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第11話安息と本当の気持ち

最近少しだけ忙しくて遅くなりましたすみません

いつもなら商店街にある噴水広場には賑やかな声と人で溢れているが

「すみませーん!道を開けてくださーい!」綾が大きな声で商店街中に響かせる


それと同時に魔力車も中の奴隷達が振り落とされるかと思う程に大きく揺れ

全速力で走っている、魔力車数台の後ろからは鎧を装着した馬に乗った騎馬隊のエルフ兵が追ってくる



「後少しで正門が見えるはずです皆さん頑張ってください」「怖いよ」「お姉ちゃん」

綾が魔力車の中で震える子供たちを自分の周りに集め励ましている


先程までの戦闘での綾の姿が嘘に思える程に優しく見えた使用人二人は

「綾様の事はエル様に報告いたしますです?」「いいえ、エルちゃんを無駄に混乱させるだけです」


全速力だった魔力車はすぐに正門が見えてきたが逆に正門の周りには民家や店がないので

「騎馬隊、術の制限を解除する」追手の騎馬隊が先頭のエルフ兵をはじめとし、全員が杖を抜き

詠唱を始めた、全員の魔法が当たれば魔力車はもちろん中にいる人間も命を落とすのは確実と感じ


「どうしますです?」「ここで動けばエルちゃんに迷惑が掛かりますし、それに前を見てください」

椿が正門の方を指さすと、菊が「むちゃくちゃですます!」驚愕の表情を見せた。






騎馬隊が詠唱を終え正面の魔力車に狙いを定めようとした所に

「死にたくないなら止まれーー!」上から聞こえる声に先頭のエルフ兵が「なんだアレは!?」


民家より遥か上空から鎧の男が両手剣を地面へ突き刺す形で隕石のように落ちてきた

その位置が自分達の通り道に来ている事に気づき「騎馬隊、止まれ!いや下がれ早くしろ!」


「ナパームソード!」男が地面に落ちるのと同時に両手剣が地面に刺さった瞬間

落ちた衝撃とは思えない程の揺れと地割れが起きる


「お前もう少し加減しろよな、綾達にも被害出たらどうすんだ」「あんなに高く跳んでおいてそれかよ!」

兄弟の声が微かに聞こえた綾が走る魔力車の中から身を乗り出し



「止めてください、仲間です」「大丈夫です綾さん、こっちは俺らに任せてください」

魔力車を止めようとする綾に、先に行っているように促す弟が「それと、この人もお願いします」



走る魔力車に追い付く程の勢いでエルが投げ込まれ、それに気づいた椿が「エルちゃん!?」と

全身で受け止めたがエルは何故か眠っている


「一人が嫌だって待っていてくれなかったんですよ、では」と弟が軽く説明し背を見せながらに手を振る

スカイダイビングのような真似をさせられたはずのエルは何事もないかのように眠っていた


椿がエルの雰囲気から薬か魔法で寝かされているのではと思い綾に聞くが

「こうたいで・・・いえおかしな事をしたわけではないと思いますなので」

その場は諦め綾の言葉を信じエルを抱きかかえながら


綾達の魔力車は無事に正門を通る頃には先程の衝撃のせいで落馬してしまい戦えない

騎馬隊は態勢を立て直す前にあっさり殴り倒され「兄貴、そろそろ俺らも追いかけるか?」


「いや、そろそろ来る頃かな」「何が来るんだよ追手か?」と話している間に

弟の影からウォンと不気味な声が聞こえ「うお!?」「何驚いてんだシャドーマスターだろ」


弟が思い出したらしく「何で今更来るんだよ」「そりゃエルと一緒にいた野郎に付けといたからな」

シャドーマスターが仕事を終え影の中に消えていくと今度は足音が聞こえてきた


「お疲れさん、俺に変わっとけややこしくなるからな」「あぁ、分かった」兄の言葉に疑問もあったが

渋々交代した「やっぱりあんたか、良かった軍に見つかる前で」エルと一緒にいた男エルフが

一安心と思い汗を拭った


「それでエルと別行動してたみたいだが何してた?」「それは・・・重症で気を失ってたみたいだ」

男エルフが顔をそらしながら言ったと思ったら今度は


「いいだろ!あんたの言う場所は破壊したんだ、それより他の奴らはどこに連れてったんだ?」

男エルフの顔からは焦りが見えて「お前こそ、そのまま休んでたらどうだ俺達の事はいいからよ」


「そんな事できる訳ないだろ」「どうしてできないんだ、別に顔バレしてないし普段通り暮らしていいんだぞ?」「エルが心配なんだ・・・それで十分だろ」「そうか、本当にそれでいいんだな?」


兄が強く男エルフの目を見てジッと見透かしたような表情が男エルフの心を乱し先程拭った汗が

また出始めたが男エルフは無言でうなずきをして話を終えた


「ならエル達の所まで走るからついてこいよ」兄の見透かすような表情は男エルフの返事を確認すると

元の明るい雰囲気に変わり門に向け走り出すと




「あっ・・・こいつらも一緒に逃がしてやってもいいか?」男エルフの後ろから

エルが破壊した東支部の奴隷魔法使い二人がこちらにやって来た


「別にいいぞ、あんたらはいいんだな」「はい」「よろしくお願いします」二人の答えを聞いて

「じゃあ急いで行くぞ」兄が今度こそ門に向け走ろうとしたら


「あのそこの馬は使わないのですか?」奴隷魔法使いが騎馬隊の倒れていない馬を指さした

「車の免許もないのに無理だぞ馬なんて」


「よく分からんが本当に乗れないのか?、じゃあ後ろに乗れよその方が早いだろ」

「意外と役立つんだなお前」と兄が男エルフの乗る馬の後ろに乗り、奴隷魔法使い達もそれぞれ馬に

乗り走り出した。














ズーズ帝国の外れにある森、兄弟が初めてこの世界に居た森の前にある草原でエル達と

会う約束になっている



「どうしてそんな所にしたんだよ?」「そこしか行った事ねーから」男エルフは不思議だったが

「もうすぐ着くぞ」「あぁ、あの魔力車だな」


夜に来た時より一層、昼間の今だと草原すべてが見渡せたのでエル達の乗る魔力車をすぐに見つけられた

「あんたらも来たのね」「サマー様、ご無事でしたか」エルと綾がこちらに駆け寄った

それから数時間体を休めつつ、今まで起きた事を互いに説明をした







互いの起きた事を話し終わる頃には日が沈み始めており

「今日はここで休むという事でよろしいですか?」「そうね、夜になると危険だし」


椿がエルに許可を取り菊と共に魔力車に積まれていた野営用テントやたき火をあるだけ組み立て始めると

エルは最初に置かれた椅子に座り、ほのかに甘い香りのする紅茶を飲み始めた



「エル」「ハイ・ティーの邪魔しないでもらえる?」「いやティータイムとかゆっくりしすぎじゃね?」

兄が国からの追手などを心配するがエルは紅茶を一口飲み「もうすぐ夜なのに死にたいのかしら」


そう言うと暗くなっていく方角に手にした紅茶のスプーンを向けるとそこには暗闇と共に

獣の鳴き声や寒さとはまた違う不気味な風がを感じた


「夜は外で遊んじゃダメってママに教えてもらわなかったのかしら?」エルがクスクスと笑いながら

こちらを見ていたので「てい」兄が紅茶の横に置いてあった赤いジャムの乗ったクッキーを盗み食った


「あっー!何勝手に食べてんのよ」「馬鹿にしたお前が悪い、それにしてもこの世界の食べ物は薄味なんだな」「勝手に食って文句言うんじゃないわよ」エルが杖を鈍器の様に振り回しこちらに向かってきた。






そんな楽しそうな光景を綾の膝の上で見つめる白髪の少女が「オネえちゃン」「何ですか?」

「わたシね、おねえチャンとオニいちゃンにデアえてシアわセ」少女はそう言うと膝の上から


綾に強く抱きつく「まだ国を出ただけですよ?幸せはこの先にもっともーっといっぱいあります」

「ですからその気持ちは、この先に取っておきましょう」と綾も少女につられ笑顔になってしまった


仲良くたき火の前での会話をしている中で綾が大事な事に気づき少女に問い掛ける

「今更ですがお名前はなんて言うのですか?」綾の言葉に困った顔になり俯き、先程までの笑顔が消え




「ナマえなイの」「お母さんは」綾が少女の辛そうになっていく表情を見て

親について聞かれたくないのだろうと気持ちを汲み、「分かりましたでは私が名前をつけてあげます」



「イいノ?」少女は嬉しい気持ちを抑えながらも

「ワタしいるダけでみんなクるシメチャウよ?バケもノだよ・・・・・」



綾の返答を聞くのに不安や嫌われたくないと気持ちで手が震え出してしまう

そんな少女の手を優しく握り、少女を真剣に見つめる




「では私を見てどう感じますか?」

「角で腹に穴をあけられようと血肉を食らい治癒する私をどう思いますか?」




「オねえちゃンはチガウ!ゼンぜンちがっ」「それと一緒です」

少女の答えを聞き綾は強く抱きしめる。










「キマシだなーこりゃ」「何よそれ?」「んー仲良し?でいいよ」「あっそ」

綾達の話を盗み聞きしていた兄とエルそれを飽きれながらも一緒に聞いてしまった弟が


「兄貴そろそろやめとけよ、盗み聞きなんて」「それならお前明日、昨日はどうだった?って聞けるか?」

「あんた何ブツブツ独り言いって気持ち悪いんだけど・・・」


またうっかり弟との会話を声に出してしまい「いやキモくねーし!ほっといてくれ」

その兄の大きな声で綾に気づかれ魔力車の後ろに居た事がバレてしまい


「盗み聞きは悪い事だと教えられませんでしたか」「すみません」「ごめんなさい」と

綾の気迫に兄とエルまでもが素直に謝ってしまった





その後夜になる頃には野営の準備も終え

「では頂きます」綾が手を合わせるのを真似て子供たちも同じく「いただきます!」と


元気に言った「んー」「美味しくありませんでしたか?」椿が兄が食べていないのを見て気にすると

「いくら魔力車にあった安い食材でも椿が作ってやったんだから感謝して食べないさいよ!」


「なんでお前にそこまで言われんだよ」兄が食べ始めると少し時間が経ち

食事は終わった、その後はやる事もなく全員テントや入りきらない者は魔力車の中で寝始めた








「兄貴さっきはどうしたんだ?」一番にジャンケンに負けて見張りをたき火前でしている兄に

弟が話しかける「なんかな、食欲とか全然わかないんだよな」「あんなに動き回ったのにか?」


兄が思い返す様に「そうえばお前トイレ行ったか?」「行くわけないだろ兄貴に丸見えなんだぞ!」

「だよな、俺も全然だしもしやアイドルはトイレ行かない説は正しいのか」


「ふざけてないで誰も見てないし早くヒーにでも聞けよ」「お呼びですか?」

ポケットからヒーが出て来て兄が「ヒーちゃんもしや俺はアイドルの素質があるのか?」


兄のふざけた態度に弟が無視をしてヒーに聞くと

「現在回答できる範囲ですがよろしいですか?」「それでいいよ」「了解しました」



「貴方達は現在、飲食や排せつまた繁殖行為をしてもまったく意味はありません」

「繁殖は出来なくても[行為]はできるんだな」「可能です」「よっしゃ!」


何故か途中から話を兄に取られてしまいふざける兄の態度に「兄貴も少しはちゃんと考えてくれよ」

「今考えてどうにかなんのか?それでこれからもやってけると俺は思わねーから」


兄が立ち上がり夜空を見上げながら「だからできる範囲で分かる範囲でやってこーぜ」

兄の能天気のようなだがどこか安心する言葉に弟は「分かったよ」



兄が奴隷達が寝ている魔力車の荷台に静かに近づく「じゃあさっそく」

「まだ見張りの時間だろ?」「ネズミ捕りだよっと」そう言うと同時に魔力車内の者を一人


持ち上げて外に投げ飛ばす

「なっ!?」驚きと焦りで固まって動けない男エルフに


「面白いのはっけーん」兄が男エルフの落とした物を拾い上げると楽しそうに指の上で回し始める

「返せよ!」男エルフが慌てて奪いに来た



指の上で回していた物を投げ渡し男エルフが受け取ったと同時に首筋に煌びやかなナイフが光る

「なんで」「そりゃあずっと見てたからだよ」男エルフの困惑した表情に答えるかの様に


焚火から伸びる兄の影が立体的に立ち上がり男エルフを見つめる

「戻ってよし」兄が言うと影は溶けてゆくように戻って行った「そんなのありかよ」


「いやいや、自然と暮らしてるようなエルフが通信機を隠し持ってるのがおかしいだろ」

兄がナイフを振り上げ男エルフが目をつぶった瞬間




兄が持っているナイフの刃を飲み込むように青い閃光が走る「あっつ!」驚きナイフから手を放し

後ろに飛び退くとナイフだった物はドロドロに溶けていた



「馬鹿者がバレてしまうのが早すぎるわい」何もない草原が歪むと今まで草原だった

空間を布を脱ぐように帝王が出て来た


「もう少しバレなければ苦労せず終われたものを」「すっすみません!」

男エルフは帝王にすがる様に後ろへ隠れた



「あんたがズーズさんか?エルフ感がまったくないなその体系」兄が残ったナイフを

帝王の大きな腹の方へ向けて揺らす「貴様!帝王たる我になんと無礼な!」


帝王が激怒し背中に持っていたハルバードを振り回す「帝王様あぶなっ、危ないです死にます死にます!」

男エルフはうつ伏せに頭を抱え震えている



その騒がしさに綾や他の者も目を覚まし「サマー様、どうされましたか夜襲ですか」綾が一番に

テントから飛び出そうとした瞬間先程の青い閃光が綾の足を溶かす


無残な綾の悲鳴に「誰も出るんじゃねー、伏せてろ!」

兄の命令に血だらけの足を引きずりながら綾がテントに倒れこみ


エルが綾の足を見て「でもそっちはどうすんのよ」兄の心配をする

「どうするって」兄のナイフでは受けきれない程の帝王の一撃がくる



「貴様もあの化け物のように何かあるのだろう?さっさと見せぬか!」

帝王の強烈な連撃の中を回避し、ハルバードの振り下ろした際に見えた首の隙を斬ろうと


飛び込もうとするとまた青い閃光が兄と帝王の間に割り込む

「どうした、せっかくのチャンスを逃しても良いのか?」「ふざけんな溶けるわ!」


「兄貴俺が」「馬鹿野郎あいつらが見てるかもしれねーし鎧を貫通したら終わりなんだぞ」

「ほーれ、もういっちょ!まだまだ!!」兄が会話に意識を向けてしまい回避に集中できずに


「そーれ!」ハルバードの斧刃を避けたが刺先での刺突が肩を貫いた「捕まえたぞ兎のように避けおって」

肩に刺さったハルバードを兄ごと高く持ち上げてから地面へと叩きつけた。





「何もできずに倒れてしまったではないかこれでは話が違うぞ、タカシ」「名前を出すんじぇねー」

頭を強く打ち付けたせいで意識が虚ろになりながらも タカシ と日本人名だけが頭に残った

ズーズ帝国編はもう少しで終わる予定ですのでどうぞよろしくお願い致します。

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