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第22話犯人と恩人

美心から事情を聞き一時の感情に流されてしまった事を綾も一緒に謝り「いいさ勝手に連れて行ったのは事実だしね、それよりも」さっちゃんは兄の持っていた布袋を受け取り、中身を確認した



「ん~、少しだけ獣系が少ないね」どれか分からないが獣と言えば狼や熊に似た魔物を倒した記憶はあったので「骸骨やらが多くてそういうのは少なかったんだ」



「こうなる前は呪術に適した環境だったのに骸骨共ばかり幅を利かせおって満足に呪術が出来ないじゃないか」半年も続いているせいか一頻り(ひとしきり)怒ると「はぁ」と大きなため息すると台所に移動して、肉か魚どちらが食べたいか聞いてきた


それからは食事を頂きながらに、楽しそうにするさっちゃんと美心を見て、ここまで仲良くなるとはと意外で初めて会った時の悪そうなイメージはなくなっていた。









食事を済ませる頃にはやっと台風は去っていたから椿と菊の様子を皆で見に行く事にした、呪術師の家から近くだったのですぐに到着したが



片手に松明をもう一方には手斧やら剣槍など物騒なものを持った人が集まっていて中には先程会った集団のリーダーが居た、それを何をしているのだろうと見ていると「関わらない方が良いですよ」椿の声で宿の方に振り返る「あぁ、そろそろ出ないといつまでもここに居られないし」



「分かりました、菊ちゃん」美心とじゃれていた菊が「了解ですます」菊は足早に宿に戻り荷物を運び出す、それを見て美心が何かを驚いた顔をして




綾の手を軽く引っ張り「おねえちゃん、もしかしてさっちゃんとさよならするの?」頭を撫でゆっくりと「そうですよ私達は旅をしているのですから」




悲しそうな顔の美心に言葉を続け「けど、旅の途中でまた会いにだって来れます」悲しい顔はすぐに明るくなり「うん、さっちゃんにおわかれしてくる」


椿と菊は車に向かい、兄達だけ最後に挨拶をと動き出すと「町長、奴が先ほど見つけた家に入りました」



それを聞き町長らしき人が大きく息を吸い「町のためにスペクトルの野郎を殺すぞ!覚悟はいいな!」と士気を高め、「おぉー」町長と呼ばれている人の合図に合わせ走り出す町の漁師達、スペクトルと言う名前を聞き、見送っていた中に案内してくれたカップルを見つけ





「スペクトルってのについて何かわかるか?」と聞くと「前に話したのがスペクトルって奴なんですよ、理由は知りませんが事を起こす前はこの町で暮らしていたんですが


何故か急に町から出て行きそれからこうなったわけです、町では釣りの達人なんて言われてましたが今となっては魔物より恐ろしい」



「そんな人には見えませんでした、勘違いなのでは」綾が信じられず、聞くと「知り合いなんですか?なら信用しない方が良いですよ、妻と娘がいるとか一緒に暮らしていると聞きましたが一度も見た人がいなくて」




「ありがとう」「急ぎましょう、私には悪人には思えませんでした」危険は避けたいが話す前から気持ちは一緒だったようで全員が



町長達の向かった方角に走り出した。












台風と雨の影響で地面が泥濘ぬかるみ歩くのが精一杯で町長達を見つける頃には


日は落ちて松明の火が一か所に集まって行くのが見え「今までお前のせいでっ!どれだけ苦汁を飲んまされたか!」



町長達に蹴られ、鈍い音と共に上がるスペクトルの悲痛な声、早く助けないと動き出す前に「助ける必要があるのですか?」



椿の唐突な言葉に「当たり前だろ、止めないとあの人死ぬぞ」「あの方達の言っている事が本当なら私達が助けたら、それこそ同罪なのでは」



普段の椿とは思えない言葉と思ったが、けれど問答している暇などないと一言「同罪で結構!」



綾も賛同してくれて椿と菊に美心を任せ、二人でスペクトルを囲い蹴っている中に力づくで入り込み



「やめろ、もう十分だろ」「これ以上続けるならば私達が相手になりますよ」ナイフと刀に手を添える二人、その殺気に圧倒され冷静さを取り戻した村人たちだったが



「うるさいこのままじゃ漁が出来ん、俺たちが飢え死にする」そうだ、そうだと町長の言葉でまた怒り出す村人達



「それにだ、そいつが自分から殺さなければこの天気は治らんと言ったんだぞ」本当なのかとスペクトルの顔を見る、虫の息だが小さく頷く



そんな事を言えば殺される何故そんな事をと思ったが「あんたらには悪いけど、俺にはそんな悪人に思えないんだ」そう言ったと同時に皮袋から黒いビー玉の様な物を地面に叩きつける



その瞬間周りの人間を覆う程の煙幕が広がり、町長達は松明を振り回すが煙幕が消える頃には兄たちの姿はなく、「絶対に逃がさんぞ、覚えておけ!」やり場のない怒りと町長の叫びは


遠くに逃げていた兄たちにまで届いていた。











その後森の奥にあるスペクトルの隠れ家に行く事にした兄たちが見たのは夢に現れた家そのものだった。

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