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Sweet Bomb NEXT  ~ 今度は異世界で大暴れっ!  作者: 白河・DG・夜舟
転移十日目っ! ~ いよいよ、オーク軍と大決戦っ!

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89.顔を、見せておくれ

 思った通り、外で食事を終えて、はちみつ入りのビスケット? スコーン? を頬張っているマイアミの所に向かった。

 職人さんたちも、このお菓子には夢中みたいで、気が引けるんだけどね。

 ハーブティー? も一緒に添えられてる。気が利くね。

 シュランとカンタが、俺たちも給仕位出来るんだぜ、という顔であたしを見る。ウンウン、後でうんと褒めてあげるよ。

 マムちん、話は今じゃなくてもいいでしょ? 後にしようよ。

 なんてあたしの心の声は聞こえないようで、そのままマイアミの座る席の向かいに陣取った。

 食べかけたお菓子を置いて、マイアミが律義に座り直す。

 ダナンは無視して食べてる。アンタ、そういうヤツだよね。

 あたしはマムちんの護衛。付き人だからねぇ。

 職人さんたちが、こそっと、でも耳をダンボにして(ダンボって、何? 急に浮かんできた)聞き耳を立てているが分かる。

「今回は、聖女ミヨと付き人イクミが世話になりましたね」

「いえ、命を救われたのは我々です。素晴らしい戦果を叩きだしたのも、彼女たちですから」

「右も左も分からない二人の事を見守ってくれて、ありがとう。あなたには、いつも世話になっているわね」

「大聖女マム。街の者は皆、あなたに感謝しているのです。そして、聖女ミヨには、ぜひ、あなたの名を継いで頂きたい。期待を抱いて、見守っているだけですから」

「……ありがとう」

 ちょっと、マムちんがウルウルしている。マイアミ、中々やるねぇ。

「少し詳しく聞きたいのですが、付き人イクミの話では分からないところがあるのです。オークの捕虜になっていた女性たちを、全て救出したと聞いたのですが。絵空事でしょう?」

「いえ、本当の話です」

 マム院長が、しばらく沈黙した。

 マイアミも、自分からは言葉を発しない。

「まさか、ありえない」

「いえ、本当の事です」

 マイアミは、まっすぐにマム院長を見つめた。

「私は、止める立場でしたが、止めませんでした。責任はすべて自分が取るといって、デンとイクミを送り出しました」

「な、なぜ……」

「彼女たちなら、出来ると判断したからです」

 マイアミの言葉に、躊躇(ためら)いは無かった。

 横でダナンが、フンと鼻を慣らしたけど、それ以上は口を挟まなかった。

 マムちんは、フラフラとイスに寄り掛かろうとして、背もたれが無いので落ちかかって、テーブルを掴んで何とか堪えて、下を向いて息を、そして多分心を整えた、と、思う。

「大聖女マム」

「……なんです?」

「褒めてやって下さい」

 マイアミが、背後に潜むようにしているデンを、そっと押し出した。

「行きなさい、デン」

 全身をフードやローブで覆っている小柄な影が、導かれるようにマム院長の元に歩いて行く。

「……デン」

「……」

 足元に、(ひざまず)くように、座るマム院長の前にかがむデン。

「顔を、見せておくれ」

 院長がそういって、デンのフードをそっと剥がした。

 抵抗もせず、されるがままのデンの顔は、半分がオークのそれだった。

 髪の毛は、無い。

 耳が、尖っている。

 鼻が、不自然に大きい。

 口が、左右に大きく裂けている。

 大きな目は、少し吊り上がり気味。

 肌の色は、やや青み掛かっている。

 亜人(デミ・ヒューマン)

 うん、あの小人、クチュクチュと同じような、人間ではない顔。

 そんなデンの頭を優しくなぜて。

「よくやりました、勇者デン。あなたは私の、立派な娘ですよ」

 その言葉を聞いて。

 デンは、マム院長の足にしがみついて、ワンワンと泣きだした。


挿絵(By みてみん)


「マムちんとデンって、どういう関係?」

 しばらく離れそうにもないし、危害を加えそうもないので、そっとテーブルを回って、マイアミに尋ねる。

「マム大聖女が、オークどもに辱めを受けたという話は?」

「聞いた」

「その時の、子です」

「……マジ?」

「はい。オークは、エルフ以外の全ての種族と子を成すことが出来ます。大抵は心を破壊されて、肉体が壊れるまでオークの子を孕まされ続けるのですが、強靭な精神力を持つマム大聖女は、自我(こころ)崩壊する(こわれる)ことが無かった。

 ……そういう場合、人とオークの合いの子(ハーフ)が産まれます」

 は、はぁ……

 ゴメン、ちょっと、頭に入んない。

 後で、きちんと聞くわ。


               ~ ・ ~


 泣きつかれて、子供のように眠ってしまったデンを抱きかかえて。

 マイアミとダナンは、自分たちの教会に帰って行った。

 帰り際、あさってには冒険者ギルド主催のパレードがあるはずなので、一度ギルド本部に集合して、帰還する本隊と合流する約束をさせられた。

 いいよ、そういうのはー

 断っては見たけど。

 聖女ミヨが街の人々に認められるためには欠かせない。お前は彼女の付き人だろうと、またも正論を噛まされてしまった。

 ん-正論、だよねえ。

 どうも、こういう分野(あたまをつかうこと)だと、マイアミに勝てないなー

 向こうは大人だからねー悔しいけどさ。

 職人さんも同時にお帰りになって。

 街を守ってくれてありがとう、工事は張り切って進めます、と感謝されちゃったよ。

 外に出したテーブルとイスを片付けて。(っていっても軒下に立てかけただけだけどね)

 腰袋をアギト・ナイフごと外し、ガードグローブとエンジニアブーツを脱ぎ捨てて、そのまま何も食べないで、あたしは女部屋のベットに倒れ込む。

 何か、色々ありすぎた。もう限界。無茶苦茶疲れた。

 あ、制服脱がないと、みーよに叱られちゃうなーでもメンドクサイなー

 あ、誰か、脱がしてくれてる。まだ寝ないでーっていってる。

 ん-ゴメン、眠いー頑張る。でも眠いースゴク眠い。

 これどーやって外すの? ん-脱ぎ捨てればいいんだよーいや壊れるねーんしょ、んーよし取れた。

 もーいい? もー寝るよ? おやすみー

 落ちるように、落下するように。

 あたしはそのまま眠りに落ちていった。



                         (つづくっ!)

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