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第19話海と呪術師

車でアマテラス連邦から出発してガタンと車が止まる、揺れで目が覚め「皆さん、到着ですよ足元に気を付けて降りて下さいね。」椿に言われ車から降りると




キラッと寝起きの目に染みる強い日差しに手で顔を覆う「南国って感じだな」

「おねえちゃんあついよー」「くっそ暑いですますねー」



「私達には関係ありませんがね」機械なので当然と菊の言葉を椿がばっさりと論破しているが「綾は・・・」そこまで言って気づく、綾には暑いだの寒いだのはない死人と一緒なのだから



綾がそれを考えているのは美心へ返事をしていなかった、それを見ればすぐに気づくべきだったな、と思うが今は後悔していても仕方ない「そうだ、夏イベ品出しちゃおう!綾もほら!」「ひゃ」




兄は綾の手を強引に引き砂浜に向かう「はい、注目!今日の商品はこぉちらになりまぁーす」兄がいつもに増してテンション高くして皮袋から向日葵が描かれた青い箱を2個出した。








「あっ、それおにいちゃんきてた、あほだーばこだよ」「あほだー箱ですか?」美心が変な覚え方をしていた「おしいなーこいつはアバター箱だよ、ちなみに中身は・・・」




兄が言葉を途中でやめると手元にあったアバター箱を両方開けて中身を綾と美心にぶちまける、二人が驚き悲鳴を上げるが服装が変わった事に気づき、静かになると「これは」「すごいね、おねえちゃん!」





先程までのビーチには到底似合わない和服が消え

白く綺麗なワンピースに同じく白いサンダル、頭には青いリボンを付けた麦わら帽子に小さな向日葵の花がちょんと一輪付いている




「えぇー菊の分はないのですますかー」残念そうな菊の言葉に「ごめん、保存と競売にと思い二点しか買ってなかったんだわ」「菊ちゃん、空気読んで下さいね」「ブー」と怒る菊に水が飛んでくる


「しょっぱいですます」「きくちゃんあそぼー」美心に誘われ菊が楽しそうに海へ走る「錆びないのか?機械なのに」「この世界で言います?」椿の答えに自分のいた世界の基準で考えたらダメなんだなと感じた


初めのうちは楽しそうに綾も美心達と一緒に海でみずをかけあったり、砂で城を作ったりしていたが途中で離れ座り込み、美心を見ているだけの綾をさらにもじもじしながら兄が見ているだけの状態が続く



それにしびれをきらした椿は「そろそろ行ってあげたらいかがですか?」自分のせいで綾は暑い日差しも冷たい海も楽しめないと考えだしたら





「いつもみたいに明るく出来ませんか?」「空気じゃなくて心も読めるの?」クスクスと底の見えない笑みをする椿に「ありがとう、俺らしく頑張るよ」そんなに距離もないのに走って綾に向かう兄に軽く手を振り見送る












美心達のはしゃぐ声と波の音が砂浜に座る綾を物思いにふけさせる、それは両親とも良好な関係になれたからこそ考える自分がこの様な化け物でいつか体温だけでなく何も感じない、本当の意味の化け物になってしまうのではないかと「お父様お母様・・・」



「へい!彼女一人かい?」考えていたらおでこが当たる程顔を近づけられていた、誰か分からずに離れると褐色の肌に良く似合う白いビキニ姿、銀髪はポニーテールにしてサングラスをかけてはいるが



「サマー様ですよね」「あらら、セクシーなオーラで気づいちゃったかな?」グラビアとかで見たようなポーズを思い出しやってみると綾が笑ってくれた「様はいらないぜ、お嬢さん」「何ですかそれ」兄が差し出した手を握り「皆、海ではしゃぐのも良いが面白い事試そうぜ」兄の掛け声に皆集まる




握ったままの手は何故かとても暖かく感じ、不安だった気持ちは消え優しいぬくもりだけが感じないはずの手をあたためてくれた。
















車は兄弟のいた世界と同じく、キーを抜けば動かない様なので歩いて海辺にある岩場に向かった、皮袋から4メートルくらい釣り竿を取り出すと「せっかくの海だし釣りしようぜ」「餌はありますです?」




そうえばゲームでミミズやらを消費アイテムで使っていたと思い出し皮袋を探ってみるが「最悪だ、餌だけない」「つりってなあに?」美心に聞かれるが餌もないし困っていると「君達餌もないのに釣りをしてるのか?」





白い半袖のTシャツに紺色の半ズボンの男が声をかけてきた「話声が聞こえてね、餌ならいくらでもあるからどうぞ」腰に付いているウエストポーチから木箱を出して渡してきた




綾が受け取り「ありがとうございます」お辞儀をして兄に渡す、中を確認するとミミズがうじゃうじゃ入っている「あぁ、それと良ければこれもどうぞ使わないから疑似餌って分かるかな」綺麗な色のエビの疑似餌を1匹くれた




兄が受け取ると「助かります、これで釣りが出来るぞ」「ほんとう?よかったねおにいちゃん」餌を付けようとしてみたがゲームでしかやった事がないので上手く付けれず「君達釣りは初めてかな?」






男が見かねて餌を付けてくれた、それを申し訳なさそうに「いやぁ、こんな所で釣りに詳しい方に会えて良かった」そう言うと村や町は近くに見当たらなかったし海辺に人もいなかった、なら何故軽装備でこんな所にいるのかと考えたが





「よし、もういいぞお楽しみの時間だ」不思議とは思ったが敵意も武器も持っていないので男が言う方向に向けて投げた。











5分も経たずに釣り竿が引っ張られる感覚を感じ、美心や綾が応援で手に力が入るが餌の付いていた針には何も釣れていなかった


「アタリが来たと思ったんだけどな」兄が釣り人の男性に見せてもらった餌の付け方を思い出し素人ながらどうにかセット出来た「今度こそっと」チャポンと海に餌が沈んでいく



「余計なお世話かも知れないが私で良ければ力になるよ」釣り人の男性が釣り方を教えてくれるようで「助かります、次釣れなかったら菊がヤジを入れてきそうで怖かったので」口を膨らまし怒る菊を無視して



釣り人の男性が兄の持つ釣り竿に手を添えて「竿はもう少しこちらが良いはずだよ・・・・ほら来た」釣り人の男性が言った方向へ、竿を少し向きを変えた途端に竿を引っ張られる感じがしてきた




「凄い!これなら」驚き兄が先程同様に竿を強く引くと「待つんだ!」と温厚な感じだった釣り人の男性が強く言ってきて「いいかい、魚にも色々いるんだよ餌に上手に食いつく奴や不器用で時間の掛かる奴がね」



釣り人の男性の言われるがままに餌を突かれるがはやる気持ちを抑えて待つと釣り竿に先程とは比べ物にならない程の引きが来た




「上手くアワセれたようだね」糸の先には奇妙な黄色い魚が見える菊や美心達から応援されるが釣り人の男性は落ち着いた言葉で「焦らずに相手は大きいね、だけど大丈夫ゆっくり確実に釣るんだ」兄が右に引っ張られ反対の左へ引っ張ろうとしたら、同じ方向へ竿を倒し合わせるように指示を受け







やがて魚は疲れ陸から手の届く位置まで来た「良く出来たね」釣り人の男性は折り畳み式の玉網で素早く陸へ上げてくれた「これは珍しいが毒針を持っているからね」







そう言って額の様な場所に生えている針をペンチで折り渡してくれた「本当に全部お世話になってありがとうございます」と兄は珍しくペコリとお辞儀した「いえいえ、釣り好きが増える事は私の幸せですので」






黄色い魚は見た目はグロいが美味しいらしく椿もそれを知っていて釣り人の男性へのお礼も兼ねて皆で食事をした、煮魚は甘味がありほろほろとした食感で刺身もとても美味しく


釣り人の男性もナイフとフォークで見た目に似合わない様な綺麗な食べ方で完食して絶賛していた。











「いやー、久しぶりに美味しく調理した魚を頂けて私は幸せでした、椿さん菊さんありがとう」椿が笑顔で一礼して返事をしたが「菊はプロですますからね!」いつもながら何故か偉そうな菊



釣り人の男性は楽しそうな兄達の雰囲気につい「家族の様だね」ポロっと心の声が出てしまい綾が「少なくとも私や美心はそう思っております」美心の頭を撫でながら答える綾に恥ずかしそうにする兄含め全員が頷く




「そうか、では私はそろそろ失礼しようかな」「良ければ家まで」兄の言葉の途中で困ったように「いやそれは遠慮しておくよ、気が変わってしまいそうだ」気が変わる意味は分からなかったが無理強いも良くないと思い




最後に気づく「そうだ名前は」「私かい?」少し間が空くが「スペクトルそう呼んでくれるかな」そう言って海に背を向け一度手を振るとこちらを一切振り向かず立ち去って行った。









スペクトルが見えなくなる頃には夕方になっていた

遊び終わり着替えると今更だが泊まる場所やそもそも町すら考えず遊んでいたため



「これからどういたします?」椿に言われ近くに町がないか聞いておけば良かったと後悔した、「仕方ない車なら追い付けるだろうし町が近くにあるか聞いてみよう」兄に指示され椿がスペクトルの去った方へと車を走らせる




それから道のある通りにまっすぐ進むが一切会う事なく「おかしいですね、こちらの方向に行かれたのですが」普通ならすぐに追いつけると思ったが馬にでも乗って帰ったのかと考えていると人影が見えるが




「彼ではなさそうですが、聞いてみますか?」「そうだな、待っててくれ俺が行って来るよ」兄が車から降りて歩いていた若い男女に「あの」と声を掛けただけで男の方が持っていた狩猟銃をこちらに向けた



女の方が人だと気づき止めるが逆にその勢いでドンと撃たれる、いきなり銃声に綾が刀に手を掛け走って来て「どうしました!」「あぁ・・・撃たれた?」あまりの事に疑問系になったが幸い髪をかすめる程度だった




若い男女が謝りながら町へと車に乗り案内してくれる事になった、町はそう遠くない様だが逆の方角だったらしく「あの辺りは魔物が多く、彼女を守る一心でつい・・・すみません」また謝る男性に一緒に女性が謝る




「サマーさんも無事でしたので、それよりどうして町からその様な危険な場所に?」殺されかけて怒っているのか、男女の方へ一切向かない兄の代わりに綾が話を聞く








今から行く小さな町には海が近い事もあり昔から漁業が盛んで町の人間の大半が漁師なのだが半年も漁に出れずにいるらしく、耐えきれず海に行こうとした者は帰って来ないそうだ



「そこで町に昔から居る呪術師のお婆さんが言ったんですよ、これは人間の仕業だって」男性は女性を自分の方へと寄せると「俺ら結婚したいんですが」「私の親が今は稼げない漁師になんて嫁にやれないって」



「だから二人でそいつを捕まえようとでも?」兄が顔を向けずに聞くと「はい」と仲良く返事をする男女に




「あらま、愛し合う二人で障害を乗り越えるなんて素敵すぎて頭が吹き飛んじゃいそう、ウフフ」兄が手でシッシッとやりながら言うと「すみません」綾が代わりに謝る「いえ、俺が悪かったんで本当にすみません」




「サマーさんいい加減にしないと怒りますからね」綾に注意され嫌々ながら許す事にした。











男女の案内で町に付いたが結局スペクトルには会えなかった

町には木製の家がちらほらと見えて小規模なのが伺えた、唯一異色な建物あり



「あそこが呪術師の家ですますね!」美心は素直に「菊ちゃんどうして分かるの?」フフンと偉そうな菊だが「目立ちますよね、呪術師のお婆さんがあんな感じじゃないとダメだと町の人皆で頑張ったんですよ」



他の家より距離を置いた町の中心近くにある呪術師の家は同じ木製でも紫色の外壁に屋根は黄色、入口の上には大人一人分の大きな鳥の羽が二枚交差して貼り付けられている




「そんなわがまま聞き入れたんだな、海の人間は海と同じで心も広い!って奴」女性の方が口に手をあてながらひっそりと「天候の占いは凄く当たるし皆ありがたくは思ってるんですよでも・・・」



「偉そうでわがままで言う事聞かないと呪われそう、そう言いたいのじゃろ?」女性が割り込んで来た声に驚き男性の後ろに隠れる



割り込んで来たお婆さんは呪術師というより白雪姫に出てくるような魔女に似ている、首には大きくて重そうな青白いネックレスをかけている



「誰もそんな事は・・」女性をフォローしようとする男性の口に杖を近づけ、やめさせるが男性には目もくれず、こちらに「わざわざ魚の捕れない漁業の町へようこそ、旅の方」皮肉った喋り方に嫌悪感を感じる



「私もね、ただ偉そうにしてるんじゃないよ、天候を占えば必ず当たり、雨期になり漁に出れなければ呪術にて晴天にする」杖をくるくるさせてシシシッと不気味に笑う呪術師



「そんな事が他の誰かに出来るのなら、殺すなりすればいい」呪術師は首に杖をあて自分の首を切るような動きをする



「初めまして、宿とかってあります?」兄が何事もなかったように呪術師に聞くと「うちに来るかい?その子がとても気になってねぇ」呪術師が美心を指さすとアワアワと綾の後ろに隠れてしまう



「ダメですよ何もしていないのに怖がっては失礼ですからね」綾に押され前に出るとペコリと挨拶をした、呪術師は先程より嬉しそうな笑いを浮かべ「こわがって、ごめんなさい」「良い子だね、二人とも」



そこに綾も含まれていて「私もですか」と聞いてしまう「あんたは悪い子なのかい?」呪術師に首を横に振り、ちゃんと挨拶の出来た美心を褒めてあげる









「では呪術師様一晩だけ甘えさせて頂きます」「あぁ、こちらこそ暇で死にそうだったからねぇ、助かるよ」呪術師の後ろに綾、兄の順で最後に椿と菊がついて行くと





「悪いがね、うちに入れてあげられるのは[生き物]だけと決まっていてね」呪術師が椿達に杖を向けて言うと「あら?私って死人に見えていますか?」「死人になる事すら出来ないのにねぇ・・・」



呪術師のシシシッと馬鹿にしたような視線と笑みに「老人だからって喧嘩は買うですますよ!」とぷんぷん怒る菊をどかして、いつもの笑顔のまま椿が呪術師に近づく




穏やかに見える椿だが今すぐにでも呪術師の毒舌な舌を引きちぎりたい、その一心で呪術師の目の前に立つが「じゅじゅつしさん、きくちゃんたちはごはんつくってくれるしね、とってもやさしいよ!」



二人の言葉の真意を理解していない、美心だから言える優しさにエルを感じ、怒りを収め我に返る「分かりました、カップルさんすみませんが宿まで案内して頂けますか?」



男女が町に唯一ある宿屋に案内してくれるそうで、椿が今だに罵倒し続ける菊の腕を掴み「それでは」と男女について行く、椿達に手を振って見送り呪術師の奇抜な家に入った




家の中には奇妙な本や骨やら呪術道具がある、と想像していたが生活に必要な物があるくらいで殺風景な部屋に気になった兄が「呪術師って道具とかは要らないんですか?」





「馬鹿な客人はいつもその質問ばかり・・・・飽き飽きじゃな」呪術師がリビングの隅にある地下室への階段を指さし「自分の力をひけらかす奴はね、三下なんだよ」またシシシッと笑い




「腹も減ったろう?少し待ってな」リビングに入って来たドアとは別の方へと行った、あちらにキッチンでもあるのだろうと呪術師が去ったのを見て、そうそうに「あの婆さん嫌味言わなきゃ、喋れないのか」






「陰口はかっこ悪いですよ」「すみません」美心がご飯何かと綾と楽しみにして、10分ぐらいが経つとドアの向こうから「誰か、運ぶの手伝っておくれ」と聞こえ、兄が行こうとするのを止め「私に任せて下さい」



綾が呪術師の所に行って、すぐに戻って来た「お待たせしました」「耳長、あんたは皿並べな」




「耳長って俺かよ」「あんた以外にエルフやダークエルフがどこにいるだい」



自分が元はダークエルフじゃないとも言えず、黙々と皿を人数分並べ、「それじゃ、いただくとしようかね」




出された料理はシチューの様な物とパンだった「おいしい」「私は呪術以外も得意なんだよ」会った時の印象からか意外にも仲良く食事を終えて、綾の方を向き呪術師が質問する。



「暇つぶしとでも思って、話して欲しいんだがねぇ」「はい」「ご飯は美味しかったかい?」その質問に美心が「おいしかったよね、おねえちゃん」と話すが少しだけ言いづらそうな表情で「はい・・・とても」



呪術師は自分の考え通りと不気味に笑い「そうかい、そうかい、そりゃあ凄いねぇあんたの皿にだけ、とても食べれない果実の汁を入れたんだけどねぇ」綾が何か辛そうな感じに「呪術師さん、あんたの暇つぶしで綾を困らせんじゃねー」


怒ってテーブルを叩きながら立ち上がると勢いで椅子が倒れ、美心が今にも泣きそうな顔になっていた「暇つぶしの会話で本気になる事ないだろ」悪びれる所か不思議そうにする呪術師に


「私は・・・」綾が覚悟を決めて言おうしたのを「ゾンビに吸血鬼に他に何があったかねー」シシシッと顔を見て分かった、この呪術師は初めから知っていて招き入れた、それならと綾は




「おっしゃる通りです、私は死んでいますそれに」美心や兄の方を向き少し躊躇うが「呪術師様が試された通り味覚は曖昧でいくら食べても物足りない感じもありますし」綾の言う先が分かる呪術師は楽しそうに




「だけど、人を食らえば最高に気持ちがいいんだろう?羨ましいねぇ」綾は呪術師が人を困らせ、遊ぶのが好きな最低な者と理解して、美心の握ってくる小さな温もりを支えに、海辺でした兄との会話を思い出し



「今まで味わった事のない最高の気分になれます、ですから」呪術師の腕を掴み目の色が変わり歯が獣の様になった、綾が「私にも楽しませて下さい」



自分の想像していなかった、綾の行動に腕を振り払いしりもちをついて驚く呪術師を見て、顔を元に戻した綾が笑顔で「嘘ですよ、私なりの()()()()は楽しんで頂けましたか?」



少しキョトンとした呪術師は差し伸べられた綾の手を借りて、立ち上がり「久々に良い暇つぶしが出来たよ」呪術師に言いたい事が言え、スッキリとしたような綾


それから呪術師に言われ二階の一室を借り、綾は普段通りに振る舞い美心を寝かしつけようとする、その姿に罪悪感と不安が溢れてくる、顔には出さない様に必死に普通に装っている


「兄貴、ちょっと外に出ろ」弟の言う通りに綾にはトイレと言って、呪術師の家から出た途端に弟が体を入れ替え「俺にいつも適当で偉そうにして、なのに背負い込んだら悩んで」弟には気づかれたかと


「お前いちいち文句言うために外出たのかよ」と話を止めようとしたが「一度背負ったなら、それが正しかったって思うなら、悩まず貫けよ」


いつも曲がった事を許さず、面倒と思ってしまう事もある弟だが「やっぱり家族には分かっちまうもんだな、こんな姿なのに」「兄貴は兄貴だし、俺だって何も変わらないよ」



少し沈黙が続き、ふと上を見ると元の世界ではありえないくらい綺麗な星空が広がっている、そこへ手を伸ばすと「俺らってどこにいるんだろうな」今まで考える事も出来なかったが自分達のいる世界はどこで元の世界はどこなのか




互いに思いにふけっていると「どうされたんですか?」綾の声で思わず体を入れ替え「いや・・・えっと」何か言い訳を考えていると察したのか「私は今が一番生きているって感じていますよ」


急な言葉に「お・・・おう」と驚いて後ろに一歩下がる兄の手を掴み、両手でしっかり握りしめると



「死んでいるのに不思議で・・・・でも本当に幸せです!」綾の言葉に体にあった何かが落ちる様なのを感じた、その後綾に手を引かれ部屋に戻りゆっくりと眠りについた。






夢の中で兄弟は白い空間で別々の体になっていた、互いに顔を見て「大きくなったなー」「兄貴、この姿なんだから当たり前だろ・・・」


それから、どちらが見ている夢なのか兄弟が話していると急に人影が現れ、二人は追いかけると



白い空間はやがてカップルの男に撃たれた場所に変わっていた、だが夢なのだからと気にせず



追いかけ続けるとそこには森に溶け込む感じに小さなログハウスが建っていた、人影は家の中にいるようで入ろうとした瞬間に目が覚めた。

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