99.なんと、シャワールームが温水付きになりました!
結構酔っぱらったマムちんを、みーよが寝かしつけている間、あたしは女部屋にシャワールームを出して貰って、身体をキレイに保つ。
みーよのレベルが上がったのでは、と、亜人小人のクチュクチュがなんか言ってたけど、あれは本当らしい。
なんと、シャワールームが温水付きになりました!
強力なポータブルバッテリーと電源がついて、さらに便利なアウトドアライフが楽しめるようになったのだとか。
ポータブル電源は静かというか、今は作動していない。バッテリーの残量が少なくなった時点で作動させるか決められるらしい。
ん-温水が気持ちいいー
あー生き返るー
スッキリして、寝巻というか、ポンチョに着替えてシャワールームを出ると、アリちゃんとリコットちゃんが待ち構えていた。
ま、女部屋にこんなもの出してたら、使ってくださいと言ってるようなもんだよね?
みーよ、そういうつもりなんだろうね、多分。
「自分たちでもシャワールーム、作れないかなと試してみたんですけど」
「すごく難しいの。キレイにお水がでないし、それなら清拭した方が早いんだよね」
あーやってみたんだ。
「これ……私たちも使ってみたい」
「みたいー」
言い出しにくい、けど、お願いしても、いい?
アリお姉ちゃんが言うなら、わたしも使いたい!
「ん-、もうみーよが来ると思うから、あの子に聞いてみて?」
あたし、考える役目じゃないんで。
もう寝ちゃってるちびちゃんたちの寝顔を見ながら、どうしたもんかと思っていると。
「温水の具合、どう?」
みーよが部屋に入ってきた。
「快適快適。スゴイね」
「そう、良かった。わたしも入るね」
「あ、あの……」
アリちゃんが、おずおずとした態度で、お願いポーズを取る。
「私たちも、使っても、いいですか?」
ん-なんて可愛らしいお願いなんでしょう!
瞳ウルウルさせて、上目づかいで、ちょっと遠慮気味に、顔色を伺うように。
あたしなら、いいよいいよって言っちゃいそうだね。
やっぱり、考える役目はあたしじゃ無理だね。
「そうねぇ。ちょっと女神さまに、聞いてみるね」
みーよはお祈りのポーズを取り、暫くそうしていた。
「……身内だから、いいって」
「う、うわー!」
「やったー!」
そっかそっか、いつも頑張ってるもんね。良かったね二人とも。
女神ちゃんイイとこあるじゃん。ちょっぴり見直したよ。
と、一瞬思ったけど、あの女神ちゃんがそんな気遣いできる?
あたしが考えてる間に、みーよが簡単に操作の仕方を教えて、着替えはさすがに出せないので、自分のものを用意するように言って。
アリとリコットは、一緒に入るらしい。一人じゃコワイのかな? 狭いよ?
ま、二人とも小さいから、いっか。
キャッキャ言いながら中に入り、しばらくしてシャワーの音が聞こえて、さらにテンションが上がっている。
純真な彼女たちがシャワーしてる間に。
「女神さまに聞いてみるとか言いながら、実は最初から決めてた?」
「バレたか」
みーよが舌を出して笑う。
「頭の中に声が聞こえていた状態とは違うからね。いちいちこんなことでアーリューシャイン様は干渉しては来ないよ。ただ……」
「ただ?」
「やっぱり結果は出してあげたい。オラクルの大聖女の称号を、先生の元に取り戻してあげたいのは本当のことよ」
あーあの赤くて派手な娘が自称で名乗ってるからね。
「オラクルの大聖女の称号争奪戦みたいなものはないの?」
「無いよ、そんなの。称号は、人々からそれに相応しいと思われることが大切だからね」
「なんか、付き人をけしかけるとか言ってたでしょ? 勝てばいいんじゃないの?」
「そもそも勝てないし、もしも勝ったとしても、あの娘はオラクルの聖女の座を降りるというか、自分で名乗らなくなる、なんて事はないよ?」
「だって負けたんでしょ?」
いや、まだ戦ってもいないけど。仮定の話としてよ?
「その時は付き人のせいにして、別の下僕を付き人に指名するだけだからね。戦うだけ無駄なのよ」
あぁ、そうかー
なるほどね、聖女は付き人探しが大変、でも、付き人探しに困ることのない貴族のお嬢様にとっては、単に名乗るだけでその地域を代表する聖女として認定されちゃうのか。
なんか、差別というか、不公平というか。
「オラクルに限らず、こういう大きな都市にはガード・クリスタルがあるの。大きな魔法的な攻撃から街を守ってくれる大切な存在なのよ。その管理官を、その街の名を冠する聖女や高位の僧職者、後は魔導士も務めたりできるわね」
管理官?
「マクロン閣下に限らず、高位の魔導士は強力な攻撃手段を持っている。そういう脅威から、理力の力で街を守護する大切な役目なのよ。ガードクリスタルを管理し、街を守護するもの。つまりオラクルの守護者ね」
「それを、あの紅くて派手な娘が?」
「そう。ただ、管理者は別に一人じゃなくてもいい。というより、複数で交代して行うのが普通。その任命権を持てるのがオラクルの守護者なんだけど、彼女は勝手に自分がその者だと名乗っているのよね」
「勝手に名乗れるものなの?」
「普通は出来ないけど、彼女は領主さまの娘なので、誰も止められない……」
アリとリコットが、シャワールームから出て来た。
シャワーが気持ちよくて、シャンプーやリンスがスゴく泡立って、お互いに洗いっこしたらしい。
ボディソープも初めて使ったけど、お肌がスゴクさっぱりしたって。
タオルもふわふわで、まるでお姫様になった気分らしい。
「わたしも使わせてもらうわね」
軽く微笑んで、みーよもシャワーを浴びに行く。
そっか、出すのも片づけるのも、みーよにしか出来ないもんね。自然に順番が最後になるのか。
そのことに気が付いて、ちょっとバツの悪そうな顔になる二人。
みーよはその辺、あまり気にしないタイプだよ、というと、ほっとしていた。
すっかりキレイになった身体を寄せ集めて、あたしたちは安らかに眠りについた。
(つづくっ!)




