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第13話別れと仲間

「作戦とか意味ねーんだよぉ」メガスーツから聞こえてくる声と共に

メガスーツの両肩からミサイルが5発づつ発射され同時に兄や綾がいる方へと向かって来る


「エル1発以外全部落としてくれ」兄からの指示はいつものエルの魔力なら難しかったが事前に飲んだ

アイテムで増加した魔力により


「当たっても知らないからね!」力いっぱいの魔力で風の魔法を連発しミサイルを7発爆発させたが

まだ3発残っており、兄と綾がミサイルの方へと走りながら

「綾、前もって言うがすまんそれと手伝ってくれ」



何故に謝るのかは分からなかったが危険な状況なので綾は「はい」と即答した

すると兄が走るのをやめ、綾の後ろに立つ形になり

「ちょい恥ずかしいんだけどな」兄が嫌がりながらも綾の背中に手を当て呪文を唱え始める


「魔力を食らいて、全てを侵せ!!」兄の言葉を聞いた綾は自身の意思に関係なく化け物の姿になり

身体の自由も無くなり竜が火を噴く様な姿勢を取り


「ロトンブレス」その言葉と同時に綾の口から赤黒い煙噴き出し

その煙に触れたミサイルがドロドロと溶けていき、そして最後1発が煙に届く前に


「よし綾もういいぞ」兄の合図で煙は出なくなり綾の体に自由が戻った

「・・・」無言と綾の冷たい眼差しの理由は分かるが兄はとりあえず無視し



大きく飛躍し右手で最後のミサイルを掴むように飛び込み

「飲み込め」と言うとミサイルが右手の先の歪みから消えていき今度は左手をそのままメガスーツに向け


「発射!」左手から先程のミサイルがさらに勢いを増してメガスーツに向かい飛んで行くが

「ワンパターンだなぁ」メガスーツの持つ右手の剣の一閃で空中でミサイルが爆破した


爆風で兄が吹き飛ばされるが下に居た綾が受け止める「大丈夫でしたか」「あぁ、ありがと」

兄が態勢を整えようとする前に


「今度はこれだぁ」両手のビーム状の剣を振り上げ片方を兄達の頭上に振り落とす

綾がその剣を受け止めようと腰に付けている鞘に手を近づけたが帝王との戦いで

砕けたのを思い出し、綾の動きが止まる



「綾!」綾が兄の方を向くと一振りの刀を渡され、何も言わずに受け取りその刀でビーム状の剣を

なんとか受け止める「こっちも忘れんなよぉ」右の剣を押さえている綾の左側から


もう片方の剣が横一閃襲い来る「任せたぞ」兄が弟に変わりメガスーツのビーム状の剣を

両手剣で「ナパームソード!」と力の込めた一撃に爆発の勢いが乗り


巨大なビーム状の剣はメガスーツの手から離れ大きく宙を舞いズシンとビーム状の刃が消え

柄だけが地面に落ちる「凄いです」「俺が別に凄い訳じゃ・・・」


「同じ技ばっかり馬鹿にしてんじゃねーぞ!」1本だけになったビーム状の剣を両手で持ち

先程より強まった打ち込みに綾が押し負けてしまったが「大丈夫ですか」弟が代わりに


押さえに入り「すみません」「いえ、綾さんはエルさんの近くまで下がってください」

綾が力になれないのかと思い「でもっ」と言いかけると「いいから早くしてくれ」


弟から強く言われ、喋るのをやめた綾は急ぎ後ろのエル方へと走っていく

「離れてもらえって言ったけどよ言い方あんだろ?口下手さん」兄の言葉につい本心が出てしまい


「だってよ見えちゃってるなんて言えねーだろ」「は?」と一瞬分からなかったが

先程綾が押し負けた時に裾が少しめくれていたのを思い出し「お前見たんかパン・・」兄が言い終わる前に


「さっきの作戦やるぞ兄貴」と話しを中断して「リミットブレイクからの・・・」と弟の溜めに

「馬鹿じゃねーかいい加減読めんだよぉ」メガスーツが大きく後ろに飛び退くとミサイルを撃つ為に


両肩を少し前に突き出し発射の構えを取り、弟のいた位置にミサイルのロックを付けようとしたが

綾とエルが遠くに見え二人にしかロックできず



胴体の中央にあるコックピット画面から辺りを見渡したがそれでも見えず

「あぁ~どこ行ったぁ、逃げたんじゃ」タカシがイライラして


コックピットの画面ギリギリに身を乗り出した瞬間ガシャンとコックピットの画面が砕け

弟と交代した兄が飛び込んで来た


「クッソ」タカシが銃を構える前に左手右足を使い両手を押さえる「結構簡単な作りなんだな」

兄がコックピットの周りを見回り「この作りじゃ足元見えんわな」「お前よじ登ってきたのか!?」


兄が思いついたのはナパームソードを見せびらかしメガスーツが下がった瞬間に弟と交代し

足元に行き死角からよじ登る単純な方法だったが


「あんたがやってたゲームじゃそんな方法できねーから考えもしなかったろ?

ロボット見て思い出した有名タイトルだもんな」兄が右手のナイフを相手の首に付けて


「ゲームを意識しすぎたな」「意識?ハッ・・・ギャハハハ」兄の一言に狂った様に笑いだし

「いつからだぁ?俺がゲームを始めた頃か?人生嫌になって死のうと思ってたらこっちの世界に来てからか?」タカシ自分からナイフに首を近づけ、ナイフに血が滴る


「訳わかんねー世界で訳わかんねーうちに初めて人を殺した時か?」ナイフから滴る血の他にも

何かが流れて来た「何年も何年も馬鹿みてーにずっとずーっと殺しとクエスト・・・」


タカシの声が震えてくる「なぁ?意識してなきゃよぉ、ゲームだって思わねーとこんなの」

兄はずっとタカシの顔見ていた彼がどれだけこの世界に居たのか


彼の姿が自分のこれからを表しているように見えて体が動かなかったが

最後に「もう・・・帰ってもいいよな」「お疲れさんゆっくり休んでくれ」

コックピットの席には血と彼の大事にしていた銀のマグナムだけが残っていた。











「危ないわよ」「でも心配です、あんな魔物の腹の中に自ら入るなんて」

「だから魔物じゃなくて機械だって」エルと綾が動かなくなったメガスーツの近くで兄達を心配していた


その声が聞こえてきて「兄貴」兄はコックピットの席を見つめながら「俺らもさ」兄の言おうとする事に

「絶対にない」「軽く言ってくれんじゃん」「兄貴がダメになったら俺が止めてやる」



「じゃあお前はどうすんだ?」「俺は大丈夫だ兄貴と違ってな、メンタル弱くねーしな」

弟に笑われて少しだけ気持ちが落ち着き「そうか」「そうだ」最後に一言だけ交わし





「やっぱり私も」「やめなさいって!」綾が今にもメガスーツをよじ登ろうとしていた

「お待たせ」兄がコックピットから飛び綾達の前に降りて来た


「ご無事でしたか?」「大丈夫だ」「そうですか」綾がニコッとした表情で兄の両手を握り

兄が少しドキッとして固まると首筋から熱を感じゴクゴクと飲む音がする


「えっ・・・綾さん?」声が裏返って兄が驚くと首筋から口を離し満足した顔に口から垂れる血を

指で拭うと「人の体で変な魔法を使ったあげくに二人で勝手に突っ込んで・・・・」


血が急になくなり意識が薄れゆくなか「たっぷり反省してください」「あにきー」そこで

意識が飛んだ






数時間後に目が覚め「ごめんなさい」と声を上げて飛び起きると目の前にはエルが座って紅茶を

飲んでいた「もう大丈夫なわけ?」「少しクラクラするけどな・・」


エルは紅茶を置くと魔力車から降りて行った「どこ行くんだ」と兄が追いかける

そこにはズーズ帝国の何万もの軍勢がエルの先にいる「兄貴手を出すなよ」「いや、だってお前」

軍勢の大将となる強面なエルフがエルの前までやってくる


「貴殿がキライト家の者で相違ないな」「そうよ」エルの傍にいつもいる二人も綾や奴隷達も

皆魔力車の近くからエルを見守っている「寝てる間に何があったんだよ」


弟に聞くと言いにくそうに「エルさんが帝王と約束したんだ」「何を?」

「いいから見てれば分かるって」スッキリしないが綾達と一緒にエルの事を見守る事にした


「では貴殿が帝王様を」大将エルフの手が腰にある剣へと行く手前声がかかる

「待たんか馬鹿者が」「帝王様!」大将は剣へと向かう手を地面に付きひれ伏すと

後ろにいる何万の兵も同時にひれ伏す「貴様、話は聞いておるはずじゃろうて」「はい・・ですが」



「信用できんか・・・」帝王が大きく息を吸い込むと兵士全員に聞こえる程の大きな声で伝える

「ならば今一度伝えようこれより我が帝国はエル・キライトが統治する事となる」


「これは我ズーズ・ガーガとエル・キライトとの契約である、何者であろうと拒否は断じて許さん!!」

帝王の言葉に兵士達は黙りひれ伏すのみそこにエルが帝王より一歩前へと出る


「私はキライト家のエル・キライトだ、これより帝王となるが皆それを快く思っていないだろう」

黙っていた兵達がその言葉に頷くようにざわざわと話している


「私は奴隷を物のように扱うこの国が大嫌いだ!」エルが兵を黙らすように大きな声で伝える

「子供の魔力を使い切りの燃料の様に扱い、大人も夜通し倒れるまで働かされる者もいる」


エルは一度目を閉じ深呼吸をして続ける「種族の違いだけで何故心の通じる相手にそんな扱いができるのか

だからこの国が大嫌いだった、出て行きたかっただけど」


一度椿や菊奴隷達を見ると「でも出て行った所で何にも変わらない、だから私がこの国を変えてみせる奴隷がいらない国、他種族とも共存できる国を私が造り上げてみせる!!」




帝国にとって当たり前だった奴隷を、なくす事など意味が分からずシーンとした空気が続く

「理解したな」「帝王様が良いとされるのであれば・・・」「元を付けんか馬鹿者が」「はい!」


「では先に行っておるぞ、帝王様や」「分かったわ」ズーズが軍勢を連れ帝国の方へと馬を走らせる

数分後には何万もいた兵達は一人もいなくなり静けさが戻ってきた



エルは何事もなかったような感じにこちらに来る「そういう事だからこれでお別れよ」

「なんで急に帝王なんだよ?それより約束ってなんだ」「別に関係ないわよ私と帝王の契約よ」


明らかに隠すエルの態度にイライラする兄が「教えてくれよ、俺達もう仲間なんじゃないのかよ!」

兄から出るとは思いもしなかった言葉にエルが驚いたが「脅してたのにねよく言えるわね」


クスッと笑いながら「それに何日も一緒にいた訳でもないのに仲間って、あんた本気で言ってる?」

エルの心無い言葉に「ちゃんと話せば」綾が間に入ろうとするが椿が止め「エルちゃんの決めた事です」「でも貴女達だって本当は」綾の言葉の途中で


「全くその通りだ初めは適当に手伝わせて終わるつもりだった」「ね、ならもういいでしょ?」

兄がエルの肩を掴み「だけどよエルや綾、皆がいたから俺は生きてる一人じゃダメだった」


兄が言いづらそうに「俺さ仲間だとか信頼だとか恥ずかしくて嫌いだけどエル達には感じてるんだぜ?」

エルが「私だって一緒に・・・」と言いかけるがグッと言葉を飲み込み


「もういいでしょ私は裏切者の馬鹿と一緒に国に帰るわ」「なんで!」兄の必死な顔に答えてしまいそうになるが肩の手を払い除け「最後にお願い奴隷達と一緒でもいい、その子達の事だけお願い」


エルが合図を出し男エルフが馬を連れてくる「裏切者はもう許してくれよ・・・」

「ダメよ責任取って私が立派な帝王になったら許してあげるからそれまでは裏切者よ、覚悟しなさい」

エルが馬に乗る前に「椿菊こっち来て」「はい」「何ですます?」二人がエルに寄ると



二人を強く抱きしめて「これからはあいつらの事を助けてあげて、私は二人が堂々と民として怯えず

暮らせる立派な帝国を造ってあげるから、いいわね」


椿と菊はエルの震える声と不安なのが手に取る様に分かり

「エルちゃんの事信じてますからね」「チキッって逃げちゃダメですますよ~」


ずっとこのまま一緒にいたいそんな気持ちを断ち切りエルは二人を離し馬に乗り

「分かってるわよ・・・・・じゃあね」「はい」「です!」椿と菊はいつもエルを送り出す時と同じく

凛とした立ち振る舞いでお辞儀をして送り出す













その後

エルと男エルフは馬に乗り帝国の方へ向かい兄達も魔力車の準備をして走り出す

魔力車が走る中兄の悩む姿に弟が見るに堪えなくなり「なぁ、兄貴」「ほっといてくれよ」



「分かったから、静かに聞けよ椿さん達に気づかれたら俺が話した事バレるし」

兄が一度椿と菊の方を確認してから心を落ち着けて「いいぞ」と頭の中で返事をした

「兄貴が気を失った後で俺が交代して追手の軍が来る前に皆と出発の準備を急いでたんだけど」


「エルさんの姿が見えなくて探したら帝王を縛ってる魔力車の中で話声が聞こえて」

「本当に良いのじゃな殺さなかった事を後悔するぞ?」「絶対しないわ、私はあんたと違う」


エルはそう言うと何か文字の書いてある紙を取り出し自分の指を少し切り血を垂らすと今度は

帝王の指を同じ様に切り同じ場所に血を垂らし二人が同時に


「我ら血の契約に従い、違えるは死を持って償う」そう言い終わると紙は燃えて消えてしまった

「最後に聞きたい、何故殺すと脅すなり洗脳をするなりせんのじゃ?」


「その方が簡単でしょうね、でもね結局あんたと変わんないと思うのよだから国もだけど

あんた自身も改心させたら・・・・かっこいいでしょ?」エルの笑顔に帝王は心打たれたのか

少しだけ静かになり大きくため息をつくと



「都合の良い絵空事じゃな、足掻き続けて死ぬがよいわ」「そうさせてもらうわ」

エルは帝王の言葉や気持ちに敵意を感じなくなり、クスクスと笑いながら帝王の縛っているロープを解く



すると心配そうに弟が入ってくる

「あいつはまだ起きてない?」「そうだけど・・・」「聞いてたんでしょ?こっち来て」


「私ねあんたらとは一緒に行かない事にしたの」「えっ・・・どうして?」

エルは自分の過去を少しだけ弟に話した、自分が貴族の娘でありよくある話らしく政略結婚を親に

強要されて嫌気がさし軍に入り一人暮らしを始め親から逃げた事や


椿と菊を夜の奴隷屋から逃げ出した二人を見つけてつい助けたけど結局は自由にしてあげれずにいた事を

弟に教えてくれた「だからまた国から逃げても同じ事の繰り返しよ」


その話に兜から涙がボタボタと流れて「がっ・・がんばってくだひゃい・・・応援してます!」

「何でそんなに泣くのよ」「かっこよすぎますよ」「ありがとう」



エルは弟に話してしまったが「今から皆に話してくるけどあんたの兄貴には言わないでよ」

「えっ?どうしてですか?」「あいつは馬鹿だから俺が何とかしてやるぜ!って言いそうだもの」


弟は苦笑いをしながら「言いそうだな・・・分かりました」「じゃあね」

「そんな感じでさ、だからもう落ち込むなよ」


兄が魔力車から飛び降り大声で「ちょっとだけ待っててくれ!」と言い残し走り出す

「エルちゃんは良い仲間ができましたね」「そうなんですますか??」






「兄貴これ絶対俺が言ったのバレるじゃんかよ!」「すまん!許せ!弟よ!」

全力で走るが結構な距離を離れた上で相手は馬に乗っている追い付けるわけがないそう思い


ポケットから小瓶と鳥の羽のついた帽子と青い靴を出すと「効くのかそれ?」

「スピード重視の装備に速度アップの薬こんだけ使えば行けるだろ!」


ポケットから出した物を飲んで被って履いて走り出すと先ほどより何倍のスピードが出る

「痛い!痛い!風痛てぇーーー!」「F1カーくらい出てそうだな・・・・」








「あぁー緊張するってか怖いな」男エルフとエルは帝国の正門前まで来ていた

「あんたが怖がってどうすんの、ダメだったら死ぬんだからね私なんて!」二人が先行き不安と

言わんばかりに肩を落とし正門に着くと叫び声が聞こえてきて






「おぉ~~~い!!」とこちらに向かって来る者が見えて来た

エル達が馬を止めそちらを向くと「やっばい!止まらん!」「だから飲み過ぎんなって言ったろ!」

あれから薬を何本も飲んだらしく凄まじいスピードで走っていたのが足がもつれ


十数回回転してエルの前でようやく停止した

「何で来たのよ」「何って特にはないわな」兄が転がって付いた汚れを手で落としながら立ち上がり

「まぁなアレだ・・・」言いづらそうに顔背ける「兄貴さっさとしろよ皆待ってんだからよ」


弟に急かされ覚悟を決め「椿や菊は俺が守ってやるから安心しろそんでエル」

兄が手を差し出す「俺は俺のやるべき事をやるお前もさ、だから全力でやってやれよ帝王様!!」

エルは不安だった気持ちがどこかへ消えて行きのを感じたエルは差し出された手を握り


「分かってるわよ!馬鹿じゃないそれだけで来るなんて」笑顔のエルを見て安心した兄は

「馬鹿で結構そんじゃな綾達待たせてるからさ」いつの間にか互いに強く握っていた手を離し


兄はまた薬を今度はちゃんと1本だけ飲み走りながら大声で思い出したように

「困った時はいつでも呼べよー俺達仲間なんだしよー!!」と言い残しすぐに見えなくなってしまった


静かになった正門前では「あいつどう呼べって言うんだろうな・・・」男エルフが馬を歩かせ

エルも馬を歩かせながらに「本当に変な仲間ができたもんね」



正門は開きエル達は進み続ける如何なる苦難があろうと

自分には頼りになる仲間がいるそれだけでエルは挫けずに進めると思った。

帝国編これにて完結となります。

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