第11話 港町ハーケンと魚の誘惑
王都カルタルタスでの日々は、俺、カウル――いや、ミニドラゴン「ピニャ」の人生をド派手に変えた。
黄金の首輪をキラキラ輝かせ、貴族のパーティーで令嬢に囲まれ、白狼組の訓練場で英雄扱い。
サラリーマン時代、表計算とにらめっこだった俺が、こんなスポットライトを浴びるなんて、誰が予想した?
でも、内心はツッコミでパニックだ。
戦闘力ほぼゼロ、スキルはキラキラショーとキノコ探し、最近やっと炎と飛行が加わったけど、こんな大舞台、俺のスペックで乗り切れるのか!?
エルちゃんは、金髪ツインテールを弾ませ、星みたいな瞳で次の冒険に胸を躍らせる。
8歳の女の子が、王宮や貴族の屋敷でもビクともせず、商魂と冒険心を全開にする。
ほんと、規格外の女の子だ。
アレナは剣を手に、護衛として完璧に立ち回りつつ、時々、遠くを見る目に影が差す。
白狼組の騎士でレヴァリス家の令嬢って正体がバレたけど、彼女の「守れなかったもの」って何だよ?
バルンガ老エルフの「竜の秘密」も気にかかる。
俺の炎、ほんとに何か特別なのか?
そんな疑問を抱えつつ、俺たちのトリオは次の目的地、港町ハーケンへ向かう準備を整えた。
出発前、最後の王宮訪問があった。
王様が俺たちをもう一度呼び出し、カルタルタスでの活躍を讃えてくれるらしい。
謁見の間は相変わらずの壮麗さだ。
白い大理石の壁に金箔の装飾、竜の壁画が堂々と描かれ、シャンデリアがまばゆく輝く。
俺はエルちゃんの肩で黄金の首輪をチラつかせ、内心ガチガチに緊張。
王様、気まぐれとはいえ、急に何だよ!?
「エルミン、アレナ、カウル、カルタルタスでの活躍、耳に入っておるぞ。ピニャのショー、白狼組での働き、素晴らしい!」
王様の威厳ある声が響き、貴族たちが拍手。
エルちゃんがキラキラ笑顔で手を振る。
「王様、ありがとう! カウルのピニャショー、もっとすごいよ!」
「ピニャ!?(またショー推しかよ! 俺、ビビってるんだぞ!)」
アレナが一礼し、落ち着いた声で応じた。
「陛下、ご厚意に感謝します。私たちは旅を続け、使命を全うします」
使命? バルンガの「竜の秘密」のことか? 俺がピニャ鳴きで反応すると、王様が目を細めて俺を凝視。
う、怖え! すると、エルちゃんが突然、俺の背中をポンと叩いた。
「カウル! 王様にお土産あげよう! ほら、鱗!」
「ピニャ!?(鱗!? 俺の体の一部を!?)」
そういえば、最近、俺のキラキラ鱗が一枚抜けてた。
エルちゃんが大事に籠にしまってたやつだ。
彼女はそれを手に取り、王様に差し出した。
「王様、カウルの鱗、キラキラで特別なんだ! ハーケンに行く前に、プレゼント!」
鱗はエメラルドのように輝き、光を浴びて七色に揺れる。
王様が目を輝かせ、受け取ってニッコリ。
「ほう、ミニドラゴンの鱗! これは王家の宝だ。カウル、良い旅をな!」
「ピニャ!(俺の鱗、国宝!? マジかよ!)」
内心ドヤ顔だったが、鱗を渡すって、なんかペットの抜け毛を贈るみたいだ!
サラリーマン時代、こんなVIPな贈り物なかったぜ!
王様は鱗を衛兵に預け、俺たちに旅の許可を再確認。
「カルタルタスはいつでもお前たちを迎える。ハーケンで新たな伝説を刻め!」
こうして、俺たちは王様に鱗を贈り、カルタルタスを後にした。
ハーケンへの道は、丘陵地帯を抜ける風光明媚な旅路だ。
緑の丘に羊が点々と草を食み、遠くで風車がゆったり回る。
馬車に揺られながら、エルちゃんが地図を広げ、目をキラキラさせる。
ハーケンはバーバルへの船が出る港町で、交易の要衝。
海を渡れば、新たな冒険が待ってる。
俺はエルちゃんの肩でキラキラ鱗を光らせ、内心ドキドキしつつ、ピニャ魂を奮い立たせる。
海! 船! めっちゃ壮大! でも、ドラゴンなのに船酔いしないよな……?
◇
ハーケンに着いた瞬間、潮風と魚介の香りがドンと押し寄せた。
石畳の港には帆船がズラリ、網を担ぐ漁師や荷物を運ぶ商人がガヤガヤ行き交う。
市場はルミエラに負けない活気で、屋台には焼き魚、海老のスープ、貝のグリルが山盛り。
海の恵み、最高かよ!
エルちゃんは籠を手に、市場をスキップで突進。
アレナは剣を腰に、鋭い目で周囲をチェック。
俺はキラキラ鱗と黄金の首輪で、まるで動く観光名所。
くそ、目立つな、この装備!
「カウル! 見て、海! キラキラしてる! ハーケン、めっちゃ楽しい!」
エルちゃんが桟橋で両手を広げ、満面の笑みを弾けさせる。
「ピニャ!(海、すげえ! でも、俺、泳ぐの無理だぞ!)」
アレナが港を一瞥し、クールに微笑む。
「エルミン、船のチケットは私が確保する。ピニャ、目立ちすぎるなよ」
「ピニャ!?(目立つのは鱗のせいだろ!)」
サラリーマン時代、こんな港町、旅行サイトでしか見たことねえ!
内心ワクワクしつつ、俺たちはハーケンの市場に飛び込んだ。
◇
ハーケンの市場は、魚介の香りと商人たちの呼び声でカオスだ。
サバのグリル、牡蠣の串焼き、イカの燻製、どれも腹をグーグー鳴らす匂い。
エルちゃんは海老スープの屋台に目を輝かせ、カルタルタスで稼いだ銀貨を握り締める。
8歳でこの食欲、将来はグルメ評論家だろ!
俺は彼女の肩でハート型の尻尾を振る。
ドラゴンなのに、魚介に心がザワつくぜ!
ある屋台で、事件が起きた。
髭面の漁師が、網から外れた小さな魚――サバみたいなやつ――を俺にポイっと投げてきた。
「ほれ、キラキラドラゴン! いらねえ魚、食ってみな!」
「ピニャ!?(魚!? 生!? マジか!?)」
生の魚!? 俺、ドラゴンだけど、コンビニ弁当しか知らねえぞ!
目の前でピチピチ跳ねるサバに、内心ビビりまくり。
エルちゃんが手を叩いて大喜び。
「カウル! 食べて、食べて! 海のプレゼントだよ!」
アレナがニヤリと笑い、剣の柄を軽く叩く。
「ピニャ、ドラゴンなら生魚くらい平気だろ? 試してみな」
おい、プレッシャーかけんな!
俺は恐る恐るサバに近づき、鼻でクンクン。
う、魚臭え!
でも、なんか新鮮な匂いだ。
サラリーマン時代、寿司すら高級だった俺が、生魚に挑戦!?
ピニャ魂、負けねえ! エイッと一口かじると――。
「ピニャ!(う、うまい!?)」
マジか! サバの身が、プリッと弾けて、濃厚な旨味が口に広がる!
前世のコンビニ寿司、目じゃねえ!
思わず興奮して、俺は翼をバタバタ、クルッと宙返り!
キラキラ鱗が陽光を反射し、市場に虹がチラつく。
漁師たちが「うおっ!」「ドラゴン、宙返り!」と大盛り上がり。
エルちゃんが跳びはねる。
「カウル! めっちゃカッコいい! 魚、好きになった!?」
「ピニャ!(好き! 海の恵み、最高!)」
アレナがクスッと笑い、海老スープをすすりながら呟く。
「ピニャ、グルメドラゴンに進化したな」
おい、ディスんな!
でも、生魚の美味さに、俺のピニャ魂が燃え上がった。
サラリーマン時代、こんなグルメ体験なかったぜ!
◇
市場の広場で、キラキラショーを開催した。
エルちゃんが「ピニャのショー、始まるよ!」と叫ぶと、漁師、旅人、子供たちがドカドカ集まる。
俺は新技「ピニャウェーブ」を披露。
波のように翼を揺らし、鱗の光でキラキラの波紋を広げる。
黄金の首輪が光を跳ね返し、港に虹の波が広がる。
漁師たちが「すげえ!」「まるで海の魔法だ!」と大喝采。
銅貨と焼き魚がチャリンと飛んでくる。
「エルちゃん、いい相棒だな!」
「ドラゴン、宝物みてえ!」
銅貨の音に、俺のサラリーマン魂がニヤリ。
よし、稼いだ!
でも、ドラゴンだから換金できねえ!
エルちゃんは貨幣と魚を拾い集め、俺を抱き上げる。
「カウル! ハーケンでもスターだよ!」
「ピニャ!(スターってか、魚食いドラゴンだろ!)」
アレナがスープを飲み干し、ニヤリ。
「ピニャ、ショーも魚もバッチリだ。だが、船旅は気を抜くなよ」
船旅!? 俺、飛行は得意だけど、海は未知数だぞ!
内心ビビりつつ、俺たちはハーケンの宿屋に泊まった。
木造の二階建て、窓から潮風が入る部屋。
エルちゃんはベッドで跳ね、俺は枕元で丸まる。
アレナは窓辺で剣を磨き、港の明かりを眺める。
なんか、絵になるトリオだな!
◇
翌朝、市場でカモメが騒ぐ中、エルちゃんがカモメを追いかけ回すハプニング。
彼女、鳥を追いながら「ピニャみたいに飛べるかな!」と笑う。
8歳の無邪気さ、半端ねえ!
アレナは海老スープの屋台で、エビの髭を手に持って照れる。
クールな剣士が、エビで照れる!?
新キャラ発見だ! 俺は笑いながらピニャ鳴き。
「ピニャ!(アレナ、エビで照れるとか、ギャップ萌えだな!)」
彼女が苦笑し、エビの髭を投げる。
「ピニャ、余計なこと鳴くな」
エルちゃんがカモメを追いかけつつ叫ぶ。
「カウル、アレナお姉さん、船旅、楽しみ! バーバルでピニャショーやろう!」
「ピニャ!(船旅!? 俺、酔わないよな!?)」
ハーケンの市場は、焼き魚の匂いとカモメの鳴き声で賑やかだ。
俺は生サバの味を思い出し、グルメドラゴン魂を燃やす。
バーバルへの船旅、どんな冒険が待ってる?
アレナの過去、竜の秘密、俺のピニャ魂、次は何だ!?
サラリーマン時代、こんなドラマチックな展開、なかったぜ!




