36、最後の撮影
1900pt分です!遅れてすいません!
「凜々ちゃん、おはよう。」
莉緒さんがいつもより少し寂しそうに声を掛けて来た。
「おはようございます!なんで寂しそうにしてるんですか?まだ裕介さんと3人で出演するバラエティとかいっぱいあるじゃないですか?」
「うふふ、そうね。でも、やっぱり寂しいじゃない?」
「まあ、そうですね。」
今日は、私からしたら、本当に最後の撮影だ。莉緒さんはまだ撮影残ってるらしいけど、どっちにしろ私との撮影は最後だ。因みに、今日撮るシーンは、その後の安泰の日々…、みたいな日常編で、美穂が起きてから、朋美と和馬と朝ご飯を食べ、学校に行く、というところまでを撮る予定だ。だから今日共演するのは莉緒さんと裕介さんだけだ。
「あ、それにクランクアップのパーティーもありますよね。一週間後に。」
「あ、そうね。そういえば。凜々ちゃん、その時はお腹空かせてきなさいよ。けっこう色々美味しいものあるからね!」
「え~!楽しみ~!」
私がそういうと、莉緒さんが笑った。というのも、『え~!楽しみ~!』、というのは、確か10話ぐらいで出てくる美穂の台詞で、なぜか本番中に莉緒さんが私の言い方につぼってカットになった台詞だからだ。莉緒さんの笑いのツボがおかしかったのか、スタジオ全体『???』っていう空気になってたのに、莉緒さんだけ爆笑していたのが面白くて、私にとっても、結構印象に残っている台詞だ。
「ところで具体的にどういう食べ物が出るんですか?」
「う~ん、なんかすごいお洒落な食べ放題、っていう感じの物かな~。あ、そういえば、今日1話放送らしいけど、どう?楽しみ?」
「いやぁ、楽しみ、ではないですかね…。」
「え?なんでよ?」
「え?いや、なんか恥ずかし?っていうか、両親に見られるのも、なんか周りの人に見られるのも、なんか、すごい恥ずかしくないですか?なんか、良くわからないけど…。」
お父さんが録画してるのを見て、なんかすごく気持ちがだるくなった時の事を思い出しながら言った。
「小並感…!、いや、何でもないからね?う~ん、まあ、恥ずかしいかも知れないけど、うん、そうね、もうちょっと有名になれば、うん、慣れるんじゃないかな?」
「なんでそんなに子供っぽく扱うんですか?っていうか、小並感って…。」
「何でもないっていったでしょ!それより、そろそろ始まるわよ、リハーサル。」
莉緒さんにそう言われて時計を見上げると、確かにリハーサルまであと2分ちょっとしか残ってなかった。
「え?本当だ。それにしても、なんか、緊張してきたなぁ。」
「そろそろリハーサル入りまーす!」
そんな声が聞こえてきて、莉緒さんは言いかけていた言葉を呑み込んだ。
「じゃあ、頑張ろうね、私達の、最後の撮影。」
因みに、私達が楽しくおしゃべりしている間に、裕介さんは一人でスマホをいじっていた。まあいつもの事なんだけどね。でも、なんか折角共演できたのに、裕介さんとの仲は全然深まらなかったな~、なんて少し考えていた。そういえば2人だけで話したことってあったっけ?まあいいや。そんな事を考えながら、セットへと向かった。
「はい、カットです…。」
私にとっての最後の撮影が終わり、スタジオ中に安堵の声が漏れた。毎回の事だけど、私は寂しいような嬉しいような感情に襲われた。
「という事で今日が、凜々花ちゃんにとっての最後の撮影となりました。ありがとう。」
監督がそう言いながら、花束を渡してくれた。その結構な量を莉緒さんに手伝ってもらいながら受け取った。
「ありがとうございます!でも何でこんなに?」
「これは共演者皆からのプレゼントだからね。はい、これ私の。」
莉緒さんがウィンクしながら花束とお菓子を手渡してくれた。この可愛さに慣れてしまった自分が時々怖くなる。最近周りに可愛いorかっこいい人しかいないから目が肥えてしまったかもしれない。
「え、ありがとうございます!それに石田さんも風山さんも、それに大竹監督もありがとうございます!」
なんだか泣きそうになった。本当にこれで終わりで、今度はいつ莉緒さんや裕介さん、それに他のスタッフさん達と共演できるか分からない。いや、もう絶対に共演できないかもしれない。そう思うと虚しさと悲しさが胸を締め付ける感じがした。
「本当に、本当にもうこれで終わりなんですね…。もう、いつ会えるかも分からないんですね…。」
少ししんみりしたその場に、裕介さんの声が降りかかった。
「凜々ちゃんはまだこういうのは少ないかもしれないけど、これも女優としての一歩だよ。凜々ちゃんはきっと大物になるからこれからもこういう別れが多いと思う。でもだからこそ俺達とまた会う可能性も高いから、きっと大丈夫だよ。ほら。」
そう言って、裕介さんはチョコレートで出来た、大きなバラの花束をくれた。
「わぁ、凄い!」
そんな物初めて見る私は、直ぐにさっきの悲しさも消えてしまった。
「ありがとうございます!…あ、これ美味しい!ホワイトチョコだ!」
私が余りにも歓喜したからか、周りの空気もバッと明るくなった。
「やるじゃない、裕介。」
「うるせーよ。」
莉緒さんと裕介さんはイチャイチャしだし、スタジオの雰囲気もいつも通りになった。
「はい、じゃあ凜々ちゃん、今日までありがとうございました。またクランクアップで会いましょう。」
監督の声で、色々な所から歓声が溢れた。
「こちらこそありがとうございました!」
そういいながら、4ヵ月の思い出が詰まったスタジオ、そしてセットを出た。
「止めてー!!!私は自分の部屋に行くから、二人で見て。」
「良いじゃないか、折角なんだから記念にな?ほら、ケーキも買って来たぞ。」
「ケーキより羞恥心が勝つの!」
「またいつの間にそんな言葉覚えたんだ。」
「隙あり!」
お父さんの腕をするりと抜け、自分の部屋に駆け込んだ。
親不孝者かもしれない。でも、回想シーンで虐待シーンも入ってるわけだし、私の懇親の泣き演技も入ってるわけで…。無理やろ!
「もう、お父さん大人げないわよ。凜々花がいやならもう良いじゃない。そりゃ恥ずかしいわよ。」
「そうだそうだ!」
「…分かったよ。」
お父さん…ごめん。
…罪悪感<羞恥心
「そろそろ時間よ。早く見ましょう。凜々花、録画しとくから今度見たくなったらお母さんと一緒に見ましょう。」
そう言って両親はリビングにせかせかと歩いて行った。
見たい…見たい!けど今は我慢。
「にしてもどうしよう。」
特にやることも無かったので、寝ることにした。寝る準備はこんなこともあろうかとさっき終わらせておいた。歯は磨いてないけど、一日くらい良いだろう。
にしても撮影今日で終わっちゃったな…。明日からまたつまらなくなっちゃうな…。でも映画のオファーがあるんだっけ?どの位後だったけな…。確か半年後だっけな…?もっと後だったっけ?……
凜々花が寝付いてから一時間後の馬場美緒家では、両親が目を腫らしながら寝室へ向かっていた。
「まさか凜々花の演技があんなに上手いなんて…。」
「いつの間にあんなに大きくなったんだ。」
「それにあのドラマ面白すぎるわ。流石私の娘ね…。」
二人は娘への愛や誉め言葉をつらつらと語り合いながら寝室に入った。
同じく凜々花が寝付いてから一時間後、ネットは更に騒がしくなっていた。
始まりはツミッターやインスタクラムの呟きからだった。
『この手をいつまでもの子役天才過ぎっ( ゜Д゜)泣いたわ(´;ω;`)』
『さっきのドラマの子役なんだ一体?天才過ぎなんだが。ってかキャスト豪華すぎじゃね?』
そういう書き込みが溜まりにたまって、その二時間後には、早くもweb記事が出来上がっていた。
大分時が経ち、一週間後、加賀雪美は、寝室のパソコンをじっと見ていた。
「もう九時ね。」
そういえば…確か前におすすめされていたドラマが始まる時間と一緒だわ。ドラマなんて見ないけど、今の子役のレベルでも確かめようかしら。
そんな事を言いながら、加賀雪美は部屋を出てテレビを付けた。チャンネルをいじっていると、やがて、『この手をいつまでも』というテロップが流れた番組を見つけた。どうやらPRで出演者が宣伝しているらしい。そしてこの次にドラマが始まるのだとか。雪美はそのバラエティー番組を、そして始まったオープニングをじっと見つめていた。やがて、オープニングが終わり、2話の第1シーンが始まった。
総合評価2000pt行ったら、なんか記念にしようかな~、と思ってるんですけど、全然何も準備してません!私の学校では、今学年末なので、忙しいんですよ。確かに学校から帰ってきてからアニメ見るせいでもあるかもしれないんですけど、うん、期末テストとかありますしね。因みに期末テスト、一番苦手な国語はもう諦めました。あと1週間しかありませんからね!




