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孤児のTS転生  作者: シキ
孤児と愚者の英雄譚

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身体の主用部分を再生させ構えをとる…再生といっても動きに支障が出る千切れた腕と鱗を元に戻しただけなんだが。

視界が歪み出して吐き気が込み上げてくる。

コレは炎と煙がこの一帯を埋め尽くした性による酸欠かそれとも使い慣れていないドラゴンフライの目を使ったせいだろうか?


「はは…流石に集中力が切れてきたな」


「グルルゥ!だったらさっさと地に伏せ寝てなッ!」


自分で独り言を呟くと同時にトゥランベル嬢はその言葉に反応すると同時に腕を振り上げると思いっきり振り落とす。

危険を察知した脳が警鐘を鳴らしその場にいてはいけないという勘を働かせそれに反射するように身体を突き動かした。

上空からは白く燃える腕が私をその言葉通り地に伏すように叩きつけてくる。


「……あっぶねぇなぁ!」


右腕の4本に左腕の4本…本体の2本の腕が振るわれることでその他の作り出された対称となる腕が同時に動く。

全て同じ動作ではあるがタイムラグは作り出すことができるらしくそれが厄介だ。

それにこんな高威力な炎の腕を操り自分の側から離して操作しているのが更に厄介を極まる。


逆転の一手を考える間もなく私の身体を払うように炎の腕が側を横切る。

精度こそあまり無いがそれでも掠っただけで私の身体は吹き飛び動けなくなるだろう…トゥランベル嬢の身体能力ならば地を転がる私なんぞその気になれば組み伏せて止めを刺すことも簡単なはずだ。

今までそれをしなかったのは…まだ私に強者に対する慈悲をくれているからだろう。


動き回るせいで視点が一点へ定まらず魔術を使おうにも琥珀色のナイフを出す暇も無い。

いやナイフを使ったとしてもだな…並列思考に残ったストックした魔術は全てが大規模な魔術ばかり座標すら定まらないまま使ったら自爆必至のものばかりだ。

もう身体が全壊したら『回生』ではどうにもならないほどの魔力しか残っていないしどうしたものか。


「ワタシに…従いなさいッ!……そしたら殺さないであげるから」


攻撃は更に速くなり感情が振れ動く度に炎の腕は更に大きくなる。

まるでその炎を操る姿が性格や特徴すら違うアルキアンの姿を彷彿とさせる。

とうとう私の頭もおかしくなったらしい…いや元々こんな世界に来た時点でおかしくはなっているか?


息を吸うことすら出来なくなりえずき肩が上へと上がり空気を追い求める。

腕が通り過ぎた後の白の炎はここまでで何回掠ったか…掠るごとにガードした腕の鱗はドロドロに溶け身体の肉は炭化してボロボロとなる。

『メタモルフォーゼ』もここまで来ると意味をなさない…というか『メタモルフォーゼ』ももう解けようとしているのだ。


魔力を消費して変化した身体は別に常時その変化に魔力を使うわけでは無い。

だがそれを維持するってのは例を挙げるとすれば痩せ我慢のような感覚に近くコレが元の身体であると自分で意識していないと成り立たなくなる。

つまりは自分の脳を誤魔化しコレが本物だと言い続けなければならない。


「は…は…ここまでか」


「ここまで良くワタシを追い詰めましたわ…ワタシがここまで力を使うのは赤き母なる王女以外に貴女だけですわ」


そんなことを考えると溶解した鱗が身体から落ちて自分自身の腕が顔を出す。

ゆっくりと骨が軋みバネが元に戻るようにギギギと音を立てる。

人族である私に合わせたワイバーンの本来の筋肉が凝縮していた身体から解け落ちる。


人とかけ離れる程集中力が削られるだからこそ短期決戦と行きたかったがそれすら出来ないとは思わなかった。

だが…ここで終わるわけにはいかない…ここにはアルキアンがいるのだから私が立っていなければいけない。

仮にトゥランベル嬢を倒して戦えない身体になったとしても後先考えないと怒られてでも倒さなければならない。


「アル…すまないが私は私の都合で死力を尽くす…コレは私の戦いだ」


「感じるぞ?遂に悩み終わったか?ようやく強者として目覚めるかを決めたようだな」


私はトゥランベル嬢を舐めていた心の何処かで全力を尽くさずとも倒しこの後にあるであろうアルキアンとの共闘に思い馳せていた。

仮に力及ばず気絶や倒れても身体さえ動けば『回生』して敵の陣地で暴れるという作戦もあった…だが何故か私の身体は諦め悪くこちらが劣勢になろうとも諦めないで戦い続けた。

それは何故か…それはこの目の前にいるトゥランベル嬢が気に入らなかったからだ。


「あぁようやく悩み終わったよ…私はトゥランダル嬢…貴女を全てを持って倒す」


胸に手を当て残り少ない魔力を全力で身体を巡らせ心臓を『メタモルフォーゼ』させる。

どんな後遺症があるかも分からないだからこそ今の今まで使わずにあの神官相手にも使わなかった使用方法だ。

『メタモルフォーゼ』は私が今まで取り込んだ物を魔力を代償に創り出すもしくは変化させるという暴食の権能である。


今まで行ってたのは魔力を代償に目をドラゴンフライの複眼や腕をワイバーンに下半身をウルフに変化させていたが今回のは創り出す能力。

この世界のとある本にはこう示している人も魔物も魔力というのは心臓部分の魔石によってその総量を変化させる。

私はなんでも食べられる有機物でも無機物でも…だからこそ魔力補給用の魔石も食べることができる。


ここに来るまでに何回か魔術を使ったからその道中で魔石を食べたし普段から良く魔石を飴玉みたいに食べている。

だからこそ私は私の心臓に魔石を創り出す条件は揃っているはずだ。


自分の心臓に外付けのハードディスクを取り付けるように魔力を代償に魔石を創り出し胸に違和感を募らせる。

呼吸が重くなる…だが心臓に魔力を代償に創り出したそれは確実な結果を出す。

心臓の魔石は所謂心臓と同じくポンプの役割を持つ…つまりは身体を巡る魔力の循環の効率化だ。


「ハハッ…コレで同等か?」


否コレではまだ届かない…届いたとしてもそれは力では無い。

力とは圧倒的でなければならない…だからこそ更に身体の一部を変える。

それは人らしく私が喰らい尽くしたかつて生きていた者の執着の一部。


心臓に当てた腕が水色へと変わりワイバーンの腕から更なる新しく鱗を生やし海の匂いを漂わせる。

その皮膚と言える鱗はこの炎の中でも潤い水を滴らせる。

やはり完全なものは作れず不完全な状態…心臓の魔力が漏れて勝手に水を創り出す。


最大限まで魔力を引き出し循環させて身体強化を行う魔石の心臓にかつてその嫉妬を身に下ろした老神官の腕。

それは自らを海の神と自称し世界を作り変える改編者の一部。

魔力はもう僅か…だがこの身体さえあればトゥランベル嬢を倒せる。


「準備はできた…今こそ決着だ」


「グルルルル…分かるぞその膨れ上がる力…それでこそ強者だ!さぁ行くぞッ!」


赤は消え去り白い閃光が宇宙を染め世界が歪む。

片や白い炎が飛び出し、もう一方は半身より白い蒸気を上がらせて地を蹴り飛び出した。

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