで売る屋台がひしめく。

 商人たちが「新鮮なマナフルーツだよ!」「ミスリルの短剣、安くしとくぜ!」と大声で呼び込み、客が群がる。

 まるで異世界の秋葉原だな!

 エルちゃんは広場の隅に陣取り、籠を置いて叫んだ。


「みんなー! ピニャのキラキラショー、始まるよー!」

「ピニャ!?」


 おい、早速かよ! でも、彼女の声に釣られ、子供や旅人たちが集まってきた。

 仕方ない、プロのピニャ魂、見せてやるぜ!


「ピニャ!」


 俺は翼をバタバタさせて宙に浮き、クルッと二回転宙返り。

 キラキラ鱗が陽光を浴びて、虹みたいに輝いた。

 子供たちは「わあ!」「何あのドラゴン、かわいい!」と大はしゃぎ。

 商人や冒険者も足を止め、銅貨や銀貨をポイポイ投げてくれる。


「すげえな、あのミニドラゴン!」

「エルちゃん、いい商売になるぞ!」


 銅貨がチャリンと地面に落ちる音に、俺のサラリーマン魂が反応。

 お、金! これ、換金したら何買えるんだ? いや、ドラゴンだから買い物できねえよ! エルちゃんは貨幣を拾い集め、俺を抱きしめた。


「カウル、ルミエラでもスターだね!」

「ピニャ……」


 スター、ねえ……まあ、悪くないか、と内心ドヤ顔つつ、前世じゃ表計算とにらめっこだったのに、なんでこんなアイドルドラゴンやってんだよ、と複雑な気分だ。

 キラキラショーは連日大盛況で、俺たちは屋台のパンや果物、たまに串焼き肉を買い食いしながら、ルミエラの宿屋に泊まる資金を稼いだ。

 宿屋は市場近くの木造三階建てで、部屋は狭いけど清潔。

 エルちゃんがベッドで寝る横で、俺は枕元で丸まって寝る。

 ドラゴンなのにペット扱い、プライドが……いや、意外と快適だな、これ!


  ◇


 ルミエラの日々は、村とは比べ物にならないくらい刺激的だった。

 朝は市場でショー、昼はエルちゃんと街をぶらぶら。

 彼女はキノコ採りの代わりに、屋台でハーブやスパイスを物色。

 8歳でこんな商才、将来大物だろ!

 俺は肩に乗っかって、街の喧騒を観察。

 鎧の冒険者、ローブの魔法使い、怪しい仮面の商人。

 異世界、キャラ濃すぎだろ!

 ある日、ショーの後にエルちゃんが屋台で買ったハチミツパンをおすそ分けしてくれた。


「カウル、これ食べて! ルミエラのハチミツ、すっごく甘いよ!」

「ピニャ!」


 パクッと齧ると、甘さが口いっぱいに広がった。

 う、うまい! 前世のコンビニスイーツ、目じゃねえ!

 でも、ドラゴンなのに甘党でいいのか?

 もっと炎とか肉とか、ワイルドな路線じゃねえの?

 内心ツッコミつつ、エルちゃんの笑顔に癒される。

 でも、彼女の謎めいた雰囲気はルミエラでも変わらない。

 市場の喧騒の中、ふと立ち止まって空を見上げる時、目が少し寂しげだ。

 またあの「いつか会えるかな」モードかよ!

 両親のこと、なんか隠してるよな。

 夜、宿屋で彼女が寝息を立てる中、俺は思う。

 エルちゃん、8歳でこんな旅、背負ってるもん重くね?

 ドラゴンの俺が心配してもな。


  ◇


 キラキラショーは日を追うごとに評判になり、市場の名物になった。

 ある日、いつものようにショーを終え、銅貨とパンを稼いでドヤ顔してたら、群衆の中からクールな声が聞こえた。


「へえ、あのミニドラゴン、なかなかやるね」


 見ると、黒髪のポニーテールに革の軽鎧、腰に剣を佩いた女性が立ってた。

 18歳くらい、鋭い目とスラッとした姿勢がカッコいい。

 おお、異世界の女剣士!

 めっちゃ強そう!

 彼女はエルちゃんに近づき、微笑んだ。


「君がエルちゃん? そのドラゴン、カウルだっけ? 面白いコンビだね」


 エルちゃんがキラキラ笑顔で答えた。


「うん! カウルは私の最高の友達! お姉さんは?」


「アレナだ。旅人さ。君たちのショー、毎日見てたよ。旅の話、聞かせてくれない?」

「ピニャ?」


 毎日見てた!? ストーカーかよ! 俺はアレナの鋭い目を警戒しつつ、彼女の雰囲気に何かを感じた。

 クールだけど、どこか影がある。

 こいつ、ただの旅人じゃねえな……エルちゃんは無邪気にアレナを屋台に誘い、俺もついていく。

 屋台のテーブルで、アレナはエルちゃんの話を興味津々に聞いてた。

 村のこと、商人に追われたこと、ルミエラに来た理由。

 エルちゃんが「カウルを守るため!」と言うと、アレナの目が少し柔らかくなった。


「へえ、8歳でそんな覚悟か。大したガキだな」

「ピニャ!(ガキって言うな!)」


 俺が鳴くと、アレナがクスッと笑った。

 お、笑うと可愛いじゃん! でも、彼女の視線が俺に刺さる。

 まるで、俺のキラキラ鱗の奥を見透かすみたいだ。何だ、この鋭さ! 怖えよ!


  ◇


 それからも、アレナは毎日ショーに顔を出すようになった。

 彼女はクールに腕組みして見てるけど、時々、俺の新技――ハート型の尻尾でハートを描く「ピニャハート」にニヤリとする。

 おい、ファンかよ! エルちゃんはアレナを「お姉さん」と呼び、すっかり懐いてる。

 8歳のコミュ力、半端ねえ!

 でも、俺はアレナに何か秘密を感じてた。

 市場で彼女が剣を磨く姿、冒険者ギルドの掲示板をチラ見する目つき。

 絶対、裏の顔あるだろ、こいつ!

 ある夜、宿屋の窓辺でエルちゃんが寝た後、アレナが市場で誰かとコソコソ話してるのを見ちまった。

 相手はローブの怪しい奴。

 おい、ヤバい組織のスパイじゃねえよな!?

 翌日、ショーの後、エルちゃんがアレナに提案した。


「アレナお姉さん、もっとすごい冒険したい! 星見の森、行ってみない?」

「ピニャ!?」


 星見の森!? 急に冒険!? 俺の内心は大パニックだ。

 俺、戦闘力ゼロ、スキルはキラキラショーとキノコハントだけだぞ!

 アレナは一瞬、目を細め、微笑んだ。


「森か……面白いかもな。だが、危険だぞ。強い味方、必要だろ?」


 彼女の視線が俺にチラリ。

 おい、俺を数えるな! 飾りドラゴンだぞ! エルちゃんがキラキラ笑顔で叫んだ。


「アレナお姉さんが一緒なら、絶対大丈夫! ね、カウル!」

「ピニャ……」


 お前、無鉄砲すぎだろ!

 でも、アレナの目が少し悲しげなのを見逃さなかった。

 こいつ、過去に何かあんな……内心ビビりつつ、エルちゃんの勢いに引っ張られ、俺は頷いた。


「ピニャ!(行くしかねえか!)」


 アレナがクスッと笑い、剣の柄に手を置いた。


「よし、決まりだ。ルミエラも悪くないが、冒険もいいな」


 こうして、俺たちの旅にアレナが加わった。

 ルミエラの喧騒を背に、星見の森への冒険が始まる。

 8歳の女の子、ミニドラゴン、謎の女剣士。

 このパーティ、バランス悪すぎだろ!

 アレナの秘密、森の危険、俺のピニャ魂、どうなるんだ!?



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