第15話予知と孤独
イエスロリータノータッチの精神です
綾が帰ってから数日集落は
とても暑い昼時にガンガンと鉄を打つ音が響いており、そこは集落の家とは作りが違い
煙突があり、中には鍛冶師の男達が武器や防具を作っている
一番の稼ぎが近くにある山から取れた鋼材などを加工し武具を作り
売る事、それゆえに全員が倒れそうな暑さであっても黙々と作業をしている
「今日は水色の石が出たんだけど、分かる奴いるか?」
兄が慣れた手つきで鉱石を部屋の中央に運ぶと屈強な鍛冶師の老人が「今日は当たりじゃったな」
「毎日石ころ掘って運んで、こんなんが当たり言われてもなー」
綾が帰ってからの間は暇なら手伝えと赤べこに言われ半ば強制的に採掘作業をしていた
老人が水色の石と同色の剣を持ってきて「この石を使うとこれができるんじゃよ」
見せても理解していない兄に向けてホレと剣を素振りするとバケツ一杯分ぐらいの水が噴き出す
「何すんだ糞じじぃが!」「すまんすまん、じゃが分かったじゃろ?」
「これ俺にもできるか?」「誰でもできるぞ魔力次第での、わしのような者ではこの程度じゃが」
屈強な鍛冶屋の老人は剣を兄に渡すと手をクイクイとして振ってみろと合図してくる
「やってやるよ」と兄が老人へ向け剣を素振りしたが
締めの緩くなった蛇口の様な感じにチョロチョロとしか水が出なかった事に
老人は見た目はダークエルフの兄がこの程度の魔力なわけがないと思い「体調でも悪いのか?」
「そうそう、今日は結構働かされたしな」何故か分からないがそうした方が良さそうと思い
嘘をついてしまった「そうじゃったかならさっさと着替えて休んでおれ」
着替えると言う言葉にずぶ濡れだった事を思い出して「ここ暑いから忘れてたわ」と
おもむろに服を脱ぎだすと先ほどまでのガンガンと作業をする音が聞こえなくなり
「兄貴今の性別考えろ!!」と弟の言葉が頭に響き
「あっ・・・・」「・・・・」働いていた鍛冶師達が全員手を止め静かにこちらを凝視していた
老人だけは目を隠し「年頃の娘が何をしとるか・・・」呆れられた
いくら中身が男でも「見てんじゃねー俺はネカマじゃねーからな!!」と恥ずかしくなり
胸を手で隠しながら全力で自分のテントに帰って行った
「兄貴・・・正直言って弟として恥ずかしいぞ」「分かっとるわ!」
少し落ち着いた兄が「ヒーいるか?」「はい」と呼び出すと
「俺のキャラは能力とかステータスとかゲームと一緒だよな」「はい」
弟が当たり前と思った事を聞いている兄に「どうしたんだ?」と聞き「さっき剣の事だよ」
「俺のダークエルフは魔法特化じゃないにしろ魔法系はしっかり取ってるんだぞ」
「単純に兄貴が下手くそなだけじゃないのか?」「それならいいけどな」
ヒーが兄弟の会話に「上手い下手ではなく、ただの魔力の違いです」理解していない様子に
「あなた方の世界で例えるなら同じ血液型でもこの世界はA型であなた方はB型なのです」
「ゲームの中の魔力と本当に実在する魔力じゃ違うって事か」「正解です」
ゲームで思い出した弟が「そうえば俺達のクエストってどうしたらクリアなんだよ」
「手に書いてある通りになります。」
そう言い終わるとスゥーっとポッケに戻って行った
「そう言われてもなぁ・・・」
弟が兄の手に書かれている、望む物を手にしろ
それを見ながら「奴隷の人達を助けて気持ち的には達成感はあるんだがダメなのか」
「可愛い女の子が欲しい!」「兄貴・・・」「ダメか?」純粋そうな瞳の兄に
無言で返し「分かったよ真面目に探すよ!」「当然だ!!」「りょ〜かいしましたよ」
話終わる頃には日差しが弱まり涼しくなってきたのでテントから出て
「探すっても何もないな」ここの集落には鋼材にそれを加工する職人程度しか
なく悩んでいると
「何してますです?」
菊と後ろには美心がしがみついていた「お前達の方こそどうしたんだよ」
「他の子とは遊べないので一緒にいるのですます」「そっか」
兄が気にしていると思い「キくちゃンいルカらサビシくナいよ」と答えると美心に頼られて菊は
嬉しかったようで「ムフフ、仕方ないですますね~」と美心の手を引き
「美心ちゃんには特別にたまんねー場所を見してあげますです!」「アわわワわ~」
美心が心配なのと探すと言っても当てもないので菊について行く事にした
集落からアマテラス連邦の反対の道に進み兄が採掘を手伝っている鉱山を登るが
途中で「ですます~」とテンションの高い菊とは正反対に疲れ切った美心に菊が気づいておらず
「待った」と言うが聞こえなく「おい止まれって」と言うとようやくこちらに気づき
「何ついて来てるんですます!!」急に怒る菊が
「せっかく菊と美心ちゃんだけの秘密にする予定ですますのに!」「いやだって美心がな」
「何ですます?」と菊がやっと美心が走り疲れ苦しそうにしてるのに気づき
「美心ちゃんごめんですます」「ダイジョうぶ、ぼウケんし・・・てるミたいデ・・・・タノシぃよ」
息が上がりながらも菊に「ありガトうキクちゃン」「死んじゃダメですます~~」
菊の叫びに「シんでなイヨ?やすんダらイクカらマッててね」「あぁ・・・はいですます」
「お前って結構トラブルメーカーだったりするのか?」「犯罪者に言われたくねーですます!」
「えっ、マジで」驚く兄に飽きれる様に「人を脅したり洗脳するのを犯罪って言いますです」
「そうだよな、どうしてだろ考えもしなかったわ」
「兄貴の事だから分かったうえでと思ってたんだが」「いや、全然ヤバいとか思いつかなかったわ」と
菊に見えない弟に話しかける「分かってても一人で喋ってるとやっぱりキモイですますねー」
話している間に美心が「キクちャん、モうイいヨ」「もう苦しくないですます?」「うン」
と答えるがまだ先は長いので「美心ちゃん、乗りやがれですます」
菊がしゃがみ美心に背中を向ける「別に疲れてないし俺が」兄が言いかけると
「ダメですます、美心ちゃんは菊が連れて行くのですます」「ツラかッタラいってネ?」
美心を背負うと強く地面を蹴り先程より早く走り出し「平気ですます~」
「マジかよ・・・」菊のスピードは美心がいくら軽い子供だからと言っても
菊自身が大差ない体なのに止まったら見失いそうな程速く「お前速すぎるだろ」
「ついて来るとは凄いですますねー」「常識的にお前のがおかしいけどな」兄が自分も人間の出せる
速度ではないので「常識なんて通じねーわな」「ですます」
それから数分走り続けて鉱山の頂上に着いた
下には先程までいた集落は小さく見え先にはアマテラス連邦が大きく広がって見え
夕日が沈む前に来れたおかげで見渡す限りが綺麗な橙色に染まっていた
「キれいだネ」「たまんねーですます?」「ウん、たまンネーだね」
二人は満足したようで手をつなぎ離れてみていた兄の方へと来る「結局来やがったですます」
「みンなでミレて、ウレしイよ」「美心ちゃんに免じて許してやるですます」
偉そうな菊に対し「ありがとうございますです」「真似すんじゃないですます!!」
怒った菊に何度か蹴られ、夕日も沈んでしまったので帰るつもりだったが
ドン!!と大きな音と共に暗い空に煌びやかな花火が上がる
「びっくりですます、こんな時期にはお祭りなんてないんですますよ」「きクチャん・・・」
初めてみる花火だったようで美心が花火を一切見ない
「大丈夫だから、見てみ」兄に促され、恐る恐る見ると次々に多彩な花火が上がる夜空に
「わぁー」と小さく呟いた口は空きっぱなしで呆然と見続けている。
「こっちですます」と何故か美心から距離を取り兄を呼ぶ菊
「どうしたんだ?」「花火の打ち上げてる位置的にアレは黒川家のですますよ」
「それだとダメなのか?綾が帰って来たお祝いなんじゃないか?」
当たり前だったのかハァとため息をつかれ「そんなアゲアゲな家な訳がないですます!」
菊が黒川家のある方をジッと見ているようで「あわー」と何かに気づいたようで
兄からは黒い屋根の家がある程度しか見えず「何見えてんだよ、てか見えるのかよ」
「余裕ですます、ちなみに見えた物については聞かない方が良いかもですます」
「いいから教えてくれよ」「結婚の前祝してますです」「誰の?」「綾さんですます」
「・・・・・・」
脳が理解するのに数分かかったようで
「マジか!」「おっそいですます!」「えぇー、どうすんだよてか戻ってくるのか?」
あたふたしている兄に「別にいいんじゃねーか?」「いやいや戻ってきたらさ人妻と冒険だぜ?」
「しかも新妻さんとってなんか気まずいわ、てか結婚自体反対だわ!!」
「それ兄貴の勝手だろ?」と弟の言葉に一刀両断され落ち込み
花火が終わったようで美心がこちらに来るが何故か泣いている
「どうした?」「もしかして聞こえてたんですます?」と二人に心配されるが自分でも分からないようで
「オねぇチャんにニテるヒと、ころさレチャうノ」美心が言っている意味が分からないが
「美心落ち着け、殺してるのは誰か分かるか?」目を閉じてゆっくりと
「オネぇちゃんヲツレてイッタオジさん」その言葉に当てはまるのが隊を率いて綾を連れて行った
隊長だと思い「菊、美心と帰れるか?」「約束破りますです?」
菊の言葉で思い出し「そんな事言ってる場合じゃないけど、うーん・・・・」兄が迷うと体が光
ガシャンと音がして光が消えると弟の姿になった「俺かよ、兄貴のが向いてるだろ!」
「そりゃそうだが、アレでもか?」「なんだよ?」弟が見たのは綾の事を思い出し
泣いてしまっている美心だった
「クッ」「俺は約束があるからな見ないふりしかできんしなー」と弟を煽る
ガシャンと音を立て美心に近づきの鎧の肩に軽くひょいっと置き
「あぁ・・・すぐ会えるから・・・大丈夫だから・・・ね?」「アッテいイの?ダッてヤクそく」
人見知りで兄以外と会話が苦手な弟なりに頑張ってみた
「とりあえず大丈夫だから・・・」「ウん、アリがとう」と泣き止んだ美心に一安心した弟
「キャー、優しいカッコいいすごーいロリコーン」と菊と美心に見えないからとふざける兄を無視して
「とりあえず戻ろう」「了解ですます」「ウん・・」
まずは椿達にも報告しようと思い帰る事にした、来た時と違い帰りは暗い夜がより暗く感じるような
そんな重い空気の中で「美心ちゃん初めて会った時に俺達がご飯食べる夢を見たって」
弟が美心に話しかけ
「でもあの時は大変だったから気にしてあげる時間がなかったけど、まだ会った事ない俺達が夢に
出て来たって事はさ・・・なんて言えばいいのかな・・・・」なんと表現するべきか
単純に未来予知とか予知夢と言ってもこんな小さな子に分かるのか考えると言葉が上手く出ず
菊が気遣いをして「美心ちゃんはその変な事はよくなるんですます?」美心は菊に聞かれ
初めて自分の過去について教えてくれた
どこかにある小さな町に住んでいたそうで
裕福ではないが両親は仲が良く、今とは違いよく笑って楽しく過ごす日々に友達もいたようで
その時の事を話す美心の表情は楽しそうだ
それがある日
美心には理由は分からなかったようだが仲良しだった両親が喧嘩をしていた
その途中で美心は夜だったので寝るように言われ不安だったが眠る事にした
その夜に見た夢は今でも忘れられないようで
朝にお母さんがお父さんにいつも入れてあげるコーヒー、砂糖は入れずにいつもそのままのはずが
夢の中でお母さんは紫色の綺麗な小瓶の中身を数滴垂らしている
お母さんの手が震えているのが見え「お母さん?」と美心がお母さんに呼ぶとそこで目が覚め
どうしてか夢だったはずの物が記憶の様に鮮明に頭に残り続ける
怖くてどうしようもなくいつもより早くお母さんのいるであろう台所に行った
「昨日はどうして喧嘩したの?」「怖い夢を見たの」「お母さん大好きだよ」
あの夢は違うんだ昨日の事だって大丈夫だ、そう考えながら
お母さんに伝えたい事が頭の中からどんどんと湧き出てくる
「お母さん」
「 」「お母さん?」「 」夢と同じ姿の母がいた
自分が夢と同じ母の姿を見てしまった時から記憶が曖昧になってしまい
お母さんは何を言っていたのか思い出せないようで
お父さんがお母さんを殴って落ちてしまった綺麗な瓶が割れてしまい
お父さんとお母さんの顔や自分の名前すら一緒に粉々に消えてなくなってしまった
その後はお父さんお母さんがどうなったか分からない
誰からかお金を受け取り両親が自分を預ける所しか思い出せないようだ
話し終わると美心は余計に落ち込んでいる
「ムー」菊からの恨んだような目線が弟に向けられてしまった
「言いたい事違うから」「じゃあさっさと話しやがれですます」菊に急かされながら
「その・・・美心ちゃんが見た夢とかが未来に本当に起きる事だったとしても」
「今頑張って未来を変えるんだよ」「カエる?」美心にはまだピンと来ないようなので
「えっと菊さんこれ俺に投げてくれる?」弟が手のひらサイズの小石を菊に渡し美心を肩から降ろして
少しだけ距離を取る「よく分かんないですますが」何故か全力で顔を狙われた「でっす!」
ガッツポーズで喜ぶ菊に対し小石が当たり兜ごしだが頭を押さえる弟に
「ダいジョウぶ?」心配してくれる美心「大丈夫次が大事だから見てて」
もう一度同じ大きさくらいの小石を渡して「とどめでっす!」とまた全力の投石が頭を狙うが
ゴンッと飛んでくる小石を殴り砕く「少し痛かったな・・・」手をヒラヒラさせて
美心に先程の話を続ける「今俺が何もしなかったらどうなったかな?」「あタマにあたってタヨ」
「じゃあ今はどうだったかな?」「パンちしてアタらなカったよ」
「そうだね、石が来るって知ってたから俺が当たりたくないと殴って未来を変えたんだ」
美心の頭を少し緊張するが撫でてあげながら
「だから美心ちゃんだって出来る、未来を変えよう」「ワたシに・・・・できルかナ」
「大丈夫だよ美心ちゃんには俺や菊さん、皆がいるんだ一人じゃない皆がいれば変えられるよ」
兜越しにうっすらしか見えないのに笑顔な弟の顔や自慢そうに胸を張る菊の二人を見て
「ワたしね、シンじゃウひとたスケる!!」「そうだね一緒に頑張ろう」
「菊と一緒なんですます!!」頭を撫でていた弟を蹴っ飛ばして美心に頬をすりすりする菊
「痛い・・・」弟に今まで黙っていた兄が「異世界で弟が中二病になってしまった件」
「そういうのじゃねーから」「じゃあどうゆうのなんでしょうかね?」
「アニメや漫画のような世界なんだからそれぐらい出来る・・・・たぶん」
「そこは自信持って欲しいなー兄貴としては」「もういいだろ俺に任せるなら黙っててくれ」
「はいはい」ようやく黙った兄に一安心して二人を連れて集落に戻った。




