面倒事はない方が良いに決まってる。
『冒険者の乱暴な態度や傲慢さに嫌気が差しました。故郷へ帰ります。探さないでください。』って、マジかコレ。
「クモ様クモ様、その紙がどうかしたんですか?汚れてて汚い紙ですね。」
「うん?あ~これはね、『冒険者の乱暴な態度や傲慢さに嫌気が差しました。故郷へ帰ります。探さないでください。』って書いてあるんだよ。」(そうか、ライムは字が読めないもんな。スライムで読めたらそれはそれでビックリだけど。)
「探さないでくださいってことは、ここから居なくなったんですよね?クモ様この後どうしますか?」
「うん、ライム。俺たちは何も見なかったし、ここにも来なかった。あっ、中には入らなかったってことな。そういうことにして面倒事からは逃げるに限る。」(隣の工房には顔だしちゃったから仕方ないけど、不自然に見えないようにここから離れてガントのオッチャンに居なかったと伝えてアリバイ作ろう。うん、そうしよう。)
「はーい」と返事が帰って来たのでさっそくここから離れた。一応来た道を戻るようにし、横の大通りまできたら、途中まわりの店を見ながらガントのオッチャンの屋台に到着。
「オッチャン、ただいま~♪」
「おう、また来たな。どうだった?鍛冶屋へ行って来たんだろ?会えたか?」
「ううん、居なかった。外から声かけたけど反応なし。隣の工房のお姉さんに聞いたけど、ジャイアントベアの討伐ごろから見かけてないんだって。」(ぶっちゃけ故郷へ帰ったからこの街にはもういないみたいなんだけど、そこまでは伝えなくていいよね?)
「そうか、残念だったな。お前さんの用事はどうすんだ?」(居なかったか。どこ行ったんだろうなあいつ?ジャイアントベアってことはもうすぐ一週間か?)
「あぁ、それなら別に急ぎじゃないからいいかな~ってことであきらめた。」(この後生産者ギルドには行ってみるけどね)
「そうか、それでいいならいいがな。この後どうすんだ?」
「別に急ぐ用事もないし、ライムと一緒に依頼こなしながらのんびりやるよ♪」(まだ森にも行きたいし、湖も興味あるし。)
「まぁ、無理することはね~からな。やりたいようにやるのが冒険者か。」(良くも悪くもだがな。)
「そうだね、俺もそう思うよ。それじゃーねー♪」(この後すぐに生産者ギルドに行ったら話が違うってなるかな?もうすぐ晩飯時になるから宿に帰るか。)
生産者ギルドへ行かずに【水の波紋】へ向かって歩いているとライムから話しかけてきた。
「?クモ様、生産者ギルド?に行かないの?」
「うん。話の流れでこのまま行くのは、ガントのオッチャンもアレ?ってなるからね。明日冒険者ギルドへ顔出す前に、朝イチで行ってみよう。」
「分かりました。」
「じゃあ【水の波紋】に戻って晩御飯にしよう。」
【水の波紋】に戻って来た俺はメイサさんに声をかけ、ライムの分の夕食もお願いした。俺と同じものでとお願いしたら驚いてたけど、小銀貨1枚とのことで渡して席で待ってた。
夕方4時過ぎだからか人が少ないと言うか俺たちしか居なかった。お陰でゆっくりと食事が出来た。まともな食事は初めてだったので(普段は体ごと食べ物に覆い被さるようにして食べていた。)食べ方もこの際人前用に教えてみた。
ナイフとフォークを触手で持って使い切り分け、スープもスプーンでこぼさない様に掬い食べられるようになった。テーブルの上に乗っているので、端から見たら嫌がられるかも知れない。今度ライム用に高さを合わせる台を別で用意しよう。
メイサさんとボイドさんがこっちをビックリした様子でみていた。信じられないモノを見るような眼とはこんなにも丸くなるのかとちょっと面白かった。
ライムも最初は使い方がぎこちなかったけど、食べ終わる頃には滑らかに使えるようになっていた。これでスライムだからとバカにするやつは文句も言えんだろう。スライムのくせにと絡んでくるやつは潰す。そんなバカ者とは言葉を交わす価値もない。まぁ店に迷惑かけないように上手くやろう。
ご馳走さまでしたと声をかけ退席、部屋へと戻った。今日はライムの従魔登録もしたし、鍛治屋さんが居ないことも分かった。明日は生産者ギルドで材料買えるか確認だな。狩りの時の反応から討伐終わって帰ってきそうだから森にも行こう。




