第21話蛙と最高の一日
綾が「危ないから、美心はここで待っていて下さいね」「危なくても一緒がいい!」そう言いたかったが「うん」綾に我儘を言って困らせたくなくて
けれど、言えなかった事を声に出そうと閉まっていくドアに「あっ・・・」言葉は閉まるドアに消され、俯いてしまう「そんなに寂しいのかい?」美心は呪術師の質問に「えっと・・・ごめんなさい」つい謝ってしまい「何を謝ってるんだい、もっと意思を強く持ちな」
呪術師の言葉の意味は分からず「仕方ないね、それじゃあ私達も出かけるよ付いて来な」綾にはここで待っててと言われていたが「なんだい?あんたはこんなに良い天気に・・・」それならと一人で出かけようとしている呪術師に「いっしょに!」一人になった時の寂しさや恐怖を考えてしまったのか
自分の想像以上に大きな声が出て「いきたいです・・・」恥ずかしくなり、次の声はいつもより小さくなってしまった、ニヤリと笑う呪術師は「始めからそれで良いんだよ、付いて来な」手を美心に伸ばし「最高の一日を教えてあげようじゃないか」
それからは綾達にかけた魔法、雨避けの加護を使い二人が向かった方角とは逆にある川の方に歩き始め、目の前に蛙が現れ「幸先が良いねぇ」手にしている杖をヒュイっと振ると、蛙は巨大化して手綱が付けられていた
木を飛び越える勢いの豪快なジャンプをして進む蛙の背で「乗り心地はどうだい?ヒャッヒャ」ジェットコースター様なスリルにテンションの上がる呪術師に対し、恐怖で呪術師にの背中に抱き着いて、また俯いてしまっている美心
「怖がってばかりじゃ楽しめないよ、前を向きな!前を!」呪術師に怒られた驚きで前を向くと、大きくジャンプする蛙の背からは遊んだ海や先程までいた町が一望出来て
蛙が勢い良く着地してまたジャンプして進む、何度も繰り返すそれは絶叫アトラクションのようで「こんな時は叫びな」首を横に振る美心「今日は台風だよ誰も見ちゃいないさ、ヒャッヒャッヒャー」
「きゃー!わっー!おちるーーー!!」美心自身も聞いた事のない叫びに手綱を強く握り「そんじゃあ、大きいの行くよ舌噛むんじゃないよ!」ゲコゲッコと鳴き、蛙は今までより遥かに高く跳ぶ。
「くもだ・・・」蛙はジャンプと言えない程の跳躍で雲の中に突っ込み、とても長い滞空時間の後に凄まじいスピードで落下し、着地に合わせ杖をまた振ると地面がクッションの様にボヨンっと着地した。
蛙は役目を果たし元のサイズに戻り巣へ帰るのを見送り、家に向かう途中に雨でドロドロになっている足元を杖を使い歩くが歩きづらそうな呪術師に「わたしにまかせて」今度は美心が呪術師に手を伸ばし、その手を握る
手をつなぎ歩く中、美心が「おなまえ!」思い出したように美心が言うと「ん?何だい?」呪術師の名前をまだ知らなかった、それを思い出し聞いてみる
「なまえはね、たいせつだよあやおねえちゃんにね、びしんもつけてもらったんだよ」
「全部は教えられないね、名前ってのは呪術にとって大切なのさ」「でもっ」美心の口を杖で止め「さっちゃんって呼びな、他の奴にはさせるんじゃないよ」
恥ずかしがる呪術師に「うん、わたしたちもうともだちだね」「一つ貸しだよ」「うん、きょうはありがとうさっちゃん、さいこうのいちにちだったね」名前に友達と呪術師にとっても今までで一番最高の一日になり、二人仲良く家に帰って来た。




