「十七だからぁ~♫」
お待たせしました
大きな驚きが有ったとは言うものの、雨子様達の順応力は極めて高い。
直ぐに目の前の状況に馴染みながら、部屋の中に用意された席に着くのだった。
尤もいくら順応力が高いとは言っても、目の前に自分のそっくりさんが居るのは何とも居心地が悪い。特に祐二などは、目の前に座っている偽の雨子様と、偽の自分自身を何度も見つめては溜息をついている。
さすがにその状況を見かねたのか、雨子様が言うのだった。
「和香よ、一応其方達の目指しておったことは理解したのじゃ、これ以上笹姫達をこの姿にしておく理由は無いであろう?そろそろ元の姿に戻してやっては貰えぬかや?」
その言葉を聞いた和香様、彼女もまた、居心地悪そうにしている祐二の様子に気が付いていたのか、直ぐに笹姫達に向かって頷いてみせるのだった。
「笹姫ちゃんら、もう解除してもええで?」
すると笹姫はにこりと笑みを浮かべて頷き、次郎太は木訥にこくりとすると、俄に光が彼らを包み始めるのだった。
そして眩いばかりの光が収まると、そこにはにこりと微笑んだ優しい顔つきの笹姫と、すっかり現代の若者風に髪を刈り込んだ、なかなかのイケメンの次郎太が居るのだった。
それを見た雨子様が、少し目を見開きながら問いかける。
「次郎太、その頭はどうしたのじゃ?」
すると彼は顔を朱に染め、何事かぶつぶつと呟くのだった。
勿論雨子様の耳にその言葉は十分に届いて居るのだが…。
「これ次郎太、はっきりと言わぬか?そのようなことで其方、祐二の身代わりが務まると思うて居るのかや?」
少し厳しい目つきで次郎太のことを見据える雨子様。
その言葉の意味が分かったのか、次郎太ははっとしながら顔を上げ、はっきりとした言葉で雨子様に言うのだった。
「仰る通りで御座います、雨子様。えっとそれで…おえのこの頭は、こちらへ来る直前に沙喜さんに刈って貰いました」
何とかそう言って、頭がさっぱりとした状況を説明するのだが、その身体は硬く、緊張のためか微かに震えている。
と、そこへ和香様から救いの手が入るのだった。
「それ位にしたってくれへん雨子ちゃん?」
至ってまじめな表情でそう言う和香様に、何事かを感じたのか雨子様は黙って頷く。
それを見て頷きながら和香様は更に言葉を続けるのだった。
「未だ詳しく説明してへんかったうちが悪いねん、ごめんしてな次郎太君」
そう言うと改めて雨子様に向かう和香様。
「うちもその辺のことはちゃんと考えとるんや。そやから実際に相手を真似る時だけ心をなぞるように、ちゃんと呪を組んで有るんや。今は外見を解いてあるからその呪が消えとるんよ」
「成る程、そう言うことかや」
「そうやねん」
その説明にすっかりと納得した雨子様、逆にさすが和香よと感心するのだった。
とそこへ、どこか思案げな祐二が問いかけてくるのだった。
「それで僕達があちらに出掛けている間のことは何とかなるとして、肝心の僕達自身はどうなるのでしょう?」
和香様はどうやら直ぐに納得いったようなのだが、雨子様は祐二の質問の意味が、今一良く分からないらしい。
「のう祐二よ、その、僕達自身の問題とは一体何なのじゃ?」
不思議そうにそう問いかけてくる雨子様に対して、微かに苦笑しながら祐二は答えるのだった。
「だってさ雨子さん、僕達は高校生なんだよ?」
「うむ、だから何なのじゃ?」
「高校生というのは未成年じゃ無い?未成年が平日うろうろしていたら、はてさてどうなってしまうことやら…」
するときょとんとした顔をする雨子様。
「む?それは我もと言うことなのかや?」
「え?違うの?」
今度は祐二がきょとんとする。
「我は其方らの年齢で言うたら、数えきれぬほど年を経た神ぞ?」
「でも高校生だよね?」
「それはそうじゃが…」
「確か学生証は僕と同じ年齢だよね?」
「むっ…」
当初、雨子様は祐二からしか精を貰うことが出来ず、常に一緒に居る必要があった。だからこそ雨子様は色々な手を講じて、祐二と同じ高校に通えるようにしたのだった。
しかし今は既にその頚木から解放されて居り、それどころか小宝珠を爺様から貰ったことにより、神としての力を当たり前に使えるようになっていた。
だから本当のことを言えば、祐二と一緒に高校に通う必要など全然無いのだった。
けれどもそれでも雨子様は高校に通う選択をし続ける、それは祐二と少しでも一緒に居たい、少しでも色々なことを経験したい、一心にそう思うが故のことなのだった。
だが今はその設定が、彼女の身分を十七才の女子高生というものに縛り付けているのだった。
「これは失念しておった…そうじゃ、今の我は十七才じゃった」
「「十七才?」」
和香様と小和香様が同時に叫ぶように言うと目をまん丸にする。
そして呼吸をすることを忘れたかのように、あうあうと口を動かした後言うのだった。
「嘘やぁ~~嘘と言うてぇ~~」
そう叫ぶ和香様の横で、机に突っ伏した小和香様が身体をひくつかせながら、必死になって笑いを堪えている。
そしてそんな者達を見ながら笹姫と次郎太が、手に手を取り合いながら顔色を青くしているのだった。
「なんじゃ和香、我が十七才では何かおかしいのかや?」
そう言いながら雨子様はポシェットの中から学生証を出してくると、和香様の前に突きつけるのだった。
「うわっ!ほんまやぁ~~、十七才やぁ~~」
確認しながらそう叫ぶように言うと、はたと小和香様のことを見る和香様。
「なあ小和香、うちもこれ終わったら学校行く!」
だが小和香様はきっぱりと頭を横に振りながら言うのだった。
「なりません、迷惑です!」
「そんなぁ~~~」
全くいつものことながら、上を下への三女神の集まりなのだった。
『十七歳』
色々な所で魔力を発揮している言葉でありますよねえ
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そしてそれらをきっかけに少しでも多くの方に物語りの存在を知って頂き
楽しんでもらえたらなと思っております
そう願っています^^




